自分なりのカタチで人のキャリアに関わりたい。私がカスタマーサクセスに出会うまで。

本日は現在ウォンテッドリー株式会社でカスタマーサクセスとして働かれている五十嵐 萌子さんにお話をお伺いしました。

法政大学キャリアデザイン学部で家族社会学を学び、インターネットメディアを運営するベンチャー企業に新卒で就職。ママ向けメディアのディレクターや人事採用業務を担当した後、ウォンテッドリー株式会社へ転職された五十嵐さん。

現在はカスタマーサクセスとして活躍しつつパラレルなワークスタイルを確立しようと奮闘中の彼女に1社目での経験やカスタマーサクセスというお仕事についてお話いただきました。

小さい頃は陰キャだった。

ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

現在、社会人5年目の五十嵐萌子です。ウォンテッドリー株式会社という、求職者(ユーザー)と企業をマッチングするプラットフォーム「Wantedly」を提供している会社でカスタマーサクセスとして働いています。転職前はインターネットメディアを運営するベンチャー企業で働いていました。

ー今のお話ししている雰囲気から想像できませんが、昔は陰キャだったと伺いました。

小さい頃は人見知りが激しく、前に出るのが苦手な子供でした。両親の離婚後は母の帰りも遅く、祖父母に預けられたり1人で留守番をしていたり小さい頃は一人で黙々と何かをすることが多かったです。

ーそんな五十嵐さんが陰キャから陽キャになったきっかけは何だったんですか?

中学入学を機に地元を離れたことが大きかったと思います。誰も私のことを知らない中学でのびのびと過ごしました。女子校かつ中高一貫だったんですが、そこで段々と自分に自信を持てるようになりました。

またバスケ部に入部し、素敵な仲間と恩師との出会いもありました。12歳しか離れていなかったんですが、恩師はバスケのことはもちろん、礼儀や感謝の大切さを教えてくれました。恩師には怒られることも多かったのですが、自分に関心や期待があるから怒ってくれるんだと気づかされました。それ以来、コーチに怒られたり厳しいフィードバックをもらっても必ず帰る時には「ご指摘いただき、ありがとうございました」とお礼を言うようになりました。この習慣は今でも大事にしています。

陽キャになったことで変なプライドや自信がでてきて、尖っていた時期もありました。部活の合宿で長野に行った時も怒られて、今すぐ帰れ!と先生に言われたこともありました。その時も真正面からぶつかってくれた先生に感謝しています。自分さえよければと思っていたところが当時の私にはありましたが、これまでどれだけ同期の仲間がフォローしてくれていたかに気づくことができました。

ーそんな高校生活を過ごした中でその後の進路についてはどのように考えていたんですか?

一般受験をするか、指定校推薦で大学に進むかについては母と揉めました。自分に自信もついていたので勉強すれば夢を叶えられると思っていたこともあり、私は一般受験をしようと思っていました。

母は受験の経験がなく、リスクのあるチャレンジをするよりは確実な方を選ぶ性格だったので、一般受験には反対されました。でも指定校推薦には女子校だったのもあり英語や教育系の推薦が多く、私が当時興味のあったマスコミに強い社会学部はありませんでした。

一般受験を選び、第一志望には落ちてしまったものの、自主マスコミ講座というゼミ活動のようなものがある法政大学に合格しました。何かの偶然なのか両親も法政大学出身のため運命を感じました。

早い段階で就職活動をスタート、ベンチャー企業への就職を選ぶ

ー法政大学ではどのような勉強をされていたんですか?

家庭社会学を勉強しました。家族構成がどう子供の性格に結びつくのかについて調べたり、女性のキャリア形成やワークライフについても研究しました。

大学ではテストの点数で何点取れれば優秀ではなく、自分の考えが評価してもらえることが増えて勉強が楽しいと思うようになりました。例えばキャリアデザイン学部1年生の必修授業にタナケン(田中 研之輔教授)の授業があるんですが、その授業で社会問題に対するアイディアを紙に書いて提出する課題がありました。そこで、文章ではなくイラストを書いて提出したら300人以上いる学生の中で1位と取り上げていただきました。すごくうれしかったです。

ーその他大学生活で印象に残っていることはありますか?

サークル・バイト・勉強で充実した日々を送っていましたが、就職活動は2年の終わり頃から始めていました。マスコミ系に進みたかったので、3年になってから自主マスコミ講座(通称自主マス)に入り、毎週土曜日にはスーツを着て大学で面接の練習をしたりしていました。キャリアデザイン学部はイベントやボランティアの案内も多かったので、大学生活後半は学校外の人たちと関わる時間が増えて世界も広がりましたね。

ーかなり早い段階で就活に取り掛かられていたんですね!就活はスムーズに進みましたか?

マスコミ系にいきたいと高校の時から思っていましたが、テレビ局に絞るのではなく広告代理店や人材系も合わせて見ていました。10社ほどインターンにも参加し、その中で面白いと思ったのがベンチャー企業でした。100人以下の規模でとても風通しがよく自分に合っているなと感じました。

母は新卒からこれまで、約30年間同じ大手企業で働いてきました。そのため私がベンチャー企業に入ることにすごく反対しました。何度も話し合い、大喧嘩をして、納得させるために就活を続けたりもしましたが、結局は母のように会社に守られ、会社の枠の中で活躍する人ではなく、もっと広い自分の世界で「やりがいのために時間を使いたい」「自分の名前で生きていきたい」と決意しました。

最終的には笑顔で送り出され、2016年にターゲッティング株式会社(現INCLUSIVE株式会社)に入社しました。

新卒で入社した会社でTwitterが炎上

ー新卒で入られたターゲッティング株式会社ではどのような仕事を担当されていたんですか?

お母さん向けのメディアのディレクターを担当していました。メディアディレクター以外にもSNSを使った仕事やオフラインのイベント開催などいろいろ経験させていただ充実していました。

ー3年半程働かれた中で印象に残っている経験はありますか?

Twitter事件ですね。自分が担当していたメディアでセンシティブな情報に対し、エビデンスが不足していた内容を発信してしまったことで公式ツイッターが炎上してしまいました。当時は今ほど炎上が日常的に起こるものではありませんでした。

担当していた記事の内容が「デマ」だというツイートを複数されてしまい、そこに上司の確認を取らずに自らが公式アカウントでコメントをしたことで火に油を注いでしました。自分の不注意で、とっさに取った行動が炎上に繋がってしまいました。

それ以後、病院にアポをとって助産師さんや小児科さんへのエビデンスをとるようになりましたし、自分が怒られるかどうかは関係なく、事業のことをしっかり考えて上司や関係者に報告・連絡・相談をするようになりました。

ーそのような経験をした中、転職を考え始めたきっかけは何だったんですか?

新しいメディアの立ち上げに関わる中で、新しいライターさん等をスカウトしてマネージメントをするために採用の勉強をしたりもしました。それををきっかけにもっと採用に関わりたいと思うようになり、人事部に異動させていただきました。

人事部の仕事は素敵で責任感もありましたが、人に採用・不採用を出すのが主な仕事内容であることに違和感を感じるようになりました。人のキャリア選択にもっと違う関わり方はないのかなと思ったのが転職のきっかけです。

元々25歳までに自分のキャリアの方向性を決めたいなと思っていたのですが、メディアの仕事を3年やってみてこの仕事を生涯やりたいとあまり思えませんでした。メディアで情報発信するのではなくもっと人事よりの、人生の選び方やキャリア選択に関わる仕事をしたいと思ったんです。

ウォンテッドリーとカスタマーサクセスとの出会い

ーウォンテッドリー株式会社とはどうやって出会ったんですか?

転職を考えてはいたものの、他社で人事の仕事をしている自分が想像できませんでした。ちょうど転職活動をやめようと思ったタイミングで大学時代の友人がウォンテッドリー株式会社に働いているのをきっかけでお話を聞く機会をいただきました。

その時にウォンテッドリー株式会社の方に、「五十嵐さんがやりたいことは人事じゃないんじゃない?」と言われたんです。その上で、カスタマーサクセスという仕事がウォンテッドリー株式会社にはあると紹介されました。その職種であれば仕事を探している人の選択肢を広げることができ、キャリアの後押しをできるかもしれないと思い転職を決めました。

ーカスタマーサクセスは具体的にどのような仕事ですか?

Wantedlyを使い始めた企業様が採用がスムーズにできるようにするサポートを行っています。カスタマーサクセスという職種は自分にスポットライトが当たらないので初めは地味な仕事だと思っていました。

しかし部署のリーダーから「カスタマーサクセスは長距離マラソンにおける伴走者ではなくペースメーカー」と言われてからすごく重要なポジションだと感じるようになりました。ペースメーカーは、後ろからついていく伴走者と違って常に前を走っていく存在。そしてペースメーカーは沿道にいる観客からは気にもとめられないけれどランナーに必ず覚えられる存在です。カスタマーサクセスも同様にお客様に覚えていただけていればそれで十分なんです。

ーその例えは素敵ですね。最後に今後のキャリアについてもぜひ教えてください。

ウォンテッドリー株式会社で働き出して、いろんな企業・業種があり面白い事業やサービスを知っていく中でカスタマーサクセスという職種が今後も必要とされていくだろうなと感じています。

また、今はウォンテッドリー株式会社で働いていますが、色々な方にお会いする機会が増えて様々なキャリアや職業に触れて、色々な生き方を知る中で将来的には私の人生の目標であるどこでも、誰とでも、働けるような働き方を実現したいと思っています。それがメディアに関するお仕事なのかキャリアや人事に関するお仕事なのかは分かりませんが、これまでの経験を生かしてやりたいと思った仕事はなんでも挑戦していきたいです。

 

取材:西村創一朗(Twitter
執筆:松本佳恋(ブログ/Twitter