大切な人にとっての大切なものを守りたい。花街料亭研究者の宮田美卯が語る、私の幸せな生き方

大切な家族が守ってきた料亭を、私も守りたい

ー料亭でのアートのプログラム、面白そうですよね。

このプログラムが形になるきっかけとなったのが、シブヤスタートアップユニバーシティ(SSU)という起業プログラムに参加したことです。

もともと料亭の美しさをより多くの人たちに知ってもらいたいと考えていましたが、考えたプログラムの壁打ちを起業家にしてもらうと、「料亭側と受け側の需要がマッチしていない」と指摘されてしまって。私は消費者側のニーズを把握できていないんだなと感じました。

一方で、アートや日本の教養を知りたい人の需要はたしかに存在すると、この壁打ちの機会で気付いたんです。

プログラムを考えるにあたり、「そもそも、料亭の需要は?」「料亭の良さはプログラムで生かせるのか?」という葛藤がありましたが、起業家の皆さんと一緒に作ってもらえましたね。

ビジネスコンテストで出会った人たちの経歴は多種多様で、「もし自分だったらこういう料亭を作るよ」という言葉もたくさん受けて、方向性が見えてきました。

ーこれからやっていきたいことについて教えてください。

私が今大切にしている価値観は、「大切な人の大切なものを守る」ことです。

私にとっては女将さんになることが目的ではありません。家族の大切にしている料亭や、料亭が大切にしている日本文化が守れたら、それで私も幸せだと考えています。現在の私にとって大切な人は家族なので、実家の料亭をこれからも守っていきたいですね。

これまでの人生を振り返ると、本当に多くの人たちに助けられてきたなと思っています。これから自分にとっての大切な人が増えれば、守るべきものも増えて、料亭だけに限らず、もっと色々なことにチャレンジできるかもしれません。

ー最後に、U-29世代へのメッセージをお願いします!

極論、「何者にもならなくてよい」と伝えたいです。今は何者かになりたい人が多いとおもいます。自分にとっての幸せ=何者かになる、ということであれば夢を追いかけてもいいと思いますが、そうでもないのであれば、無理に追いかけなくてよいのではないでしょうか。

私は、自分の好きなことや大切にしたいものをじっくり見つめていくことが大切だと思っています。自分のことを尊重してくれる人を守り、”人の縁”を大切に生きていくことが大事だと考えていますね。

ーありがとうございました!宮田美卯さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:あすか(Twitter
執筆:ひの
デザイン:高橋りえ(Twitter