「どんな状況にも逃げ場はある」英語×留学コーチ北川健博に聞く、人生の選択とは?

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第670回目となる今回は、英語×留学コーチの北川健博さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

英語×留学コーチとしてご活躍されている北川健博さん。就職活動では二度の挫折。多くの失敗を経験してきた北川さんが語る、人生の選択についてお話を伺ってきました。

世界で活躍する日本人を輩出したい

 

ー自己紹介をお願いします。

北川健博 (きたがわ たけひろ)と申します。留学会社で2年働き、起業して現在はフリーランスとして英語コーチング、留学コーチングを生業とするONE WAYを立ち上げました。そのほかに、企業のデジタルマーケティング支援、現在は大分県別府市でフリーアコモデーションとして働いています。

ー英語コーチング、留学コーチングについて詳しく教えてください。

英語コーチングは英語のレッスンや、ウィークリーで学習コーチングを行い、英語力(主にTOEIC)を向上させたい方のサポートをしています。まず初めに英語学習における目的・目標を決め、学習カリキュラムを作って日々の英語学習をコーチとクライアントが二人三脚で達成に向かって頑張っていく形のコーチングサービスです。

留学コーチングは、今まで僕自身が語学学校や、留学エージェントで働いた経験を元に、留学のサポートをしています。留学希望者に対して「なぜ留学するのか?」「留学後はどのようなキャリアを積みたいのか?」といった留学のそもそもの目的・目標設定のコーチングを入念に行います。

留学前は語学学校の紹介や、大学の入学手続き、事前英語学習サポートまで。留学中はフォロー面談を行うなど留学の前・中・後のトータルサポートをしています。

◉英語コーチングONE WAY公式サイト
https://www.oneway-english.com/

◉留学コーチングを始めた経緯・背景について
https://www.oneway-english.com/post/ryugaku_coaching

ーコーチングをはじめたきっかけや、コーチングに重点を置いてる理由を教えてください。

ひとつ例を挙げると、日本で活動する伝統工芸職人の方々は良いスキルと良いプロダクトを持っているのに、英語力の不足でそのクォリティの高いプロダクト・ダービスを世界に広められない人が沢山います。

ここ30年間、低迷している日本経済。少子高齢化や社会保障負担などで問題が山積みのこの国で、日本人や日本という国が市場価値を上げていくためには、世界共通語である英語が必要不可欠です。

僕自身、英語学習や留学において自問自答(セルフコーチング)をくり返して、英語や留学の目標を決めていましたが、目標を設定するときは、第三者からの視点が大事だと気づきました。

この経験から、日々の英語学習のモチベーションを上げることやカリキュラム作成、学習における目標設定の助けになるようなアドバイスができると思い、英語コーチングと留学コーチングをはじめました。

ONE WAY(コーチングサービスを提供している組織)としては日本人の英語力を底上げすることにより、世界で活躍する日本人を一人でも多く輩出し、日本人の国際的市場価値を上げることをミッション、ビジョンとして掲げています。

「このままではいけない」と思った大学時代

ー大学時代に転機が訪れたとお聞きしました。どんなことがありましたか?

中高校生のときは部活でサッカーをしていたので、常に目標を掲げ、情熱を注ぎながら活動していました。しかし、大学生になってからはサークルにアルバイト、飲み会など、ただ楽しいだけの目標のない日々を過ごしていたため、物足りなさを感じるようになってしまったのです。

大学生活はとても楽しかったのですが、高校時代の部活動のように、自分の新しいことに挑戦して、目標を達成したいと思うようになりました。そのときに、小学校の幼馴染がミスコンのファイナリストで、大勢の人の前で堂々とパフォーマンスをしている姿を見て「このままではいけない」と思いました。

大学4年間「ただ楽しかった」で終わってしまうともったいない。「何か行動しなければ」と思い、海外に飛び出しました。

ーなぜ海外一人旅を選んだのですか?

他人からすごいと思われることや、他人がしていないことをしようと思ったからです。海外という新しい環境に飛び込むことで、何か自分の中に新しい発見があるのではないかと思い、海外一人旅に出ました。

最初はタイとカンボジアに2週間行き、文化の違いや言語の違いを知ることができたので、とても良い経験をしました。

ーその後、日本に帰国されました。帰国後はどのように過ごされましたか?

旅先では、たくさんの外国人の方や、海外に滞在している日本人の方と交流しました。一人ひとりの人生観やキャリアを聞いて「海外にはこんなにたくさんの面白い人がいるのだから、日本にも沢山の面白い人がいるはず!」と思ったのです。

日本で色々な活動をして、様々なバックグラウンドを持った人々と出逢い、自分の知らない世界を見てみたいと思いました。帰国してからは、離島に滞在してインターンをする島おこしインターンシップやTABIPPOという、若者が旅する文化を促進するためのイベント活動を行いました。

人生最大の挫折。就職活動に失敗した経験から留学の道へ

ー帰国後、挫折をしたとお聞きしました。どんなことがあったのでしょうか?

一言で言うと、就職活動に大失敗したのです。

就職活動する前は海外一人旅やインターンに行き、他の大学生よりたくさんの経験をしてきました。自分のほうが他の就活生より経験値は優れていると思っていましたし、負ける気がしませんでした。スキルもないのに、経験値だけで己を過信し少し天狗になってしまっていたんですね(笑)

今までの人生で大きな挫折を経験したことがなかった(もしくはそのフィールドに立とうとしていなかった)ので、就職活動の失敗は人生最大の挫折でした。「自分は社会から必要とされていないのではないか?」と割と真剣に絶望していましたね(笑)

この失敗・挫折を経たことで、自分は何のスキルも持っていない、ただの「ノースキル文系学生」だと痛感しました。そして、もう一度新たに自分をリセットして、無能な自分を受け入れ、実用的なスキルを身に着けて就職活動にリベンジしようと思いました。

ーその後はどのような行動をしましたか?

最終的に1社から内定をいただいていましたが、自分が行きたい企業・やりたい仕事ではなかったので、内定を辞退しました。何か自分にスキルを身に付けたいと考えた結果、出た答えが英語でした。

単に英語力を身につけるのではなく、英語を使って働く経験は他の就活生と差別化できると思い、オーストラリアにワーキングホリデー制度を利用して渡航しました。

就活を辞めてワーキングホリデー留学、オーストラリアへ

ー自分が本当に学びたいと思えるスキルが見つかったのですね。

そうですね。真っ暗だった自分の人生にひとつの光が見えた感覚でした。就活を辞めて留学に行く。人生で初めて”逃げる”選択をしました。

ー留学に行ってどうでしたか?

一言で言うと、失敗でした。英語力は向上しましたが、英語を使って就労経験を積んで成功する目標は達成できませんでした。

インターン中は、現地の広告企業にてフリーペーパーの広告枠を売る飛び込み営業をしました。ビジネスの場面ではフォーマルな英語を使うことが求められたり、単純に英語力の不足から、自分が伝えたいことを十分に英語で伝えることができませんでした。

結局、営業を3ヵ月間続けたのですが、思い描いていた目標数値とは結果は、ほど遠かったので失敗だったと思います。ただその中でも試行錯誤しながら英語を使って数件の広告枠を売ることが出来たこと、英語を使ってビジネスの場面で働くことが出来たことは、とても貴重な体験でした。「ビジネスの場で英語を使って営業を獲得できた!」と大きな自信になりました。

留学・ワーホリから半年を過ぎた頃に、ふと「自分の大好きなことをグローバルな環境でやりたい」と思い、サッカーのJリーグのクラブで、英語を使って海外営業部として働きたいと思いつきました。そして就職活動のリベンジをするためにワーホリ期間を前倒しして日本に帰国しました。

ー2回目の就職活動はどうでしたか?

実は、2回目も失敗しました(笑)Jリーグのクラブが求める人材は概ね即戦力の中途採用が多かったんです。だから新卒の社会人を経験していない自分は単純にクラブの求める人材ではなく新卒の採用は厳しいと言われ続けました。

その後、就職活動の路線を変更し「自分の経験を活かして英語を使って働きたい」と思っていたところ、ワーキングホリデーを主に取り扱う留学会社からオファーをいただきました。僕自身、留学・ワーホリに行って英語力はもちろん、英語を使って働く経験が出来たことで自信がついたし、価値観も大きく広げることができました。

そして次は自分の留学・ワーホリ経験を伝えてもっと多くの若者に留学・ワーホリを体験してもらいたいなと思い、留学コンサルタントとして留学会社で働くことを決めました。

ー留学会社で働いてみていかがでしたか?

「日本人の価値を上げる」「世界で活躍する日本人を輩出する」という会社のビジョンが僕の考えと同じだったため、とても共感しました。これから留学・ワーホリをする方に、自分の経験談や失敗談を伝えて「話を聞けて良かった」「北川さんのおかげで留学・ワーホリが最高に楽しかったです」と言われたときは、大きなやりがいを感じましたね。

大きな壁や挫折を楽しんでほしい

ーその後に起業をされたとお聞きしました。きっかけを教えてください。

新型コロナウイルスの影響で、世界中の国で入出国制限が敷かれ、留学に行けなくなってしまい、僕の働いていた留学会社は大きな影響を受けました。そのときに、いつ会社が倒産するかわからないと感じ「自分の力でお金を生み出さないといけない」と危機感を覚えたのです。今までの経験、今持っているスキルで自分は何ができるのか?を考えた結果、英語・留学コーチング領域で起業することにしました。

ー起業をするにあたって、不安や心配はありましたか?

はい、自分が起業するなんて思いもよらなかったし、知らないことだらけだったので不安はありました。ただ今までの僕の経験から、不安や心配というよりかは、とにかく行動しなければいけないという気持ちや、単純に「やってみたい」という好奇心が勝っていました。

一人旅に行く、内定を辞退して留学に行くなど、まずは自分の好奇心に任せて行動してみることの大切さを理解していたので、起業という新しい挑戦ができたと思っています。

ー今後の展望を教えてください。

現在考えている展望は2つあります。

1つめは、今続けている英語コーチング、留学コーチングを拡大していくことです。自分のビジョンである「世界で活躍する日本人を増やし、日本人の市場価値を高める」ことを念頭において、ブレずに活動していきたいと思っています。

2つめは、別軸で日本の観光産業をアップデートさせることです。この先、アフターコロナでインバウンド需要が再び高まることが予測され、インバウンド観光は日本が注力するべき巨大産業になり得ます。そこで、1つめの英語コーチング、留学コーチングと関連して日本で観光セクターで働く方々の英語力向上や語学留学サポートなど行っていければと思います。

その他にも全然関係ないのですが、僕はキウイフルーツが大好きなので、国産キウイフルーツに関するビジネスも始めようと考えています(笑)この先は何かひとつのことだけをするのではなく、幅広く色々なことに挑戦していきたいと思っています。

ー最後にU-29世代の方々にメッセージをお願いします。

僕は今までに、就活やインターンで数多くの挫折を経験してきました。自分の生きる意味や社会的価値を疑わざるを得ない時期もありました。今振り返れば、そのような経験は、今の自分に生かされていると思っています。

これから皆さんも、挫折や壁に当たることがあると思います。ですが、その経験は必ず将来に繋がっているので、それを楽しんで欲しいです。そのためにも、まずは勇気を振り絞って行動することが大切だと思います。

ー本日はありがとうございました。これからの北川さんのご活躍を期待しています!

取材:武田健人(Facebook/Twitter
執筆:吉川幸汰(Twitter
編集:本庄遥(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter