「趣味×人間関係」の数値を高めよう!若手祭@大卒運営・紺谷聡太にとっての人生の充実とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第439回目となる今回は、ICTシステム会社で働く傍ら副業でコミュニティ運営をされている紺谷聡太(こんたに そうた)さんをゲストにお迎えしました。

紺谷さんが運営されているのは、新卒から社会人5年目までの大卒限定コミュニティ「若手祭@大卒」。メインの定期イベントでは、プレゼンターが次から次へと流れるように、趣味や好きなことを語っていきます。

コミュニティができ、イベントのスタイルが確立されるまで、紺谷さんは趣味と人間関係の2つをキーワードに行動し続けてきました。今回は、紺谷さんの経歴をお伺いしながら、現在のご経歴に至った考え方に迫ります。

父の会社が倒産。自分と向き合い積極的になった

ーまずは、簡単に自己紹介をお願いします。

紺谷聡太と申しまして、こんちゃんと呼ばれています。富山の大学に通っていましたが就職と機に上京し、現在は社会人4年目です。本業でICTシステム会社の営業をする傍ら、副業では大卒の同世代限定のコミュニティ「若手祭@大卒」を運営しており、2ヶ月に1回程度イベントを開催しています。上京してから人との繋がりができなかったので、上京組で同じ立場の人が同じ場所に集まれば人間関係ができるのではないかと思いイベントを開催したのがきっかけで、丸3年以上活動を続けてきました。

ー精力的に活動されていますね。昔からそのような性格だったのですか?

いえ、学生時代は行動を起こすことが苦手でした。それどころか、先生や友人に迷惑をかけることが多い落ちこぼれだったと自負しています。

そんな自分が変われたきっかけが、父の会社が倒産したことですね。実家は縫製業を営んでいましたが、僕が21歳で大学に通っていたころに会社を畳むことになって。寝る間を惜しんで働き続ける父を幼少期から見てきたので、率直な感想は「こんなに頑張っても結果が伴わないことがあるのか」でした。一方で、僕は不平不満ばかり言い続け行動しないまま大学生になっていて……。自分を見つめ直し、しっかりしないといけないと思いました。

大学4年生の1年間、突っ走り続けていた

ーお父様の姿からたくさんのことを感じ取られたのですね。その後、すぐに行動を起こしたのですか?

そうですね。大学4年生の1年間は、突っ走り続けていました。

まずは留学をしようと思い、費用を自分で貯めてオーストラリアに行きました。現地では自分の考えを言葉にしきれず、常にもどかしさを感じていて。そのためか帰国後には、言葉がスラスラ出てくるだけで「自分はすごい。何でもできるんじゃないか」と思えるようになっていました(笑)。ある意味で無双状態だったその期間に、さまざまな挑戦をしましたね。

次にやったのは、ゲストハウスの管理人です。オーストラリアで身につけた英語力をさらに向上させるため住み込みで働き、大学にもゲストハウスから通っていました。さらに挑戦したことがあって、「0→1でサービスを考えてお金を作る経験」です。具体的には、宿泊者以外にも国際交流を求めている人が参加可能なBBQを企画しました。ゲストハウスの方に支えられながらでしたが、これが初めて自分でお金を生み出した経験ですね。

BBQが成功したことで自信がつき、次は、富山の大学が抱えている課題解決に取り組もうと思いました。

ー富山の大学が抱える課題とは、どのようなものだったのですか?

大学同士の横の連携が取れていなかったことです。

ゲストハウス起点でさまざまな人と知り合う中で、やりたいことに向かって行動している学生が多いことを知りました。しかしながら、それぞれが閉鎖的な大学におり、同じく行動的な学生がいることを認知できていなかったのです。横の連携を取り閉塞状況を打破できれば、富山から爆発力のあるアイデアが生まれると思いましたね。

そこで立ち上げたのが、富山の学生コミュニティだったのです。定期的に情報を共有したり、将来やりたいことをプレゼンしたりする機会を設けました。また、エンターテイメント性の高いイベントも行っていましたね。たとえば、バブルサッカーでの富山全大学対抗戦。初心者と経験者の差がつきにくく誰もが楽しめるものが良いと思い、企画しました。このような企画を通じ、繋がりがさらに深まるのを感じましたね。

富山でのコミュニティ形成を、東京でも応用できた

ー大学時代からコミュニティを運営されていたのですね。冒頭で伺った、上京後のコミュニティ運営に通ずるものを感じます。

たしかに、「富山の大学間」で掴めたノウハウをそのまま「東京の会社間」に持ってきました。社会人になると、自ら機会を探したり作ったりしなければ、新しい人と出会うことがほぼ無くなりますよね。富山の大学が抱えていた課題と、共通点はあると思います。

しかし、知り合いがほぼいない土地では思うようにいきませんでした。富山で開催したイベントには30人程度の集客がありましたが、東京で初めて開催したイベントの参加者はなんと6名。イベントの認知が足りなかったと反省し、僕が作りたいのと似たコミュニティのイベントに参加し直接話しかけるなど、足を使って徐々に広めていきました。

ーSNSで宣伝するなど、イベント参加者を効率良く増やす選択肢もあったと思います。自分の足を使って丁寧に行われていたのが素敵ですよね。

ありがとうございます。参加者の性格や属性、価値観をある程度寄せたかったので、むやみに増やそうとしないことにはこだわってきました。

皆さんも同じだと思いますが、僕自身も性格や価値観が合う人とはリラックスして話せる一方で、そうでない人と話すときには気を遣いますよね。イベントが1000人規模ならば、ランダムに集めても合う人が見つかるかもしれませんが、僕が開催するイベントの参加者は数十人程度。ですので、「何人集めたか」ではなく「誰を集めたか」を大切にしてきました。

また、「いかに繋がれるか」をモットーとしており、打ち解けた状態で交流できるよう、イベントの内容にもいくつか工夫をしています。たとえば、全面芝生の会場で開催したり、毎回芸人を招待したり。そして、イベントのメインは1人5分間のプレゼンなのですが、テーマを「趣味や好きなもの」に変えました。

趣味に関するプレゼンは、最も受けが良かった

ー趣味にフォーカスした経緯を教えてください。

1年半ほど続けたとき、趣味に関するプレゼンが最も受けが良いと分かったのです。

コミュニティで開催するイベントでは、参加者は芝生に寝転がったり周りの人と話したり、自由に過ごすことができます。このような状況の中で、仕事論など真面目なプレゼンはあまり刺さらないと実感しました。趣味がテーマの場合、プレゼンターがキラキラしているので参加者も惹きつけられるんですよね。

加えてそもそも僕は、人生の充実度は「趣味×人間関係」で決まると考えています。たとえば、趣味を仕事にしている人は仕事をするだけで楽しめるし、旅行が趣味の人は好きな人と行くとさらに楽しめますよね。とは言え、趣味がなかったり好きなものが分からなかったりする人もいるので、そのような人が趣味を見つけるきっかけを提供したいと思っています。趣味という映画の予告編をずっと流しているようなイメージです(笑)。

ーイベントをきっかけに趣味仲間が増えたら嬉しいですし、プレゼンターにも参加者にもメリットがありますね!昨年からのコロナ禍で、イベントの在り方も変わったのではないでしょうか?

コロナ前にはオフラインでのみ開催していたので、オンライン開催の難しさに直面しました。コミュニティが重視している人間関係構築の観点では、オンラインは見劣りしますね。イベントの場で偶然生まれる繋がりを、オンラインで再現するのは難しかったです。

しかし、開催しなければ人が離れていくので、オンライン開催の位置付けを考え直しました。オンライン開催を「オフラインに戻ったときの楽しみを作るためのもの」とし、落ち着いたら行きたい居酒屋ややりたいことを皆で持ち寄り、投票制で1番を決め実施するイベントへ進化させました。このようにオフラインにつながることを共有し合っています。

会社ではないから、人間関係に舵を切れる

ー会社員でありながら、信念を持ってコミュニティ運営と向き合われている姿が印象的です。

文化祭のように、何かを企画して実現させるのが好きなんですよね。そうでなかったら、会社員一本で過ごしていたと思います。

僕が運営している「若手祭@大卒」では、人間関係構築に舵を切れるところが魅力的ですね。会社と差別化できるポイントが、「利益を考える必要があまりないこと」だと思っていて。コミュニティの運営陣はみな会社員で安定した生活基盤を持っているので、利益に左右されずに人間関係構築にフォーカスできているのです。

ー最後に、今後のコミュニティや紺谷さんご自身の展望について教えてください。

具体的な時期は決めていませんが、いつかはコミュニティを新卒のメンバーに引き継ぐつもりです。人との繋がりを広げるのは、20代に求められることだと思っていて。30歳が遠い未来ではなくなってきた今、繋がりを内に絞り、深めていきたいと思うようになりましね。その方が人間関係の満足度も上がるかなと。とは言え、上京して繋がりがなく困っている人は永続的にいるはずなので、メンバーが変わっても、僕が築いたコミュニティのような場所を0にしたくはないですね。

僕自身が今やりたいのは、さらに限定したコミュニティでの「観光×飲み」の企画です。コロナ禍で、惰性で参加する飲み会が減りましたよね。僕は、状況が好転した場合にも、飲み会へ参加するハードルがすぐに下がるわけではないと予想していて。だからこそ観光を付け加え、確実に特別な体験ができる場を提供したいと思っています。

このように変化を加えつつ、参加者が楽しみながら人間関係を構築できる場を作り続けたいですね。

ーお話を伺っているだけでワクワクしてきました!本日はありがとうございました。紺谷さんの今後のご活躍を応援しております!

紺谷さんが運営されている「若手祭@大卒」には、下記SNSの申し込みフォームより参加できます。ご興味がある方はぜひ覗いてみてくださいね。

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取材:山崎貴大(Twitter
執筆:田中沙都(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter