monopoがニューヨーク進出。若きクリエイターが立ち上げる「グローバルコミュニティ」とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。今回は、2019年12月にお話を伺ったクリエイティブ会社monopo Tokyo (以下、monopo)に追跡インタビュー。

チームメンバーに多種多様なバックグラウンドを持つmonopo。これまでAmazon、CANADA GOOSE、Red Wing、Reebokなどのパートナーとの関係を育んできました。2021年4月には経営体制を変え、勢いを加速させてきました。

「日本から、グローバルコミュニティとともに世界へ。」を掲げ、10年で世界30都市への展開を目指しています。2019年2月にはロンドンに進出、プロフェッショナルたちが集まるニューヨーク(以下、NY)にて、営業所「monopo New York」を2021年7月15日に設立しました。

率いるのは、デジタルプロデューサー/UXコンサルタントの小迫敏珂と、アートディレクター/イラストレーターの金本芽依、2人のクリエイターです。NY市場の印象と「monopo New York」の構想、その中におけるクリエイターとコミュニティの考え方をお二人に伺いました。

monopo Tokyoについて(前回の取材記事はこちら

東京を拠点のグローバルクリエーティブエージェンシーとして、国内外の様々なブランドにサービスを展開。“A BRAND OF COLLECTIVE CREATIVITY”をビジョンに掲げ、ブランディング・広告・PRを中心に様々な領域において、個人が持つアイデアや創造性を共に発揮できるようなコミュニティ作りを目指している。

 

小迫敏珂/monopoデジタルプロデューサー・UXコンサルタント

中国山東省・青島出身。立命館大学・中国海洋大学にてジャーナリズムを学んだ後、英セントラル・セント・マーチンズにてコミュニケーション・デザインの修士号を取得。修士就学中にロンドンのカムデン区議会にて、UXデザイナーとしてのキャリアをスタート。前職では2020グッドデザイン賞を受賞した「ゆうちょ通帳アプリ」のデザイン等に携わる。

monopoでは、NEWPEACE thinktankと提携した世界経済フォーラム第四次産業革命センターのグローバルPRプロジェクトをリード、また昨年からはNTT東日本の新規事業開発においてUXコンサルティングを担当するなど、国内外案件問わずコミュニケーションのデザインに従事。

 

金本芽依/アートディレクター・イラストレーター

宮崎に生まれ、日本・タイにて育つ。米パーソンズ美術大学にてイラストレーションの学位を取得。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にてイラストレーターとして活躍するかたわら、世界各都市で個展なども開催。

monopoでは、次世代の持続可能性にフォーカスしたISETANの「Beautiful Choice.」キャンペーンをはじめ、Jimmy Choo等のハイエンドファッションや資生堂などプレステージ商材のアートディレクションを手掛ける。

クリエイターと市場のネットワークを構築。交差点をつくりたい

ーmonopoは、10年で30都市での展開を目指すと発表しましたね。そこにはどんな思いがありますか?

小迫:私たちはグローバルコミュニティとして、世界中の様々な才能あるクリエイターと共にコラボレーションしてきました。ここ10年で、クリエイターと柔軟な関係性を持ち、プロジェクトにとって最適な働き方をつくりあげてきました。

日本でのポジションとして「グローバルサービス」が私たちの価値として認識されるようになってきたと思います。

これからも私たちは、グローバルにより拡がり続けるはずです。会社というよりコミュニティとして、いとこ家族同士みたいな形を世界で広げていきたいですね。

ーなるほど。コミュニティの数を広げる感覚なのですね。

小迫:そうですね。日本のクリエイターからも海外で活躍したいという声があり、彼らに挑戦の場を提供したいと思っていました。

プロフェッショナルなクリエイターが集うNYという場所で、市場とクリエイターの交差点みたいになるのが理想ですね。日本のものをただ広めるより、双方の個性を融合することで新しい魅力を作っていきたいです。

ーNY支社は、グローバル化で実現したいイメージに繋がっているものなんですね。

小迫:はい。monopoのミッションは「Collective Creativity(=多様的なコラボレーションを通じて世界のクリエイティビティを前進させる)」です。個人の力を信じて、応援していくのが私達のポイントの一つだと思っていますね。

人の底力は、誰でもどこかに秘めているところがあるんですよ。アンロック(開放)と私達は呼んでいます。環境によって、いくらでも伸ばせるし、掛け合わせで最大化できると信じています。若いリーダーがさらに若い人を信じ、投資体験を共有する循環づくりがしたいです。そのために意識しているのが「コラボレーション」ですね。

実際、累計700名以上のグローバルなクリエーターとコラボレーションをしてきました。社内も25%以上が海外出身という環境です。

コラボレーションといってもクリエイティブだけに留まりません。事業やアート、社会の要素を作るビジネス的な側面で活かしていきたいです。

monopoが関わることで人がもつパワーが最大化することにワクワクしています!

NYは、ぶっ飛んでいてオープンだ

ー海外のクリエイティブと日本を比較したときに、何か違いはありますか?

金本:クリエイティブとして、プロセスの自由度に違いを感じますね。クライアントさんも日本みたいに概要を出してくれるんですけど、クリエイターのフリーダムさ(自由さ)はかなり強いと思います。

だからこそ、アウトプットに驚くこともありますね。

あとは、アメリカのすごいところの一つに、コラボレーターとしてぶっ飛んだ人たちがたくさんいることです!これから仕事をしていくのが楽しみですね。苦労もありそうですが!(笑)

ー「ぶっ飛んでる人」って面白いですね。

金本:多種多様なバックグラウンドのクリエイターがいて本当に面白いです。自分の好奇心を隠さず表現していこう!という気持ちが強いんですよね。

他方で、日本は隠して「趣味嗜好を仕事では見せない!」とする人が多い印象があります。

ー自由であるほうが、個人のクリエイティビティーの最大化が図れそうですね。

クライアントさんもそこに期待をかけていらっしゃるような。双方に良い影響が与えられていそうですね。

金本:私達は何だろう。Catalystですかね。Catalyst(相手に刺激を与えられる人)になるのかなと思ってます。

一緒に働く人を愛せたら、もっと楽しいですよね。

ーお二人は、クリエイターでありながら拠点進出推進をしているのが興味深いです。なぜお二人が取り組まれることになったのですか?

小迫:背景や文脈は特になかったですね。monopoは、プロジェクトもなんでも挙手制なんです。ちょうど、違う市場で挑戦をしたかったので手を挙げました。

また、私自身もmonopoが掲げる「GLOBAL-LOCAL PROJECT」(「小さな組織ーLOCAL」で個人のクリエイティビティを最大化でき、それらを世界中に散在させることで多様な問題に個の力を活かせる環境を創出するプロジェクト)に強く共感しています。選択肢や多様性を増やすには、個々の影響が一番効率的だと信じているんです。

そのため、まずは誰と出会い働くかを大事にしていますね。働く人は、優秀だったら嬉しいけど、その人を愛せたらもっと楽しい。その輪が広がり、新しい人やネットワークに影響を与え合えるのは更なる喜びですね。

金本:小迫と同じスタンスです。新しいことは常にしたいと思っています。

自分の中のルールで、フレッシュネスを常にキープしていきたいし、新しいものを作りたい。インスパイアされたいって気持ちが強いです。

なので誘われたときは、簡単に決めましたね!もう即決。

ーいいコンビですね! お互いグローバルな背景をお持ちだからこそ、分かり合えないみたいなことはありますか?

小迫:まずはお互いの言っていることが理解できるまで、向き合いたいなと思っていますね。

サードカルチャーに生まれると、例えば自分の親なんかが、環境に馴染めるほど言語力がなかったりするんです。そのようなこと対して、育っていくなかで今まで劣等感や疎外感があったりしたんですね。

でも、monopoのようなコミュニティに出会って、その中でエンパワーしてくれる人がいて、手を差し伸べてくれる人もいました。私は、かつて経験した後悔から今のコミュニケーションのスタンスがあると思います。

金本:コミュニケーションは、自分のスタンダードが相手と違うと意識することが大切だと気づきました。NYでも常識を捨てて、1から学ぶスタンスを心がけています。

monopoは「ブラッディメアリー」みたい

ー最後に、これからどんなNY支店を作っていきたいですか?

小迫:私は、自分のコミュニティを作りたいとずっと思っています。

ライフとワークの境目があまりないのですが、どちらも人の繋がりが起点になっていると感じているんです。人間関係を仕事にできたら最高だし、仕事がプライベートにも活かせたら最高だと思ってます。

だから、ファミリー的なコミュニティを増やして広げていきたいです。多様な価値観がクロスする姿をみたい。自分らしくいられる安全な場所でみんなが自信を持つと、生産性も上がるんじゃないかなと思います。

金本:私はナレッジをみんなに広めていきたいです。会社として利益を出すのではなく、共有できたらいいですよね。

monopoは、本当に変わってる人でも受け入れてくれるんですよ。

オタク感ある人たちも「このままでいいんだ、それが武器なんだ」と思える状態があります。みんな違いすぎるけど、最後はまとまりがある会社ですね。

小迫:ブラッディメアリーみたい。女性とかに人気のカクテルで、トマトや野菜が入ってたり香辛料が入っていたり、全然違うとこから取って引き付けたみたいな。

でもなんか飲んだら一体感があるんですよね。とても面白い会社です。

ー素敵な表現ですね。monopoが目指す多様性は、社内のスタンスから湧き出るものだと実感しました。これから日本と海外の架け橋になっていくことでしょう。拡大し続けるmonopoを楽しみにしています。ありがとうございました!

執筆:りっちゃま (Twitter)
取材:山崎貴大(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter

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