様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第308回となる今回は、ダイエットアドバイザー水野純一さん。理学療法士として、活躍しながらダイエットアドバイザーとして活動する水野さんに「迷うことなく決断をくだす」コツやこれまでの人生の歩みについてお伺いしました。
サッカーにのめり込んだ学生時代
ー水野さん、簡単に過去のご経歴も踏まえて、自己紹介をお願いできますか?
水野純一と申します。いまは理学療法士として、墨田区内の施設で働いています。経歴を簡単にご説明すると、高校を卒業してから専門学校に4年間通って、理学療法士の国家資格を受けて合格してから神奈川県の整形外科クリニックで3年間働きました。そして、現職に就いています。墨田区内の株式会社エバーウォークという施設で、介護予防やリハビリをメインにやっております。
ー具体的にどんなお仕事をされてらっしゃるんですか?
活動としては3つあるのですが、1つ目は、5~10名の集団体操(現在は新型コロナウイルスの影響で人数制限中)を理学療法士としてアドバイスしながら病院や医療施設に行かずに済む体づくりのお手伝いをしています。
2つ目はパーソナルトレーニングです。高齢者の方も含めて、40~50代のビジネスパーソンの方や、65歳以降の肩こりや腰痛で困っている向けに、個別で施術を行い、体をケアする活動を行なっています。
3つ目はダイエットサポート。ダイエットに予防医学を取り入れ、ダイエットをしたい方向けにサポートをしています。
介護と聞くと、高齢者の方のイメージになりがちなんですけど、30〜40代ぐらいから予防しておくことをおすすめしています。実際に「お父さんやお母さんの姿を見ていて私もこうなりたくないと思った」と言われる方が割と多くて、長い目で予防したほうがいいとお伝えしていますね。
ー早速水野さんの過去について聞いていきたいと思っています。ちなみに生まれた場所はどこですか?
生まれも育ちも東京です。いまも勤務地から自転車で行ける範囲内に住んでいます。社会人1年目から通勤電車は無理だなと思っていたので、社会人になってから電車通勤をしたことがないんですよね。
ー最初の人生の転機が8歳の頃とお伺いしているのですが、どんな生活だったんですか?
常に2番目ぐらいにいるような感じで、ガキ大将でもないけど、ちょっと目立つところにいるぐらいの立ち位置でしたね。なにをするにしても、副リーダー的なポジションもしくはちょい下ぐらいのポジション。1人でなにかをするよりは、周りに誰かがいて、人が好きでさみしがり屋でした。(笑)
ーなるほど。小学生から運動もされていたんですか?
運動をはじめたのは小2からでに水泳が初めてで小3からずっとサッカーをやっていました。小学3年生ぐらいまではすごく太ってて、足もめちゃくちゃ遅くて、逆上がりも最後までできなくて、残ってみんなに見られているような感じでした。完全に運動神経は鈍かったですね。
ーえ!そうなんですか!全然想像できないです!水泳とサッカーをやろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
親に何かを強制されることは一切なくて、いい意味で放任主義なんで、すごく親に感謝してるんですが、水泳に関してはもう母親に半強制的に連れて行かれました。
「遊戯王カードを買ってあげる」と言われ、嫌々毎週行ってましたね(笑)
喘息を持っていて、体力をつけさせる、が親の狙いだったんですけど、そのおかげで風邪も引かなくなったので、いまはすごく感謝しています。でも、当時はずる休みしてめちゃくちゃ親に怒られてました。
毎週土曜日の昼に憂鬱な気持ちで「王様のブランチ」を見てから連れて行かれてたことはいまでも鮮明に覚えています。
その後にサッカーを始めるんですけど、これも僕の同級生にサッカーを習っている子がいて、その子のお母さんとうちの母親が仲良くて、そこがグルになった感じで、やることになった感じなんです。でも、サッカーはすごく楽しくて、9年間ずっとはまっていました。
ー9年間もサッカーを続けていたんですね。サッカーを続けた理由はあるんですか?
小学校5年生に、ちょっとした選抜に選ばれて、小6で中1のチームに上がるときに、JリーグのFC東京というジュニアユースの入団テストに合格しました。そこから本格的にプロを目指してたって感じですね。
当時のサッカー選手しか考えていなくて。でも、中学に上がったときに、周りのうまさに圧倒されました。中学校に入った時点でその町の1番の選手たちが集まるんです。その中で、スタメンで試合には出ていたんですけど、1番どころか5番以内にも入れなかったので、その辺りからプロは厳しいなと感じていました。
でも、高校生になっても、他にしたいこともなくて、中途半端な気持ちでサッカーを続けていました。
理学療法士を目指した専門学校時代
ー高校を出てからは専門学校に行かれたとのことなんですけど、専門学校に行こうと思ったきっかけはなんですか?
専門学校に行こうと思った理由は2つあって、まず1つ目は仲が良かった友達が「理学療法士になれる学校があるからそこに行く」と言っていて、理学療法士って面白そうと思ったことです。
2つ目は親が看護師で、母に理学療法士の話をしたときに、体の話をされて、体の勉強をしてみたいと思いました。
当時は正直理学療法士は、トレーナーのイメージが強くて。理学療法士になる人はじぶんが怪我をして、理学療法士に助けられたから、その恩返しでなる人が多いんです。でも、僕は怪我をしたことがなかったんですが、トレーナーさんの仕事を見ていて、体関連の仕事なら面白そうだと思って入りました。
ー実際に専門学校に入ってみて、想像と違った的なギャップはありましたか?
理学療法士は脳の構造や働きなども勉強もするんですよ。でも、当時はそんな当たり前を全く知りませんでした。理学療法士の仕事は脳梗塞を持った人や高齢者のリハビリ入院もあるので、脳の構造だけでなく、体の知識をすべて網羅的に勉強するんです。授業についていけなくて、「これはやばいかも」と思いましたね。
やめようと思ったことはないですけど、正直不安はありました。正直、学生時代に勉強を楽しいと思ったことはなかったですね。自分の責任ですが。うん、理学療法士になってからの方が断然楽しいです。
ーそうだったんですね。専門学校で印象に残っていることはありますか?
専門学校の4年目に実習が2ヶ月あって、2つの施設に行くんです。4月〜6月の間は高知に行って、すごく楽しかったんですけど、8月から10月の東京のクリニックはキツかったという記憶が強いですね。整形科のクリニックの担当の先生は親身に教えてくれてたんですけど、僕自身がやる気がなかっただけなので、これも僕の責任です。
その流れで国家試験を受けました。国家試験は通過点で、就職して就職先で活躍するイメージを持っている人もいるんですけど、僕の場合は試験に受かるということがゴールになっていたんです。
実は僕も内定先は決まっていたんです。当時は夢も希望もなかったので、1個上の仲が良い先輩がいるからという理由で内定先を決めたので、理学療法士を目指す方に、これは参考にはならないので、反面教師にして欲しいです。
ー理学療法士という職業を知らない方向けに、実際にどんなお仕事をされているのかを教えてもらえますか?
理学療法士は一言で言うと、人の動作を変えるプロですね。例えば膝が痛い方には接骨院だと、膝にマッサージをするとか、そういう考え方が一般的だと思うんですね。でも、本来痛みには原因があるわけで、右膝を負傷すると、左膝に負担がかかってしまう。その根本を理解した上で痛みの原因を突き止めて、筋トレやストレッチで体の動きを変え、痛みの根本を解決、または痛みとの付き合い方を提案する仕事ですね。
周りの人間が、人生を大きく変えた
ー就職先では、具体的にどんなお仕事をされていたんですか?
最初のクリニックでは、入院患者ではなく、外来と言って歩いてこられる人たちを担当していました。入院ではなく、クリニックの徒歩圏内に住んでる方が歩いてきて、1人あたり20分のリハビリを1日約20人ぐらい毎日やっていた感じです。
最初の4ヶ月ぐらいは全然やる気がないというか、業務はもちろんちゃんとやっていましたが、プラスになることは特にしていなくて、週末どこ遊びに行こうかなとはずっと考えてた。そんな時に、初めて会う理学療法士の先輩にお会いする機会がありまして、
素直にすごいなと思いました。そこからはこのままじゃダメだと思って、業務が終わってからカフェにこもったり、休日もお仕事をしていました。
ーなるほど。周りの方に影響を受けて変わったということですね。理学療法士さんの勤務時間外にされる仕事は、どんなお仕事をされていたのですか?
サッカーをやったり、トレーナー活動もしていたので、サッカー選手やフットサル選手のパーソナルトレーニングっていう形で、友達づたいで個別に紹介してもらって、業務時間外に携わっていましたね。
あとは就職2年目のときに、ピラティスの資格も取りました。ピラティスと理学療法士でピンと来る人は少ないと思います。ヨガみたいなイメージを持ってもらえるとわかりやすいかと。じぶんの武器を増やそうと思って、ピラティスを活用したパーソナルトレーニングをモデルさん向けに実施したりもしています。
ー最初は週末をどう過ごそうか考えていた水野さんですが、ピラティスの資格を取得や、トレーナー活動の開始など大きな変化ですね。入社当初からの心境の変化について教えてもらってもよろしいですか?
理学療法の考え方には変化はないんですけど、理学療法はまだあまり知られていないし、すごくいい仕事なんですよ。マッサージには行かないけど、理学療法を受けて、よくなったという声をよくいただくので、もっと広めていきたいと思うようになりました。
今後は本業外のところで活動の幅を広げていこうと考えてらっしゃるんですか?
いまは本業で成果を出そうと思っています。本業で多くの店舗を任されているので、まずはここの売り上げをしっかり上げたいです。本業に相乗効果を与える副業はやっていきたいですね。
自分で情報発信や課題活動をしてお客さんがお店に来るとかだったらいいのかなとは思うんですが、というようなスタンスです。
迷ったら、やれ
ー今はまさに勤務先の業務に集中をされていらっしゃるというお話ですが。いまの勤務先と出会ったきっかけを教えてもいただいてもよろしいですか?
1年目のときに理学療法の専門家が300人ほど集まる会がありまして、学会のような形で、それぞれの成果や研究を発表する場があったんです。そのときにお会いした内の1人が、いまの会社の社長でした。社長は専門学校の先輩でもあって、業界の中ですごく有名な方なんですよ。社長と毎年1回会ってる中で、「来年から一緒に働かないか」と声をかけていただいて、転職をしようと決めました。
ーなるほど、素敵な出会いがあったんですね。転職をしようと決めたときに、迷いはなかったのですか?
現職の社長がずっと憧れで、前職とはちがうことをやりたいと思っていたタイミングでもあって。患者さんをよくするのにも限界を感じていたので、そのタイミングで社長からお話をいただいたので、迷いはありませんでした。
ー水野さんはご決断をされるときに、あまり迷ったりはされないんですか?
その時のシチュエーションにもよりますが、、なにか行動しなければ、なにも変わらないと思っています。「迷ったら、やれ」が座右の銘で、まずはやってみなきゃなにもわからないですよね。
たとえば飲み会に誰も知り合いがいなくても、行ってみようとか、目上の先生たちが、いっぱいの中で1人で行くってちょっと勇気がいると思うんですが、そこで勇気を出すのが大事なのかなと。うじうじしてても、なにもはじまらないですしね。やらなかったら後悔するなと思ってるので、まずは行動してみようという感じです。
ー「迷ったら、やれ」はとてもいい言葉ですね。水野さんは昔から迷わずに行動していたのですか?
就職していろんな先輩とお仕事を一緒にして、考えが変わってからですね。先輩方の姿を見て、じぶんの能力や価値がない頃は、もうやってみるしかないんです。
自身に対してまだ能力とか価値っていうものがしっかりついてない頃は、もうやってみるしかないんじゃないんじゃないかと。でも、全部やってもなにも生まれないこともあるんです。実際に行動を起こしたからなにも生まれないって事実を学べるわけで、ある程度やってみたらある程度やってみたら、振り返り、引き際を見極めなくちゃいけないな、というのはいまの自分の課題でもあります。まずはやってみて、やらないことを決めた方がいいなと思っています。
ー水野さんはダイエットサポートをされているとお聞きしたのですが、なぜダイエットサポートに挑戦しようと思ったんですか?
ダイエットサポートは予防に関連しているんですけど、予防の究極はダイエットだなと思って挑戦しました。たとえば肥満が原因で膝が痛いと言っているとします。膝が痛い原因は太っていると関連深いんです。お医者さんは患者さんに正直に「痩せろ」と伝えるんですけど、簡単には痩せられない患者さんがほとんど。だから予防医学の観点で、ダイエットサポートをすれば、予防につながると考えています。
それに加えて、理学療法士でダイエットをサポートしている人の数が少ないので、ここに勝機があるんじゃないかなと。
ダイエットのサポートをはじめたのにはもう1個理由あってなにか目立つポイントさえ作れれば、ステップアップもできて、じぶんのポジションを確立できるんじゃないかなと。
その観点で考えると、ダイエットはニーズがあるしそれこそ理学療法士でやってる人がいないので、挑戦しようと決意しました。
-なるほど。水野さんはご自身で決断される印象が強いのですが、周りに相談をされることはありますか?
相談をすることはするんですけど、相談はかなり下手なので課題ですね(笑)。悩みを具体化できていないと捉えられるんですけど、あまり相談はしないですね。最後は、結局自分が決めることだねみたいな感じです。
実際に相談をして、重要なお話をしていただいて、でも最後そこに振られて決めてしまったときの結果を相手のせいにしたくないという思いもあります。
だったら自分で確認する必要があるなと。だから、最終的な選択は自分で決めたいなと思っています。
ー最後に、今後実現したいと思っていることを教えていただけますか?
今後やりたいこととしては、体のことに関わっているのでたくさんの人の体づくりのサポートをしたいと思っています。もうひとつは、実は銭湯の経営をしたいんです。
銭湯の経営者や銭湯とサウナがすごい好きで、僕もよく足を運ぶんです。銭湯に行ってサウナに入ると、すごく思考がクリアになったり、悩みが解決されたり、整理されることもあって。銭湯には高齢者がたくさん来ていますし、銭湯に来るまでに歩くことになるので、結果的に運動をすることにもなります。
銭湯でコミュニティを作れば、一人暮らしをして筋力が落ちちゃってみたいな人も結果も防げるし、体の予防にもなるので、少し先の話にはなりますが、将来的には銭湯経営をしたいと思っています。
-銭湯経営は意外でした!銭湯に行くまでに歩いて、運動をする。そして、コミュニティ化によって孤独感を和らげ、体を整えるまでできれば理想ですね!水野さんが銭湯経営をはじめたときは、また取材させてくださいね!応援しています。本日は貴重なお時間ありがとうございました!
取材者:あおきくみこ(Twitter/note)
執筆者:サトウリョウタ(Twitter)
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter)