大学中退。2度の起業。岡野亮義の個人の信用をアップデートする方法

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。

第285回目となる今回のゲストは、株式会社Parame代表の岡野 亮義さんです。

大学を中退後、1度目の起業。そして、大手企業への転職。株式会社Parameを創業した岡野さん。岡野さんが2度目の創業に至った経緯やこれまでの道のりを、過去の原体験からお聞きしました。

ものづくりに没頭した幼少期

ーそれでは早速ですが、自己紹介をお願いします。

株式会社Parame会社の代表の岡野亮義です。会社としては目指すべきビジョンミッション、個人の信用のアップデートといって、具体的には、テクノロジーの力で学歴や職歴、資格に相当するような新しい個人の信用指標を作るというようなところを目指しています。

具体的なサービスとしては、Parame(パラミー)というビジネスSNS領域サービス展開をしていて、第三者からの推薦状を自分のParameアカウントにストックしておくと、たとえば推薦状が自分が仕事を受けるときや、転職するときのじぶんの信用指標になるイメージです。サービスに合わせて指定企業に、Parameアカウントと連動していて、簡単にオンラインでリファレンスチェックができるサービスを運営しております。

ー既存のリファレンスチェックとParameのリファレンスチェックのちがいを教えていただけますか?

既存のリファレンスチェックは、今まではリファレンスチェックのデータは基本的に1回限りの使い捨てデータになっていたんです。でも、我々のサービスは、1度受け取った良いリファレンスに関しては、登録者自身のParameアカウントに情報がストックされていくので、何度でも活用が可能なんです。

そのため、人事課に応募が来た時点で、応募者のある程度のリファレンスがたまっていて、足りないとこだけちょっと聞けるみたいな世界観を作ることを中期的な目標にしています。

ーParameのサービスで、工夫されている点はありますか?

企業が実施したリファレンスチェックの結果は、受け取った登録者自身のParameアカウントへストックされていくのですが、例えば「この人の弱みは何か?」「ハラスメントがないか?」等のちょっとリスク面やネガティブな点について聞いた質問の回答まで、本人に開示されてしまうと、記載者が遠慮して、正直に書けないといった課題もあります。

なので、基本的に弱みやネガティブな点について聞くような質問への回答は本人に開示されず、企業担当のみが見れるようになっており、基本的に強みや長所などポジティブなリファレンスの記載が、登録者自身のParameアカウントへストックされる仕組みになっています。

ー幼少期はどんなお子さんだったのですか?

今も習性としてずっと残っているんですけど、ゼロから物を作るっていうことに対するモチベーションが生まれたときから高かったようです。

エジソンみたいな発明家になりたいと思っていました。ものづくりが好きで、レゴを昼から夜までずっとやってるような感じの子どもでした。

ーなるほど。ものづくりに幼い頃から関心が高かったと思うんですけど、小学生の頃の印象に残っている出来事はありますか?

小学校は規則を全然守っていませんでした。0歳から小学6年生まで大阪にいて、中学から親の仕事の都合で関東に引っ越しをしました。

小学生のときに、中学校受験のために、塾に通っていたんです。塾で小学校の基本的な勉強は塾で学んでいたので、なにもしなくても成績は良かったです。

印象に残っている出来事は、毛玉の糸を学校の柱に結びつけて走ったことや、夜の学校に入って怒られたことですね。毛糸の玉を持って校内を毛糸まみれにしたときは、こっぴどく怒られちゃいました(笑)

ーええー!それは破天荒すぎます!岡野さんってキャラ的に結構真面目な方だと思っていたのに、意外すぎます(笑)

面白担当だったのかもしれないです。小学校では勉強ができたし、テストも準備なしで良い成績を取れていたので、小学生のときが社会的地位が1番高かったような気がします

スクールカーストのトップからの転落

ー先ほどの話でいうと小学校までは大阪に在住されていて、中学から中学受験を機に東京に出てきたんですか?
そうですね。もともと親が東京出身で、大阪で父親が働いていたから大阪に住んでいました。でも、僕が中学に上がるタイミングで東京に戻ることが決まってたらしくて。

親には「公立の中学に行ってもどうせ友達がいない状態から始まるから受験したほうが良い」と親に乗せられというロジックの元、受験勉強をして、東京の私立の男子校に入学しました。

実は小学校時代からサッカーをしていまして、中高の6年間も部活のサッカーに明け暮れていました。勉強は元からそんなに好きじゃなくて、ずっとサッカーのことばかり考えていたような気がします。

ーなるほど。部活を主軸に学校生活を営まれてたと思うんですけど、部活以外の部分で、自分のパーソナリティー的には何か変化はありましたか?

小学校は、学校の人気者みたいな位置付けだったんですけど、中高時代に6年間ずっと週6日本気でサッカーをしてましたが、一度もトップチームの試合に出れず、ずっとベンチだった。

努力しても思うように結果が出ない。そして、レギュラーになれないという苦悩がずっとありました。小学校時代は、学校に行かずとも好成績でスクールカースト上位のような感じでしたが、中高時代は練習してもしても結果がついてこず、弱者の気持ちが分かるようになった気がします(笑)

ー部活動を6年間やり続けられるのはすごいですね。ちなみに部活以外の学校生活で印象に残ってることはありますか。

男子校だったので、すごい楽しかったですね。やんちゃな奴もいるし。女の子はいないから自由なんです。学年には400人程度同級生がいたんですけど、全員顔見知りで、全員友達みたいな感じでした。

でも、大学受験に差し掛かったときに、高校サッカーは引退が遅いという問題に直面しました。うちの学校は進学校っぽい側面もあったので、部活のメンバーの半分ぐらいは最後まで残らず、受験勉強に専念します。

僕は最後まで部活をしながら勉強も両立していました。理系を専攻していたので、早稲田の理系を志望していたんです。でも、部活を引退して、いざやるぞとなったときに、推薦指定校推薦の一覧がきたんです。

指定校の一覧に上智大学の理工部があったのに応募者が0。僕は第2志望に上智を入れていて、応募の条件を満たしていたんです。「俺は今上智に立候補しただけで、受験が終わるんだ」と部活を引退して1週間後ぐらいに思って、受験勉強すんの嫌だし、この推薦もらおうかなと思って、受けたらひょいって受かった。指定校推薦で決まって、みんなが受験勉強をする中、ボーッと終わりましたね。

大学中退、1回目の起業

ー大学では、どんな大学生活を送っていたのですか?

上智の理工の物質生命理工学部の科学料は、受験勉強で前提知識がある程で、授業が進むんです。

でも、僕は受験勉強をしていなかったので、なにを言っているのかがまったくわからなくて、単位を落としまくってました。単位は取れない状態が続くと、大学が楽しくないと感じるようになって。大学に行く意味がわからなくなって、だんだんと大学に行かなくなりました。

ー思うように勉強が進められなかったりなどの難しさを大学に入学して感じられたと思うんですけど、勉学以外はどういう時間の使い方をされていたのですか?

最初は学内のサッカーサークルに入ったのですが、サッカーは10年以上やったし、大学についていけなくて、つまんねえなと思っていたので、サッカーサークルも辞めて学外で色々やるようになっていきました。

発展途上国を支援する学生団体に入って、ラオスの村で運動会を開催して、チャリティーを寄付したりもしましたね。

1番印象に残ってるのは「Life is Tech!」っていう企業で、中高生にプログラミングを教える企業の学生スタッフとして、中高生にプログラミングの指導をしたり、自分自身もプログラミングを覚えたりもしました。

プログラミングのコードを書いていたら、仕事がいっぱい来るようになったので、受託してアプリを作ったりもしましたね。

ーなるほど。プログラミングにはもともと興味を持たれていたんですか?

2011年に大学に入学してるんですけど、当時はスマホができた瞬間で、アプリとか作りたいみたいな漠然な思いはあって。そもそもプログラムに関しては無知でした。大学の先輩が割とゼロベースでプログラミングを教えてくれたり、「Life is Tech!」も紹介してもらいました。

最初は研修を受けて、その後に中高生に教える現場に入るっていう。プログラミングを教わっていて、もともとゼロから物を作るのが好きだったので、自分で思い描いたものを作れるプログラミングってすげえって思って。大学はプログラミングに1番はまりました。

ープログラミングとの出会いが大きな変化をもたらしたんですね。ちなみにその後の大学生活について教えていただけますか?

大学3年生ぐらいから大学を休学して、4年生になったときに、2年ほど卒業が遅れることがわかっていました。

大学は行ってないけど、同期の友達は多くて。同期の友達がたくさんいるのに、単位が取れない。

同期がいなくなったらもっと単位が取れなくなってしまうと卒業のビジョンが見えなくなって、もう卒業できないかもなって思って。

みんなが卒業するタイミングで、大学を辞めて、じぶんで会社を作りました。

起業までの道のり

ー大学を中退して起業されたとのことなんですけど、起業にはもともと興味があったんですか。

大学1,2年のときに興味を持ち始めて、プログラミング学習するようになってから、アプリの最先端どこなんだって調べるようになりました。
シリコンバレーあたりの起業家に強い関心を抱くようになって、調べていくにつれて、起業をしてみようかなと思いまして。学生時代から新卒の給与ぐらいは受託で稼げていたので、やめてもなんとかなると思って、起業しました。

ー受託の仕事を学生時代していたとのことなんですけど、どうやって案件を獲得していったのですか?

本当に友達が通っていた高校の先生に、個人的なWebサイトを作ってほしいと言わtれたのが最初の案件です。Webサイトを3万円ぐらいで作って。最初は作ること自体が勉強だったので、受注金額にかかわらずちゃんと作っていると、紹介ベースでいろんな案件が入ってくるようになりました。

ー岡野さんは友達が多かったり、周りにたくさん応援してくれる人がいる印象なんですけど、信頼を得るために意識していたことはありますか?

僕は根底に友達を増やしたり、作りたいって価値感が強いんです。それに対して、幸福度を感じる。無意識的なんですけど、ありがたいことに友達がいっぱいいる人生を歩ませてもらってるみたいな感じです。

ー人徳と愛される部分が融合して、結果たくさんの人が集まる。仕事で信用を得るために、こだわりや意識されていることはありますか?

割とそのあたりは真面目な方だったのかラッキーだったのかなと。

中高生時代は、体育会の中で揉まれていたので、常識には非常に厳しい環境でした。仕事もお金をもらっているからちゃんとやらないとって感じです。あとは仕事でいいものを作ること自体が楽しみでもありました。

大きな組織の中を、じぶんの目で見たい

ー起業して「個人の信用をアップデートする」をミッションに起用されていたと思うんですけど、会社自体はどのような変遷を遂げていったんですか。

大学時代からテクノロジーの力で、新しい個人の信用指標を作れるだろうと思っていて、その考えがいまの会社のミッションになっていきました。

人間には発想力やプレゼン能力など、いろんな能力があると思うんですよ。

でも、それって明確に計測することできないじゃないですか。いろんな能力を定量的に偏差値で出して、その結果が登録者の信用補完に繋がるみたいなコンセプトです。

ただグロースとユーザーのニーズを見れていなかったため、事業として伸ばせなくて…

受諾案件があったので、生計を立てれていたんですが、学生の延長線上でしかなかったので、2年弱で、会社を1回閉じて、1回大きな組織を見ていきたいと思うようになりました。

ー会社を閉じて、アクセンチュアに入社を決めたきっかけはなんだったのですか?

じぶんで会社を運営してみて、日本のスタートアップのシステムを知れたので、逆に超大きい組織を見てみたいと思って、いろんなところを見ていたら、コンサルティングファームのアクセンチュアが、入っていいよと言ってくれたので、入社することにしました。

ーなるほど。アクセンチュアではどんなお仕事をされていたのですか?

アクセンチュアでは、前職の起業経験が見られたのかわかんないんですけど、基本的に社内でもめずらしい新規事業の立ち上げの専門部隊に配属になりました。

アクセンチュアでは顧客のほとんどが、大企業になりますが、大企業が新規事業を立ち上げたいってなったときに、なにをやればいいかわからないみたいな課題を抱えるクライアントに対して相談役になって、います。たとえば御社が持っているアセットとブロックチェーンやAI、VRなどを組み合わせて使うと、こういう事業が立ち上げられるんじゃないでしょうかみたいな提案をするんです。

提案後は実際に、事業のプロトタイプを作って、半年ぐらい回してみてそれが本当に事業として成立するかを検証していました。

ーなるほど。0から1を生み出す体験を幼少期からされていた岡野さん的には強みが発揮できそうなお仕事ですね。

おっしゃる通りで、仕事はとても楽しかったですし、社内で0から1を作るコンテストであるデジタルハッカソンの優勝もして、その辺りは幼少期からずっと親和性のあることをやらせてもらってたかもしれないですね。

ーなるほど。アクセンチュアに入社して2年で再度起業の道を選択した理由はなんだったのですか?

アクセンチュアに入る1日目からMAX2年にしてまた起業しようと思っていて、面接時にも伝えていました。でも、本当は1年ぐらいでやめようと思っていた。プロジェクトが2年ぐらいずっと続いて、プロジェクトの区切りが一旦ついたタイミングで、また起業しようと決意しました。

ーちなみに2年にこだわっていた理由はなんだったんですか?

最初は半年ぐらいで退職しようと思っていたんですけど、途中でプロジェクトを投げ出すのは大人として無責任かなと思っていて、一旦そのプロジェクトの区切りがいいとこまではやろうと思って、それがだいたい2年ぐらい続いた感じですね。

あとは大きい会社を見ることで、大きい会社の仕組みが少し見えたような気がして、それでもやっぱりスタートアップの方が好きだなって強く思いました。

個人の信用をアップデートしていく

ー2回目の起業は、以前の起業とどう変わりましたか?

変わったことといえば、1度目の起業は大学中退して、身元不詳人みたいな感じで起業してたんですけど、アクセンチュアを出た後は前職アクセンチュアなら最低限ちゃんとしてるだろうみたいな感じで、見てもらえるのがなんかすごい感じましたね。

アクセンチュアでもらっていた給料は、入社時から全部資本金に回そうと思っていたので、1度目の起業よりもちょっとだけ資本金は増えていますね。

ー「個人の信用のアップデート」を目指す観点は変わらない部分もあると思うのですが、サービスややりかたについて、大きく変わった部分はありますか?

ゼロベースで、事業案を作ってやってるので、サービス内容はもうガラッと変わってます。

僕が会社を辞めた時は、具体的な事業案を持っていなくて、やりたいゴールだけあったんです。世界中の信用スコアをリサーチしていく中で、色々なものが見えてきて。

色んな世界中の「信用スコア」のような事業を調べる中で、例えば中国などだと信用スコアの元データとなっているものが大きく分けて2種類あります。1つは人の金銭支払データで、もう1つが人のパーソナリティーデータ。

中国のアリババなどはQRコード決裁データなどから金銭支払い能力がある程度可視化されるので、このユーザーはどれくらい信用レベルがあるかといったような履歴が残っています。

それに加え、他ベンチャーなどが持っているパーソナリティ面のデータ、例えばSNSの情報やチャット履歴などのデータと連携し、更に強固な信用スコアを算出できるようにしています。

日本でも、LINE PayやPayPay、メルペイなどが、QRコード決済データから、信用スコアリングすると発表をしていました。

そこで、日本でも同じようなマーケット構造になるかもという仮説を持って、金銭支払データではなく、パーソナリティーデータからの信用スコアリングの構築であれば、我々みたいなスタートアップでも、戦える道はあるんじゃないかと考えました。

そうした仮説をもとに、Parameは個人ユーザーは、第3者からの自分宛てへの推薦データをParameアカウントへストックができて、企業ユーザー側からは、そのデータを元にリファレンスチェックが出来るというサービスを提供するというコンセプトに至っています。

ーなるほど。現在は実際に会社を作っていく仲間集めに取り組まれてるとお聞きしたのですが、組織づくりで変わった点はありますか?

組織に関しては、まさにこれから作っていくことがぼくの大きなタスクです。昨年末に資金調達をして、これから組織を作っていかないとなと思って、いろんな人といろんなお話をしつつ、事業とチーム拡大に向けて組織を作っていってるみたいな状況ですね。

ー今の事業を作られたり、組織を作られたりする上で、自分の支えになっているものはありますか?

もとから個人の信用指標を作りたいみたいな気持ちがあったので、それを作りたいって思ってるので、それを作る努力をしてるみたいな感じですかね

ー人間は一般的にモチベーションをずっと持ち続けたり、志を持って続けるのって結構難しいんじゃないかなっていうのを自分も含めて思ったりするんですけど。そういう強い思いを持ち続けられるのはどうしてなんでしょうか?

何か特別な何かをしているとかではないです。特にモチベーション保とうという努力はしてないけど、自分のやりたいことをやっているので、別にモチベーションが下がることはないって感じです。

ーでは最後に、岡野さんの今後の展望について教えてください

我々の事業は繰り返しになっちゃうんですけど、個人の信用をアップデートしていきたいと思っています。

現在Parameは、リファレンスチェックという形式からその人のリファレンスデータを集約するプラットフォームになっています。

でもあくまでリファレンスデータはその人の信用データを構成するデータの1つという位置づけで、中長期的には例えばユーザーのリファレンスデータのみならず、そのユーザーの金銭支払履歴や生活データからより精緻な個人の信用レベルが可視化出来る信用スコアのようなデータ作りに取り組みたいと思っています。

企業側の利用ニーズもリファレンスチェックのみならず、Parameアカウントの信用情報がローンの与信審査の補完材料になったり、はたまた婚活や恋愛時に役に立ったりと、色んな利用法のアイディアは持っています。

Parameが目指す世界観は、「学歴や職歴、資格に相当するような新しい個人の信用指標を作ること」だと思っています。

たとえば初対面の人を会って数分で、その人がどんな人間か判断するってなった時、判断が難しくて学歴や職歴、資格などで判断するしかないじゃないですか。

でも、その時に「人を判断する時に、学歴や職歴も大事だけど、同じくらいParameアカウントの信用スコアも大事だよね」といった世界観を作っていきたいと思っています。

ーこれまでは履歴書の中で判断するしかなかったものが、Parameのサービスが発展し、個人を深く知ることができるようになれば、良いなと思いました。岡野さん、本日は貴重なお時間ありがとうございました!

リファレンスチェックにご興味ある法人の方はこちら→https://parame.jp/recruit

Parame個人アカウントの無料作成はこちら→https://parame.jp/lp

執筆:サトウリョウタ(Twitter
インタビュー:高尾有沙(Facebook/Twitter/note
デザイン:五十嵐有沙(Twitter