ユニークな価値観を持つ29歳以下の世代のためのコミュニティ「U-29.com」がLean In Tokyoと初のコラボイベントを2020年9月26日(土)に開催しました!
Lean InとはFacebook COO シェリル・サンドバーグ氏が立ち上げた団体で、Lean In TokyoはそのLean Inサークルの日本代表チャプターとしてイベントの開催などを行っています。Lean Inとは一歩踏み出すこと・挑戦することを意味し、女性が野心を忘れず挑戦し続けることのできる社会の実現を目標としています。
今回のイベントではキャリアで悩みの多い20代に向けて、2名の異なったキャリアを歩まれているゲストをお招きし、パネルセッションを開催。「自分らしさで人生を彩る!」をテーマにお二方にこれまでの人生・キャリアについてライフログに沿ってお話いただきました。
自分の才能が発揮できる場所を見つけて働く
1人目のゲストは新卒で入社したテレビ制作会社を1ヶ月で退職し、その後紆余曲折を経てNPO法人みんなのコードに就職。2年半働き、2019年11月に一般社団法人Waffleを設立された田中沙弥果さん。平成3年生まれの彼女は「田中さん」も「さやかさん」も多いことからご自身でミドルネーム「アイヴィー」をつけられ、活動されています。
ー今のアイヴィーさんに繋がる8歳の頃の出来事について教えてください。
私はよく「自己肯定感が高いよね」と言われるのですが、その自己肯定感の高さにつながっている出来事は8歳の時に起こりました。家族旅行で泊まったホテルのビンゴ大会に参加した際に、家族の人数分のビンゴカードを私が代表して選んだんですが家族全員がビンゴの景品を当ててしまうという奇跡がおきまして…それ以来、周りから「あなたは運がいいから」と育てられ、私自身も自分は運がいいから大丈夫と自分のことを信じるようになりました。
LEAN INの本でも書かれていますが、女性は男性ほど自分に自信を持っている人が少ないと思います。努力をして結果を出すことがよく自信に繋がると言われていますが、私は努力だけではなく、運も大事な要素だと思っています。
ー自分に自信を持たれていたアイヴィーさんですが13歳の頃には何があったのですか。
小学生のときから自分の意見を発信するタイプの人間でした。共学の公立中学校に進学したのですが、前に立ったり、発言したりすることを止めるようになりました。これは中学校に入って、生徒会長を務めるのは男子などといった暗黙の了解があることを知ったことが影響しています。私は女の子だから前で積極的に自分の意見を主張するのはやめた方がいいかも…と思ってしまったんです。この時の経験が、結果的に今やっているIT分野のジェンダーギャップをなくす活動につながっています。
ー今の活動に繋がる原体験は13歳の頃のことだったんですね。その後新卒で入社された会社を1ヶ月で辞められたそうですが、これはどういった経緯があったのでしょうか。
20歳の時に海外留学に1年行き、帰国後の6月頃から就職活動をしました。当時、私を雇ってくれるところはたくさんあるだろうと勝手に思っていたのですが、実際就職活動をしてみると、時期が遅かったのと、自己主張が強すぎるのも影響してなかなか内定をいただくことができませんでした。
結局テレビ制作会社に入社したのですが、男性中心の会社で、女性は意見を言える立場にないなど入社後のギャップが大きく自分の将来がその会社で描けませんでした。退職の決め手となったのは、料理番組を撮影していた時に急遽番組撮影時に必要なキャベツが足りなくなり、自転車でキャベツを買いに行くことになった時。ふと「なんで私はこんなことをしているんだろう?私にはもっと自分の才能を発揮できる場所があるはずだ」と思ったんです。
違うと思ったらもうそこに居続けるのは無駄だと思い、特に転職先など決めていませんでしたが、すぐに退社。それから2年間はフリーター状態が続きました。
ー思い切った決断をされたんですね。周りからの反応はどうでしたか。
周りからは反対されましたね。でも自分の力をもっと発揮できる場所が絶対にあると信じて疑わなかったので退職に迷いはありませんでした。自分の中の違和感を大事にしないと、いずれ違和感を持ったことすら忘れて慣れてしまうからです。
それでも1ヶ月で辞めたのは日本社会ではハンデで、次の会社を探すのは苦労しました。結局自分が入りたい会社は書類選考の時点で門前払いなので、いっそのこと「自分は何をしたいんだろう?」と真剣に考え、興味のある職種にいろいろ挑戦しました。インテリアデザイナー、塾の先生、メイクアップアーティスト、など片っ端から挑戦していきました。
その中で、やっぱり自分の理想の会社を作るのが1番いいのかもしれないと思い、まずはプログラミングを学び始めました。学ぶ中でプログラミング教育の重要さに気づき、NPO法人みんなのコードに入社しました。そして2019年11月に一般社団法人Waffleを設立しました。一般社団法人にするか、株式会社にするかは迷ったのですが、IT分野のジェンダーギャップを埋めるのをミッションとしていたので、社会から支えてもらいながらやっていける一般社団法人が適切かと思い一般社団法人に決めました。実際たくさんの方に助けられてWaffleは成り立っているので関わってくださっている方、応援してくださっている方に感謝の気持ちでいっぱいです。
ーなるほど。自分の力が発揮できる場所を結局ご自身で作られたんですね。
はい。ニートになっても自分の才能が発揮できる場所があるとずっと信じることができたのはよかったなと思っています。それも、自分に自信を持ち続けていたから。そして何か新しいことをした時に絶対誰か助けてくれる人がいると思い、「失敗って何?」というスタンスで失敗を恐れず挑戦できたこともよかったなと思っています。この2つは今でも変わりません。
もちろん、自己肯定感の高い私でも落ち込むこととかはあります。そんな時は自分の感情に素直になって、とにかく落ち込む。そして栄光の架橋を聴きながら泣いて、最後は寝て切り替えています(笑)あとはその日あったいいことを書き出してみる。その日あったいいことに目を向けることで気持ちも少し前向きになれるのでおすすめです。
大企業の中で自分らしく働き続ける
そしてもう1人のゲストは、大企業で社内での挑戦に留まらず社外での活動やスキルアップに励まれている山近祐加子さんです。現在、新卒で入社した会社で15年目の祐加子さんは、社外でもグラフィックレコーディングやコーチングなど様々ことに取り組まれています。
ー現在15年目を迎えられた会社に就職を選ばれた理由は何だったのですか。
関西の会社・長く働ける会社・仕事内容が面白そうな会社という3つの条件で就活をし、現在の会社を選びました。しかし、やはり本社のある東京に行かないと自分のやりたい仕事ができないと感じ、転勤を決意。上京後は成果を出さないと、と焦ったものの、すぐにうまくはいかない時期ででした。関西にいた頃にお付き合いしていた人と遠距離結婚をするも、東京には知り合いがほとんどおらず大変な日々。自分にしっくりくるコミュニティを求めて、SNS経由で探す中で見つけたのがLean In Tokyoのイベントでした。
ーLean In Tokyoのイベント参加がきっかけで何か変わったのでしょうか。
ジェンダーに対する問題意識を持っていたことを思い出しました。小さい頃から「女の子だから」と言われるのが嫌だったこと、大学でジェンダー学を学び、この現状ともっと向き合いたいと思っていたこと。でも、入社後は日々の業務に追われてすっかり忘れたいたんです。またLean In Tokyoで同じような問題意識を持っている人や共感できるミッションと出会えたことで、やっと自分の居心地のいいコミュニティを見つけることができました。
ーそこから具体的にいろいろと活動を始められたんですね。
はい。社外ではLean In Tokyoの運営に関わり始め、ちょうど会社でもダイバーシティー推進の社内公募があったので手を挙げました。これをきっかけに社内にも似たような問題意識を持っている仲間に出会うことができ、社内でもLean Inサークルを立ち上げることにしました。現在は会社公認のサークルとして活動しています。
ー新しいサークルの立ち上げは、立ち上げよりも継続が大変かと思いますが、どのように継続させてこられたのですか。
団体を継続させるポイントは仲間を作ることだと思っています。自分1人だと仕事が忙しいと動けないこともありますし、気持ちにも波があるので継続することが難しくなってしまいます。同じレベル感で熱量を持っている仲間がいるとそういった時に補い合えるるので、続けることができています。
ーサークルの立ち上げ後は社外の活動をしつつ、順調にキャリアを積んでいかれたのでしょうか。
それが、社外の活動をする中で、大企業の中だけでずっと働いていていいのだろうか、会社の外に出てみたいという気持ちが湧いてきたんです。大企業で働き続けるとスペシャリストではなくジェネラリストになってしまい、専門性のない人になってしまうのではないかと不安に思いました。その時はグループ会社への出向を希望しました。出向したことで、今まで当たり前にやっていた業務にも価値があることが分かり、とてもいい経験になりました。
ー「このままでいいのか?」は大企業で働く人の多くがぶち当たる壁かと思います。
そうですね。大手企業に居続けると「市場価値がないのではないか」という悩みにきっと多くの人が直面し、不安になることかと思います。私はちょうどその時期に大学の社会人講座で学ぶことを決め、その給付金をいただくために指定されたキャリアカウンセリングを受けました。その時にキャリアカウンセラーにも漠然とした不安を伝えたところ、「何かに尖っていなくもいい。丸いままでいいじゃないよ」と言われたのを今でも覚えています。どうしても何か専門がないと、と思ってしまうかもしれませんが、ジェネラリストでもいいんですよね。自分には価値がないと思っていることが誰かにとってはとても価値のあることだったりすることもあるので。
ー社会人講座も受けられたとのことですが、様々なことに積極的に挑戦する意欲はどこから湧いてきているのですか。
面白そうだと思ったらとりあえずやってみるタイプなのが大きいと思います。あとは仕事も働くことも好きなので、いい仕事をするために役立ちそうなことは勉強したいと思っているからですね。初めはいろんなことに手を出すのに不安もありましたが、一度小さく挑戦して良かった体験をしたら、それ以後なんでもまずやってみるのが癖になりました。そしていろいろ挑戦してみた結果、グラフィックレコーディングとコーチング・メンタリングが自分にしっくりきたという感じです。
やりたいという気持ちはそう思った瞬間が強くて、その時にやらなければおそらくやらないと思っています。「チャンスの神様は前髪しかない」という言葉があるのですが、チャンスはその時に掴むしかないんですよね。なので後回しにせず、今しかないということを意識した結果いろんなことに挑戦できたと思っています。
最初の一歩、Lean Inをするのってハードルが高いと思うんですが、一度できればそれがだんだん当たり前になるのでぜひ皆さんにも一歩踏み出してみて欲しいです。
2人の人生観にはスタンフォードが影響していた?!
ゲストのお2人の今に至るまでのストーリーをお聞きした後は、参加者の方々からのQ&Aセッションの時間を設けました。
ー元気になるおすすめの本や記事、Podcastなどがあれば教えてください。
アイヴィーさん:
Podcast の“How I Built This with Guy Raz”がおすすめです。海外の企業やNPOの創業者がこれまでどんな苦労をしてきたかについて話されているチャンネルです。どのエピソードもスケールがでかくて元気になります。
祐加子さん:
私は今流行りのNijiUに元気をもらっています。夢に向かって努力する彼女たちの姿をみて自分も頑張ろう!と。人生初めてファンクラブにも入っちゃいました(笑)
ー人生観を変えた書籍があれば教えてください。
アイヴィーさん:
「20歳の時に知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」という本です。この本は19歳の時、ちょうど留学にいく前に出会いました。この本を書かれたティナさんは起業家支援プログラムに携わられているのですが、彼女のように人に影響を与えられる人間になりたいなとずっと思っています。
祐加子さん:
「LEAN IN」と「スタンフォード式人生デザイン講座」です。「スタンフォード式人生デザイン講座」を読んでから、望んだ道がダメだったとしてもまた違う道を選んで再度自分の人生をデザインしたらいいんだと前向きに考えることができるようになりました。
ー座右の銘があれば教えてください。
アイヴィーさん:
ないです(笑)座右の銘とは少し違いますが、私は占い師さんの言葉を大事にストックしています。オンラインで当たると言われている方の誕生日占いの結果などを良い部分だけスクリーンショットして保存しているんです。落ち込んだ時や、自分を見失った時などにそれらを見返すと答えが見つかったりします。簡単に自己肯定感をあげることができたりするのでおすすめです!
祐加子さん:
座右の銘というか、最近大事にしているのはNijiUのプロデューサーJ.Y.Parkさんが言われていた言葉です。「謙虚は言葉や行動の謙虚ではなく、心の謙虚を意味します。自分自身が本当に足りないと思って、隣にいるみんなの短所を見ないで、長所を見て、心から感謝すること」謙虚の気持ちを忘れずに、周りの人に感謝してなんでも取り組むことを大事にしようって思いました。
全く異なったキャリアを歩まれているお二人ですが、人生観に影響している本がスタンフォード関連であったり、毎日習慣化しているルーティンごとがなかったりといった意外な共通点が見つかるQ&Aセッションとなりました。
自分の人生を自分らしく生きるための第一歩を
イベントの最後には約50名の参加者の方々から今回のイベントの感想や今回のイベントを経て挑戦したいと思ったことなどをシェアいただき、イベント終了となりました。
全く異なるキャリアを歩まれているゲストをお招きしての初のLean In Tokyoとのコラボイベントでしたが、それぞれが自分らしく生きるにあたって何らかのヒントを見つけていただけたのではないかと思います。みんなでこれから一緒に一歩踏み出しましょう(Lean In)!