自信のなかった私がSNSで美文字を発信する理由ー書道師範・ふみか

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。今回のゲストは、Twitterで「美文字脳」の発信や講座を行うふみかさんです。

中学生で書道師範免許を取得するほどの実力を持っていたにもかかわらず、自分に自信が持てずに「書道を教える」という夢をあきらめたふみかさん。そんなふみかさんが再び美文字脳講座を始めるに至る経緯をお話いただきました。

書道のきっかけは祖母の絵手紙

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

私はいま書道師範の「ふみか」という名前で、Twitterで「美文字脳」の発信をしています。隔週で1時間くらいオンラインで美文字脳講座を行い、その後受講者さんの文字を添削する、という活動です。

講座はライブ形式で行い、コメントをもらいながら意見を出し合って、「この文字がどうやったらきれいになるか」などをみんなでディスカッションするような参加型の授業をしています。

ただ教えるだけではなく、みんなが楽しんで美文字がスッと身につくような講座を目指しています。そのため短時間でうまくなる、楽しめる方法を重点的にお伝えしていますね。

美文字脳講座は今年の4月から始めましたが、まだ始めて半年も経っていないのに「ふみかさんのおかげで楽しくできました!」という声をたくさんいただき……そんな声が活動を続ける活力になっています。

ー5歳のときに書道を始めたそうですが、書道を始めたきっかけは何でしたか。

理由のひとつは私の祖母でした。祖母はお習字とか習ってなかったのですが、きれいな字を書く人で。祖母の字を見て、幼いながらに「きれいな字っていいな」と思ったのが最初に文字に興味を持ったきっかけでした。

それで母に頼み込んで書き方教室に通い始めたんです。その体験教室に行ったときの体験も書道を始めるきっかけだったと思います。

私は自分に自信がないタイプの子供だったのですが、体験授業のなかでひらがなの「あいうえお」を書いたときに先生が「すごいね!」と褒めてくれたんです。その先生がモチベーションを上げるのが上手な先生だったんですよね。そこから習字に対してエンジンがかかって、高校生のときまでずっと書道と教室を続けました。

ひたすら書道に熱中した学生時代

 

ーそれから中学生で書道師範になったと。

毎月習字の検定に出すので、そこで飛び級などを繰り返していたら書道師範になってたんです。でも特に練習とかはしていなくて。書道自体は書き方教室の1時間だけでした。

字を書くことが好きだったので、普段ノートに書く文字とかは書き方教室で習ったことを活かすようにしていました。好きなことを続けて、気がついたら没頭していましたね。

ー高校時代はどう過ごされていたのですか。

高校卒業のタイミングで書き方教室の先生が引退なさるまで、ずっと書道漬けの毎日を過ごしてました。

書道科のある高校だったので、授業の前に書き方教室に行って授業でも書道について学び、部活で夜や土日まで部活と今の私では考えられないくらい書道中心の生活でした。ご飯を食べながら寝るくらい必死でしたね(笑)

ーそんな熱中していた書道を辞めた理由は何だったのでしょうか。

書道をやりきったと思ったことや、私の高校卒業と同時くらいに書き方教室の先生が引退されたことなど、いくつか理由はあります。

実は高校の書道の先生になるために、教員になろうと思って教育学部の受験を考えていました。でも、元々自分に自信がない私はとても引っ込み思案な性格で。自分が人前に出ているのが想像できず、私は先生という仕事に向いていないと思ったんです。

それで教員という道を諦めて、書道とはまったく関係ない分野の短期大学に進みました。そこから社会人になって書道はぱったり辞めてしまいましたね。

「自分らしく働いて夫を支えたい」ふみかさんが一歩踏み出したきっかけ

ー再び書道に関わろうと、Twitterで美文字脳を発信するまでどんな気持ちの変化があったのでしょうか。

それまでは書道と離れていたものの、字を書くことは好きで履歴書を手書きで書いたり、職場でもよく手書きをする機会がありました。人に手紙書くときって、手書きだと伝わるし喜んでくれるんですよね。そういう体験を通して、手書きの大切さを伝えられたらと思っていました。

そして去年、夫と結婚したことで気持ちの大きな変化がありました。毎日なんとなく過ごしていた私でしたが、結婚したときにいつか自分らしく働いてその仕事で夫を支えられる人になりたいと思うようになりました。

人生の中でどうしても仕事をセーブしなくてはいけないときがあっても、どこでも自分らしく働けるような、自分らしい軸があればいいなと。今の本業は書道とはまったく違う仕事ですが、本業とは別になにか自分らしい軸が欲しいと思ったんです。

夫は一緒になって夢を応援してくれていて、美文字脳講座の活動の話をするといつもワクワクしながら聞いてくれるんです。いまはそういう毎日をとても楽しく感じています。

ー美文字”脳”とはなんでしょうか。

ただの美文字ではなく、脳を活かした授業をしたいという想いから「美文字”脳”」の講座をしています。

人間は楽しいことや前向きになれることのほうが脳に定着しやすいんです。でも、今の大人向けの授業は堅いものが多いですよね。「脳にとっても、大人への楽しい授業が必要だ!」と思って、楽しく学べる講座を作ろうと思いました。

そのため、私の美文字脳講座は参加型の授業にしています。私が話すより、受講者みんなが自発的に意見を言ったほうが脳が活性化され、自分で考えるんです。自分で考えることによって脳を活かした授業になります。

また、文字の解説に絵を加えたりストーリーにすることで、より記憶に残りやすい授業にしています。字だけではなく絵や思い入れ、その時の場面も一緒に思い出せる。ただの美文字ではなく、脳を活かした授業をするのが「美文字”脳”」講座なんです。

自信のない人も美文字を通して前向きになってほしい

ー好きなことがあっても長続きしないという方も多いと思いますが、ふみかさんのようにひとつのことを長く続けていく秘訣はありますか?

美文字脳講座の話にもあったのですが、苦しいことや辛いことって記憶が定着しにくいんですよね。一方、楽しいことは脳がどんどん吸収してくれて、すぐに成長できる。その結果、モチベーション高く結果を出せるんです。

だから何をするにも楽しむことが一番大事だと思います。

その楽しみ方も、日常の中で楽しいと思えることがいいですね。もちろんテキストに向かって勉強するのも大事ですが、会話をするとか洋楽を聞いてみるとか、自分が楽しいと思える方法が良いと思います。

楽しいと思って続けられて、また楽しいと思うから続けられる……そんなサイクルを作ることが継続できる秘訣です。

ーふみかさんは人と比べず、自分に向き合う生き方をされていますが人と自分を比べないコツなどはありますか?

何かひとつでも、自分の成長体験を目に見えることを残すことでしょうか。

私は習字の検定に出したものをファイリングして、定期的に見返しています。自分の結果や努力を見返すことで、賞に入らなかったことよりも先月の自分より成長していることを実感して、モチベーションに繋がるんです。

そうやって成功体験を積み上げていって、気がついたら書道に没頭していました。

ー自信がない人が自信を持つための方法を教えていただきたいです!

先ほどの成功体験の積み重ねに加えて、自信ない人ほど人と接することを持っておくといいと思います。

私も自分に自信がなく、なんでもマイナスに考えてしまう時期がありました。その時は人と接することを拒んでいて、何も楽しくないって思ってたんです。

Twitterで美文字脳の発信をする中で人と接することが増えて、自分では自信がなかった部分を褒めてもらえることが増えました。人から前向きな言葉がもらえて、自分の好きになれた部分も増えて。今はとても自分に自信が持てるようになりました。

だから、私はこれからもTwitterでの発信や交流は続けていきたいです。前向きになるために人とのつながりを持っていきたいですね。

ー今後、どんなことに挑戦したいですか。

かつての私みたいな、自信がない方や明日に希望が持てない方に美文字を通して前向きになってほしい。それが私の成し遂げたいことです。

いろんなところで私の想いを伝えて、そんな人たちが一歩を踏み出すきっかけになっていけたらな、と思っています。

ーステキなお話をありがとうございました!ふみかさんの今後の活動を楽しみにしています!

美文字脳を学んで自分に自信を持ちたい。そんな方はぜひふみかさんの美文字脳講座に参加してみてください。詳細はふみかさんのnoteをチェックしてみてくださいね。

執筆:えるも(Twitter/ブログ
デザイン:五十嵐有沙(Twitter