「ママのチーズケーキ」VentureBlossom CEO 小泉咲吾が目指す社会とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第582回目となる今回は、VentureBlossom・CEOの小泉咲吾さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

様々な葛藤や挫折を経て、女性と子どもの笑顔を作るための「ママのチーズケーキ」を販売事業している小泉さん。今回は、今までのご経歴や女性のための事業をやろうと思ったきっかけをお話しいただきました。

留学で自分を見つめつづけ、ビジネスをこころざす

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

富山県南砺市出身、現在24歳の小泉咲吾です。神田外語大学進学を機に上京し、社会人経験を経て2020年8月16日に会社を設立しました。

起業後はオンライン上で仮想旅行ができるプラットフォームや香り付きハンドスプレーの販売を経て、現在はママのためのチーズケーキ・ガトーショコラブランド「ママのチーズケーキ」のオンライン販売をメインで経営。「毎日の終わりに、ほっと一息つく一瞬を。」をコンセプトに、2022年3月中のリアル店舗オープンに向けて日々邁進しています。

ーそんな小泉さんはどのような学生時代を過ごされましたか?

小学1年生からサッカーに明けくれていました。学校のサッカー部とサッカークラブで週6日サッカーをする日々。プロサッカー選手を目指して自己研鑽につとめていたのですが、練習試合にすら出してもらえず。高校3年生のときにプロサッカー選手の夢は諦めたんです。

その後中学時代の恩師のような教師になりたいと考え、教師を目指しました。僕の理想は「自分の経験を幅広く話せる」教師だったので、高校3年生の春に留学を決意。夏にはオーストラリアに2ヵ月間、交換留学生として旅立ちました。

ー留学を経験されたのですね!オーストラリアでの生活はいかがでしたか?

留学はキラキラしたイメージがあったのですが、実際に行ってみるとイメージと違っていて残念な思いをしたのを覚えています。現地の学校の授業はもちろん英語なのでなかなか理解できなかったうえに、早めに就寝するホストファミリーだったのであまり長くは話せず……。想像と比べて楽しさを感じにくかったのです。

ですがその分、しっかりと自分と対話することができました。留学の費用は50万円。この金額に見合う経験ができているかを考えつづけたのです。そこで、自分でお金を稼ぐためにブログをはじめました。周りにビジネスをされている方はいなかったので、オーストラリアでは英語の勉強よりむしろビジネスの勉強を多くしていました(笑)。

ーなるほど。小泉さんのビジネスのルーツは留学経験からなのですね。

そうですね。結局ブログでは稼ぐことはできませんでしたが、ビジネスを志すきっかけになり貴重な体験ができました。

実は学生時代は内向的に過ごすことが多くて、自分から行動することはほとんどなかったのです。ですが教師を目指し留学をしてから外に目を向けられるようになり、思い立ったら即行動をするようになれました。この経験は今の僕にとって本当に大きなターニングポイントです。

度重なる挫折を経験しつつも、前向きに思考し起業の道に進む

ー高校卒業後はどのような道に進まれたのでしょうか。

留学経験や中学の恩師の影響で、英語教員になるため神田外語大学に進学しました。積極的に留学する学生が多い大学で、僕自身も大学1年生の中ごろに休学して留学することに。サッカーでの留学をするためニュージーランドに行きセミプロ契約。1シーズンプレーして帰国しました。

帰国後インターンに行った教育系NPO法人で、教員免許を取らなくても教員ができることを知りました。ニュージーランドで生きた英語を学んでいた影響で日本での英語学習が苦痛になってしまい、大学を中退して社会人になることを決意しました。

ー教師になる前に大学を中退されたのですね。社会に出られてどのような経験をされたのでしょうか。

大学を中退した翌月から、投資用物件の不動産営業マンとして働きはじめました。最初はほとんどアポイントも取れなかったので、毎日終電まで商材の勉強をしたり先輩の営業電話を聴いたりして自己研鑽を続けました。そのときお世話になった上司が年下ながら管理職で知識も豊富だったので、営業スキルは上司から非常に学びを得たのです。その結果入社後4ヵ月でアポイント数は増加し、はじめての契約を取ることができました。

その後順調に売り上げをあげつづけたのですが、長時間労働に疲弊し1年で退職。元々興味があった人材紹介会社に転職しました。そこでは自分が思い描いていた人材紹介のあり方とギャップが非常に大きく、耐えきれずに3ヵ月で退職しました。

ー社会人になっても挫折を経験したのですね。

大学を中退して新しい道に進んだのに、この会社のここが嫌だから、この商品は売りづらいからというマイナスの考えで退職する自分ではこれ以上成長できないと感じたのです。自分の理想の仕事をするにはどうすればよいか考えたとき、サービスの内容から営業まで自分でコントロールすればよいと思い起業を決めました。29歳までに起業しようと思っていたのですが、出会った経営者に今すぐにでもすべきと言われすぐに会社を設立しました。

ひとり親世帯が暮らしやすい社会を目指す

ー会社設立後、仮想旅行やハンドスプレーでのビジネスを経て現在の「ママのチーズケーキ」事業に至ったとのことですが、シングルマザーにフォーカスしたきっかけは何かあるのですか?

チーフパティシエである芳賀がシングルマザーの家庭であること、NPO法人でひとり親世帯の現状を目の当たりにしてきたことがきっかけです。

ひとり親世帯は、世帯年収が低い傾向にあります。シングルマザーの平均年収は約240万円。この金額では生活できないのが現状です。そこでひとり親世帯に関心が強い方を雇用することにより、シングルマザー・ファザーが安心できるような環境をつくりたいと考えたのです。

弊社では完全週4日の正社員雇用も行っているので、週3日間お子さまとの時間を過ごしていただけます。また、希望者には独立や副業の仕方を伝える勉強会も開催しています。受けていただくことで、プラスアルファ稼ぐ武器を身につけていただくことも可能です!ひとり親世代が気持ちよく働けて暮らしやすい社会をつくることが、僕の当面の目標です。

ー今後の展望ややりたいことがあれば教えてください。

最終的な目標は、夢を語ることができる街をつくることです。僕は、親や大人は「いかに子どもの夢をサポートできるか、応援できるか」という役割があると考えています。現実を見させるのは親や大人ではなく子ども本人なのです。そのような社会をつくることで、過去の自分に救われるかなと感じています。

また、「ママのチーズケーキ」を店舗拡大させることが直近の目標です。「ママのチーズケーキ」でしっかりと雇用を生んで、いかに全国展開をさせるかを現在考えております。

巷ではSDGsが話題になっており国際問題に目がいきがちですが、実は身近なところにも課題はたくさん落ちています。普段見落としがちな身近な問題にも目を向けてみてほしいと思います。

ーありがとうございました!小泉さんの今後のご活躍を応援しております!

取材者:あおきくみこ(Twitter/note
執筆者:柚月 歩(note/Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter