日本へ帰国後、半年でソウレッジを設立する
ー日本へ帰ってきてからはどのように過ごしたか、お聞かせください。
大学のサークルでの出来事があってから、組織で働くのは無理だと思い、就職はしない方向で考えていたので、起業という選択肢はもともとありました。
そこで、帰国した次の月には起業することを決断し、その半年後にソウレッジを立ち上げました。
ー起業は1人でしたのでしょうか。
デンマークで出会った友人と一緒に起業しました。デンマークにいたときから、この人とだったら一緒にやっていけそうという感覚はあって。帰国してから誘いました。
ー起業当初は、どんなことをしていましたか?
「こんな教材があったら良いな」というアイデアからスタートして、性教育の教材を作ろうとしていました。今思うともっとこうすれば良かったという点はありますし、それだけで食べていけるほどのレベルではありませんでしたが、代表として何かをする体験を早い段階で出来て良かったです。
ーそれはなぜ?
若ければ若いほど、いろんな支援を受けられるので。私はMAKERS UNIVERSITY(メイカーズユニバーシティ)という、学生しか入れない起業家コミュニティに入り、いろんな人に助けてもらいました。
年上の方にはアドバイスをしづらい場合が多いと思うのですが、年下だとみなさん忌憚のない意見を言ってくれます。もちろん言われて嫌な思いをしたこともありますが、結果的には早めにいろんなアドバイスをもらえて良かったですね。
緊急避妊薬の資金負担を、国レベルで実現していく
ー起業してから、転機はありましたか?
コロナが流行し、自動化給付金の申請をして満額で通ったので200万ほどもらったのですが、税金がかかることを知らず、キャッシュアウトしてしまいました。
従業員にはボランティアとして関わってくれる人にだけ残ってもらったり、事務所を引き払って引っ越したり、人に借金をしたりしました。今まで手を貸してくださっていた人たちが辞めていくのはとてもつらかったです。
一方で、プラスの転機もありました。世界77カ国で44のローカル版を発行する経済誌『Forbes』が選ぶ、世界を変える30歳未満30人に選ばれたのです。
Forbesは起業している方がよく読む本だと思っていましたし、起業したときから取りたいと思っていた賞だったので、嬉しかったです。それと同時に、まだ何も成し遂げていないときに賞をいただいたので、不甲斐ない気持ちもありました。
ー鶴田さんの今後の展望について教えてください。
私たちが取り組んでいる緊急避妊薬の資金負担は、本来であれば「18歳以下は無料にする」など、国や地方自治体で制度として作ってほしいと考えています。実際に政策提言で自民党の方との接点ができて、事例を作ろうという動きにもなっているので、その動きを促進していければと思っています。
ー最後に、U29世代の方へメッセージをお願いします。
大学生のときに、「卒業したらこういう仕事に就きたいな」とか考えると思いますが、卒業する前にその仕事をやってみた方がいいと思います。例えば投資家になりたければ、ベンチャーキャピタルへ入って投資する側の視点をもつなど、早めに動いた方が良いと思います。
「やりたい」と思ったことを、大事に取っておく必要はなくて。早くやればやるほどたくさんの人が助けてくれたり、周りと差がつけられると思うので。
そう思いつつも、「何歳になってからでも、やりたいことはやればいい」という気持ちもあって。例えば60歳になって「もう60歳だから……」と思いがちですが、60歳から80歳までやれば20年もできる。早くやればやるだけ、長く楽しめるという気持ちはもち続けてほしいですね。
人生はいつ終わるかわからないので、私も、やりたいことは今やろうと思います。
ー鶴田さんは若いうちから起業したことでいろんな恩恵を受けたとお話されていたので、説得力がありますね。本日はありがとうございました。鶴田さんの今後のご活躍をお祈りしています!