様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第516回目となる今回は、株式会社Shining代表取締役・大橋星南(おおはしせな)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
学生と経営者の交流を通し、日本の未来を創造する大橋さん。夢の挫折の先にあった「学生の夢のきっかけ作り」について、日本一周の旅や学生団体設立についても交えながら語っていただきました。
「ゴルフのせな」から「ゴルフ」が消えて。自分が何者なのかを探す旅へ
ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
就活支援のための人材育成・人材紹介事業を展開する株式会社Shiningの代表取締役を務めております、大橋星南と申します。
人材事業の他には学生のためのオーダースーツ事業や、社長の思い出の詰まった財布や革製品を向上心や熱意のある学生にバトンタッチする「社長の財布」事業を行っております。
ーそんな大橋さんはどんな幼少時代・学生時代を過ごされましたか?
7歳の頃にゴルフを始めて、17歳までプロゴルファーになる夢を追いかけていました。
ジュニアゴルフレッスンに通いながら毎日練習していましたが、練習をせずに出た大会で好成績を納めることが続き、練習へのモチベーションが下がってしまって。全国大会にも出場させていただきましたが、プロゴルファーの夢は諦めてしまいました。
すると「今までの自分は周りから『ゴルフのせな』として覚えられていた。しかしゴルフをやめた今、このままだと何のとりえも無い人間になってしまうのではないか」と不安を感じるように。
そんな時期に、YouTubeで日本一周をしている人の動画が目に入りました。僕も同じような旅をすれば「やりたいこと」が見つかるかもしないと思い、5ヵ月間バイトをして必要な金額を溜め、大学入学後に日本一周の旅を始めました。
人生の目標を探すために日本一周。大切なことを教えてくれたのは、旅が終わった後の「発信」だった
ー大橋さんにとって、日本一周はどのような旅になりましたか?
退路を断つために、出発前に周りに「日本一周をする」と公言していました。応援してくれる人もいましたが、中には「どうせ無理だろう」と態度で示してくる人もいて。絶対に成功させてやるというプライドで車を走らせました。
49日間の旅はお金も泊まる場所も無く、道の駅にテントを貼って寝る毎日でした。しかも運転免許も取りたてだったので初心者マークも付いたままで(笑)。旅の前半は不安の方が大きかったです。
ー不安な旅が楽しくなった瞬間について教えてください。
ある日、すぐ側が崖の山道を半泣きで走っていた時に、突然目を見はるほど美しい風景が広がりました。
三重県の丸山千枚田という日本の棚田百選にも選ばれた棚田群だったのですが、その美しさに一瞬で心が奪われて。
自分の旅は寂しく孤独なものではなく、こんなにも美しいものに出会える素晴らしい旅になるんだな、と思えたターニングポイントでした。
ー日本一周の旅を終えた後、変化はありましたか?
日本一周は「人生の目標や幸せを見つけたい」と思って挑戦しましたが、残念ながらそのようなものは見つけられなくて。とはいえ、せっかくの旅だったので記録を残そうと思い、動画編集技術を学びYouTubeに日本一周の模様を投稿しました。
すると、想像の100倍くらい反応があって。「勇気をもらった」「自分も旅をすることにした」など温かいメッセージをもらえて感激し、自分の軸となるマインドを見つけました。
自分が挑戦することによって、少しでも誰かのきっかけになれたり、勇気になれたりすることが自分の幸せだ、と。この気持ちへの気づきが、今の自分の仕事にも繋がっています。
学生団体設立、そして起業。閃きと行動力が生んだ、現役大学生と企業が「同時に幸福になる方法」
ー日本一周達成後、起業に至るまでの道をお聞かせください。
日本一周の後は海外へも赴き、さまざまな文化や宗教、歴史を学びました。特にフィリピンの一部など貧困への問題を抱えている国では、雇用問題について考えさせられました。
世の中には自分が知らないことがあまりにも多い、もっと効率よく知らないことを学びたいと感じ、友達5人のLINEグループを作成したんです。これが、僕が現在代表取締役を務める株式会社Shiningの原型です。
このLINEグループは「勉強になるWebサイトを皆で共有し、お互いの教養や人脈をシェアする」という目的で作ったのですが、コロナの流行の影響もあり、あっという間に30人ほどのグループに成長しました。
さらに、日本一周の時の動画編集技術を活かしてプロモーション動画を制作すると、一気に120人ものメンバーが集まりました。
せっかくこれだけの人数が集まってくれたこともあり、立ち上げたのが「人材育成団体Shining」という学生団体です。
ー学生団体ではどのような活動を行なっていましたか?
将来的に会社を設立したいと思っていたのですが、まずは社長さんに会って人脈を作り、知識や経験を増やす期間でした。
ある時に社長さんに「紹介料をあげるから、インターンをしたい学生を紹介してほしい」と頼まれたことがきっかけになり、学生と経営者の交流会のアイデアを閃きました。
というのも、周りの大学生を見ていると「2年生まで遊んで3年生で慌ててインターンをし、自分のやりたいことが分からないまま就職して、数年後に『やっぱりここじゃない』と退職をする」というパターンを多く見受けます。
会社からしたら、新卒を採用する気も無くなりますよね。この悪いサイクルが就職氷河期の原因の1つだとも考えています。
就職難や早期退職の原因は、新卒を採用しない会社の責任でも、適当にインターンをする学生の責任でも無い。そもそも、在学中の学生が「自分のやりたいことを見つけられるきっかけ」に出会いづらいからだと考えたんです。
では、どうしたらそのきっかけを提供できるだろうか。考えた時に出した結論が「学生と経営者の交流会」です。
経営者の話を聞くことで、学生が在学中に将来のビジョンややりたいことに出会ってほしいと考えました。
元々は情報共有を行う学生団体だったShiningを「イベントをする学生団体」に変更し、学生と経営者の交流会やランチ会などをどんどん開催しました。
ー小さなグループだったShiningがどんどん成長できた秘訣は何だと思いますか?
「できることからやっていく」です。
最初から会社を立ち上げたり大きなイベントを開催したりするのは、簡単なことではありません。しかし、LINEグループを作るだけなら誰でもできますよね。
そんな「誰でもできること」を少しずつやっていった結果、自分にしかできないことができていった、という認識です。
ー学生団体のShiningが会社へと成長した経緯をお聞かせください。
学生団体として多くのイベントを開催する中で、学生団体と会社でシナジーが生まれるためにできることを考えた時に閃いたアイデアが「人材紹介」でした。
学生団体と会社が協力をし合い、お互いを高めていく関係性を作りたかったんです。
・学生のメリット
経営者に会い、やりたいことを見つけ、ビジョンに会う会社を紹介してもらえる。
・企業のメリット
リクルートサイトでは見つけづらい「意識が高い学生」に簡単に出会え、個人オファーができる。
このように、お互いにとってメリットのある人材紹介事業に可能性を感じ、会社を立ち上げました。
ー会社の立ち上げで大変だったエピソードはありますか?
実は、特にありませんでした。原型である学生団体がコンスタントに活動していたことが大きいですが「会社ってこんなに簡単に立ち上げられるんだ」と驚いたほどです。
書類を書いて、必要な金額を支払ったら終わりで。想像よりずっと簡単で。頭の中でイメージして尻込みするよりも、実際に行動するべきだと感じた出来事でもあります。
ーいま会社を運営している上で大切にしている考え方は何ですか?
未だに経営や会社運営は未知の世界なので、毎日が分からないことだらけです。だからこそ「とりあえずやってみる」の意識を大切にしています。
まずはやってみてからヒアリングをして、在り方を変化させる。このトライアンドエラーが、大変でありながらも楽しいんです。
Shiningの無双=日本の無双。学生と経営者の密な繋がりが生む豊かな未来へ
ーこれからの大橋さんの挑戦や、未来への展望をお聞かせください。
今後は、スタートアップ企業に投資をして「学生の起業家がどんどん生まれるループ」の仕組みを作りたいと思っています。
例えば、学生団体Shiningでビジネスコンテストを開催して学生に起業をしてもらう。その会社が成長したらインターンや新卒を採用するためにShiningのイベントに来てもらう。
その場には次世代の学生たちがいて、Shiningを通して起業した経営者の話を聞いて。話を聞いた学生がビジネスコンテストを通して起業して……というように、学生が起業して若い人にお金が回るサイクルを作りたいです。
最終目標は「Shiningの無双=日本の無双」です。
Shiningが活躍して若い人にお金が回ると、学生が稼げるようになり、家庭を持つ余裕ができる。すると、少子高齢化問題も解決するのではないかと考えています。
株式会社Shiningの強みは、学生と経営者の密で多彩な繋がりです。これを利用して、起業に失敗した人へのビジネスやサポートをしていくこともこれからの課題です。
ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!
僕の座右の銘は”Action may not always bring happiness; but there is no happiness without action.”。
行動するからといって幸せになれるとは限らないが、行動しなければ幸せは訪れないという意味です。
「とりあえずやってみる」は何より大切なマインドだと思っています。不安を感じながら足踏みしているよりも、まずは行動することを心がけてください。
また「どんな偉業も初めは小さな一歩から」という言葉も大切にしています。
歴史に名が残る偉人も、生まれた時は僕らと同じ無力な赤ん坊です。そこから何度も何度も「一歩」を繰り返し、偉業を成しとげました。
どんな小さなことからでも、一歩ずつ進むこと。自分の抱く夢の大きさに臆さずに、まずはできることから確実な一歩を踏みだしていきましょう。
ーありがとうございました!大橋さんの今後のご活躍を応援しております!