関芳実に学ぶ、一歩踏み出す勇気とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第549回目となる今回は株式会社StockBase代表取締役の関さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

株式会社StockBaseを大学在学中に設立した関さん。就職か起業で迷った時期がありつつも設立への一歩を踏み出した関さんに、一歩を踏み出すための方法と大切にしている価値観をお話いただきます。

在学中に株式会社StockBaseを設立

-簡単に自己紹介をお願いいたします。

株式会社StockBase代表の関 芳実と申します。現在は横浜市立大学に在学しており、2021年4月に共同創業者と一緒に株式会社StockBaseを設立しました。

StockBaseは災害備蓄食やノベルティなど、企業内でまだ使えるけれど廃棄されてしまう物を有効活用したい企業と、その物品が欲しい団体様をマッチングするプラットフォームを提供しています。

-StockBaseのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

大学3年生のときに「カレンダープロジェクト」に関わったことがきっかけですね。カレンダープロジェクトは、ある企業が毎年余ってしまうカレンダーが勿体無いとのことで高齢者施設に搬送しており、その搬送をお手伝いするプロジェクトです。

プロジェクトに関わってはいたものの、正直日付は携帯で見るためカレンダーは不要じゃないかと思っていました。しかし高齢者の方々は薬の飲み忘れ防止でカレンダーを活用されており、不要だと思っていた物が一歩外に出ると多くの人に喜ばれる事実を知りました。そこから物が循環する仕組みを作りたいと思い、この事業を始めました。

-ありがとうございます。現在は休学して事業に注力されていますが、事業に注力したいと思った理由を教えてください!

興味本位で受けた「起業プランニング論」で新規事業開発が面白そうだと感じたことと、起業プランニング論の授業で立ち上げたビジネスプランを最後までやり切れていなかったことが、就職ではなく事業化に進んだ大きな理由になります。

そもそも大学入学時は医療経営をやりたいと思っていましたが、大学3年生で就活を始めたときに最初から医療業界だけに絞るのは勿体無いと思い視野を広げていました。しかし、視野を広げすぎて自分が何をやりたいのか分からなくなってしまい、そのときに受けた授業が起業プランニング論でしたね(笑)

-就職と起業の2軸ですごく悩まれたかと思いますが、どのぐらいの期間悩んでいましたか?

そうですね、2~3週間程度でしょうか。早く決断できた理由としては、根拠のない自信を持っていたことが大きいかなと思っています(笑)休学し起業して仮にうまくいかなかったとしても、自分の人生に活かせる何かを得ることができるという、根拠のない自信がありました。

メンバーが続けたいと思う組織づくり

-根拠のない自信は、中学や高校時代にも経験していたのでしょうか?

中高一貫校でバスケ部に所属しており、中学生のときは高校生の先輩と1on1をすることがありました。そのときの経験が根拠のない自信を持つきっかけとなっています。

先輩と1on1をするとき、相手が経験もスキルも上ではありましたが「ここは先輩を抜いてシュート決めれる!」と根拠のない自信を持つことで、本当に先輩を抜いてシュートを決めることができました。そのときから、壁が立ちはだかっても根拠のない自信を持てば、時にその壁を壊すことができるのでは?と思っています。

-バスケ部では部長をしており、楽しむより悩むことが多かったとか…

先輩が少なかった関係上、中学2年生〜高校2年生まで部長をしていました。高校生のときに各部員のモチベーションの違いからすれ違いが起こり、チーム全体の雰囲気が悪くなることがありました。当時はチームがどうしたらうまくまとまるのか悩むことが多く、純粋に部活を楽しむことができなかったです…

-バスケ部で学んだことが、大学生で参加した学園祭の実行委員で活かされたとのことで、どのようなことを学ばれたのでしょうか。

部員同士のすれ違いの一番の要因はモチベーションの違いだと思っています。高校生のときは、チーム全体でどのようにモチベーションを保っていけばいいのか分かりませんでした。しかし、大学で学園祭実行委員の広報局長を勤めることになり、そこではメンバーのモチベーションを保つことができたと感じています!

具体的に実施したことは2つあり、1つ目は長期目標と短期目標をきちんとメンバーに周知させることでした。2つ目は気を配りメンバーとのコミュニケーションを大事にしました。

少し楽しくなさそうな子がいれば、さりげなく聞いたりしていましたね。完全にモチベーションが下がってしまってから再度上げていくことは難しいため、下がりきる前に引き戻すことを意識していました。

-学んだことを活かされていてすごいです!広報局でのお仕事をもう少し詳しく教えてください。

実行委員会の中では広報局はSNS運用をメインでしており「SNS運用だけをしている楽な局」というイメージがありました。広報局員自身も同じイメージを持っており、本人達のモチベーションも下がっていましたね。モチベーションを上げるために、「貢献の周知」を意識して活動していました。具体的には、1万人の来場者を目指すという目標があったので、その目標に対して広報局がきちんと貢献したという事実をメンバーに知ってもらえるよう努めましたね。

また、毎年メンバーに来年も委員会をやりたいかどうかを聞いており、私が広報局長を勤めた代のメンバーが全員「また来年も広報局員をやりたい」と回答してくれました。みんなが続けたいと思ってくれるような組織づくりは達成できたかなと思っています。

一歩踏み出す勇気を持つために

いろいろ経験をされた関さんですが、大事にしている価値観はありますか?

大事にしている価値観は2つあり、1つ目は前にもお話した根拠のない自信を持つことです。自分の殻を破るためにも、時には「自分にもできる!」という勇気に繋がるような自信を持つことは大事だと思っています。

2つ目は、一歩を踏み出す勇気を持つことです。私は一歩を踏み出す勇気を持つことができたからこそ、就職という道ではなく起業の道を進むことができました。一歩踏み出すときは両親など、自分のことを分かってくれている人に相談をしましたね。両親からは覚悟を持ってやりなさいと後押ししてくれました。

-なかなか一歩を踏み出す勇気が出ない方もたくさんいらっしゃるかと思います。その方達へ向けて、踏み出しやすい方法があれば教えてください!

まずは、踏み出し切れない原因を見つけることでしょうか。例えば踏み出したことによる結果とリスクを洗い出し、圧倒的にリスクが高ければ踏み出さない選択肢もあると思います。リスクはあるけどやりたい思いが強いければ踏み出した方がいいかなと思いますし、そのときに根拠のない自信が活きてくると思います。

-ありがとうございます。発信も大事にされているということですが、どのタイミングで大事さに気づいたのでしょうか。

起業してから発信の大事さには気づきました。学生起業にあたるのでたくさんの方が応援をしてくださいますが、応援って何から始まるのだろう?と考えたときに、共感が応援の第一歩だと思いました。共感を得るためには、自分の考えや想いを伝えることが欠かせないので、発信を大事にしています。共感が応援に繋がり、応援してくださる人が会社についてさらに広めてくれたりしたので、応援の力は偉大なと思っています。

また、高校生のときは人の意見ばかり聞いていましたが、大学生の広報局長のときは自分はこうしたい!という想いを伝えることで人を巻き込むことができたので、想いを発信することの大事さを実感しました。

-最後に今後の展望を教えてください!

まずは会社のミッションに掲げている「モノと想いを循環させ、豊かさを分かち合える社会へ」を実現するために事業の拡大をしていきたいです。物品を出したり、何かの役に立ちたいという企業側の想いと、物品の受け取り側が活用できて嬉しいなどの声を集め、モデルケースを作っていきたいと思っています。

-貴重なお時間ありがとうございました。事業拡大に向けて応援しています!

取材者:武 海夢(Facebook
執筆者:藤川 結貴(Facebook/note
デザイン:安田遥(Twitter