様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第530回目となる今回は、株式会社Twenty-Two代表の濱島優里さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
持続可能で倫理的な社会づくりのために、「AWAKE&」を立ち上げ、誰でも体系的にエシカルについて学べるオンラインスクールを提供している濱島さん。
エシカルに関心を持ち、スクールの運営にまでに至った経緯や、濱島さん自身のエシカルなマインドの持ち方について語っていただきました。
命あるもの全てに配慮するエシカルなライフスタイルの原点
ー簡単な自己紹介をお願いします。
株式会社Twenty-Two代表の濱島優里です。2021年1月から、「AWAKE&」というエシカルなライフスタイルを学ぶためのオンラインスクールを運営しています。
エシカルやサスティナブルに興味がある方が、それらを分かりやすく、体系的に学べる場所を目指しています。
ーエシカルというキーワードは今とても注目されていますが、濱島さんにとってエシカルとはどんなものですか?
エシカルは直訳すると「倫理的な」という意味です。その倫理的になる対象を、例えば企業が、取引先やお客様に設定することはあると思います。それだけではなく、環境や動物など命あるもの全てに配慮して生きていこうというのがエシカルの考え方です。
「AWAKE&」では、1人1人が普段の行動を通して、エシカルに生きていくことができるというのを提示していきたいと思っています。
ー何がきっかけでエシカルに興味を持ち始めたのですか?
小学校6年生の時、たまたま地球温暖化や、貧困問題、森林伐採について知る機会がありました。そのときから問題意識を持ち、ビニール袋を断るなど小さな行動は続けてきましたが、だんだんと遠いどこかの話に感じて……。
しかし社会人になり、Netflixのドキュメンタリー映画『Cowspiracy』を見たことをきっかけに、その当時の気持ちを思い出したこともあり、改めてエシカルについて考えるようになりました。
ー興味を持った後、どのようなアクションから始めたのですか?
ドキュメンタリー映画を見て、お肉を食べるととても環境に悪影響を与えるということを初めて知って、そこで食べるお肉の量を減らさなきゃと思い、まずはヴィーガンレストランに行ってみることから始めました。
大好きだった旅の仕事。そこから生まれた新しい旅の可能性
ー(企業する前の)前職はTABIPPOで旅のPRの仕事をされていたんですよね?
そうです。学生時代から旅が好きだったので、それを仕事にしたいと思いTABIPPOに入りました。
日本のパスポートは世界で一番信頼性が高いと言われており、基本的にどこにでも入国できます。でも、意外と海外に行ったことがない人がたくさんいて、勿体無いなと思っていました。
海外に行くと、視野も広がって、生きるのが楽になることもたくさんあると思っています。もっと旅の魅力を知ってもらって、若い人たちに海外に行って欲しいという思いで働いていました。
具体的には、各国の政府観光局が、日本の若者をもっと自国に呼びたいとTABIPPOに依頼してくださるので、そういった国の魅力を伝え、訪れる人を増やするために、あらゆるPR方法をご提案していました。
インフルエンサーの方と一緒に取材に行ったり、記事を書いたり、動画を作ったり、いろんなことに挑戦していました。
ーそこからなぜTwenty-Twoを立ち上げたのでしょうか?
すごく仕事は楽しかったのですが、働くうちに旅の問題点というのも見えてきました。
例えばオーバーツーリズムのように、1ケ所に人が集まりすぎて、地元の人が迷惑していたり、ゴミがすごく増えてしまったりといった問題です。
そこから、サステナブルツーリズムのような、ただのレジャーではない旅をもっと伝えたいと思うようになりました。その時には、お肉を食べる量を減らして、菜食料理の美味しさに感動することが多々あったので、世界中のヴィーガンレストランを巡り、菜食の可能性について発信する活動をしようと考え会社を辞めました。
しかしコロナが流行し始めたことで、ヴィーガンレストランを巡る旅は難しくなってしまったため、別の方法での起業に専念することにしました。
ー好きな仕事を手放して、新しいことに挑戦をするのは難しい決断だと思うのですがいかがでしたか?
自分で決断をすること自体は慣れているので、そこまで難しいことではありませんでした。
自分で決めることが大切だと思ったきっかけは、水泳です。
大げさに聞こえるかもしれませんが、小学生時代に通っていたスイミングスクールが人生で一番ハードでした。3歳くらいから水泳を始め、5歳くらいの時に選手コースに選ばれました。選手コースは練習が厳しく、それが本当に嫌でしたが、やめたいと言えず9歳くらいまで続けていました。
でもある時限界を感じて、親にはっきりと、辞めたいと伝えたんです。
そしたら水泳をやめられた翌日の朝に、それまでの人生で一番の幸福感を感じたんですよね。その時から、嫌なことはやらない方が幸せと考えるようになりました(笑)。
それ以降、無理して何かを続けたり、体力的にきついことをやったりするのをやめるようにしました。やりたいこと、好きなことをやっていこうと決めたのもこの頃だと思います。
ーそのおかげで、本当に自分のやりたいことを見つけて、できるようになったんですね。
そうですね。中学生の時も眠いとか、部活の朝練で疲れたという理由で、保健室で普通に授業をさぼっていたんですよ。計画的に成績に影響のないように、休んでも良い回数を計算して、保健室で寝る日を作ってやっていました(笑)。
でもそうやって体力を温存したり、無理をしないことを徹底したりしていると、無理してない分、人にも優しくなれますし、余裕を持ちやすくなります。そうすると、「本当に何をやりたいか」という心の声が聞こえやすくなってくるんですよね。なので、限界を超えないようにというのは徹底してます。
ー自分の限界を決めるのは難しいと思うのですが、どのように決めてるんですか?
1日の中で、絶対に日中に眠くならないようにしています。もしそうなったら、それは睡眠不足や休み不足です。常に身体的に不快感を感じない状態にするのが大事だと思います。
ーすごいですね。それを実践できるようになったのは独立した後ですか?それとも、会社員の頃から実践していましたか?
会社員の時からだと思います。私が新卒で入って働いていた会社は、バリバリに働いている人が多かったんですよね。月1回女性が取れる生理休暇のような制度があったのですが、周りの女性はほとんど使ってなくて……。
私は心と身体の健康が何より大事だと思っていたので、生理休暇の活用もそうですし、残業も最低限にしていました。
会社の雰囲気に流されず、自分の意思決定できることをやっていくことが重要なのではないでしょうか。
エシカル×教育でスタートした「AWAKE&」への思い
ー簡単に「AWAKE&」の提供しているサービスについて説明してもらっても良いですか?
エシカルなライフスタイルに関わるいろんなトピックを学べる月額制の動画視聴サービスを提供しています。
例えば、気候変動、プラスチック、アニマルライツ、LGBTなどジャンルはさまざまです。それぞれ専門の講師の方にお話ししていただいた動画をわかりやすく編集してあり、好きなタイミングでご視聴いただけるようになっています。動画だけでなく、竹の歯ブラシや、植物性食品など毎月エシカルなギフトが届くサービスも提供してます。
サブスクリプション型で毎月届くので、自分だと後回しにしてしまうという人でも、エシカルなアクションを少しずつ組み立てていける仕組みになっています。
ーエシカルの教育の部分に特化したのは何故だったんですか?
エシカルに関するアクションを起こそうとしても、エシカルについての基礎知識がないと、新しいアイディアやイノベーションにつなげるのは難しいと思います。なのでまずは、エシカルについての基礎知識をつけるためのプラットフォームが必要だと考えました。
専門知識を持った方々のナレッジを、わかりやすくまとめて、学んでいただくことで、そこから起業する人がいるかもしれないですし、普段の行動が変わる人がいるかもしれないと思っています。なので、まずはエシカルの教育に特化して、エシカルについて学べる場所を作ることで、そこから行動を起こせる人を増やしていきたいと考えています。
ー「AWAKE&」の取り組みを始めた後、エシカルに生活がシフトしていると実感することはありますか?
お肉を全く食べなくなって、菜食中心の生活になりました。メンタル的にも以前にも増して安定するようになったと感じています。
ものを買うことも減り、ものに対する執着がなくなってきて。それよりも自然の中にいることだったり、人とのんびり話せることだったりに幸せを感じるようになりましたね。
ー東京では自然を感じにくいと思いますが、どこで自然を満喫しているんですか?
パートナーが南フランスの山の上に住んでいて、私は東京とフランスの2拠点生活をしています。
向こうにいるときは本当に自然と繋がっている感覚があって幸せです。東京の中でも自然が多い公園に前よりも行くようになりました。
ーそれはとても理想的な生活ですね。南フランスの山の中から生活をあまり想像できないんですが、どんな感覚なんですか?
山や森に行くと深い自然の香りがしますよね。フランスで生活していると、朝起きて窓を開けたら、森に行ったときと同じ香りがするんですよね。テラスでヨガをしたり、近くに川や湖があるので、よく遊びに行ったりしてますね。
ライフスタイル、ビジネス、マインド全てでエシカルを体現する濱島さんの新たな挑戦
ーこれから他に展開したいサービスはありますか。
まだ構想の段階ですが、エシカルを、小中学生など若い年代に伝えていきたいです。小学生くらいの子どもは吸収しやすいと思うので、学校では教えてくれないことを学べる場所があったらいいなと。まずは私が直接zoomで教えるといった形式で、スモールスタートで始めたいと考えています。
ー素敵なお話をありがとうございました!濱島さんの今後のご活躍を応援しております!
インタビュー:武海夢(Facebook)
編集:町田大地(Twitter)
執筆:櫻井眞帆(Twitter/note)
デザイン:安田遥(Twitter)