一歩さえ踏み出せば景色が変わる!高校生で学生団体を設立したLEurself 代表・岡原里奈

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第475回目となる今回のゲストは、学生団体LEurselfの代表 岡原 里奈(おかはら りな)さんです。

高校2年で学生団体を設立し、「みんながわくわくしながら自分らしく生きられる社会をみんなで共創する」というビジョンのもと、イベントや交流会を開催している岡原さん。

昔は自分に自信がなかった岡原さんが、挑戦をし続けられるようになった理由についてお伺いしました。

意志が強かった幼少期。オールマイティ重視の教育に疑問を持つ

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

高校3年生の岡原里奈です。現在は学生団体LEurself(レユアセルフ)の代表をしていて、様々な高校生の選択肢を増やしたいという想いで活動しています。本日はよろしくお願いします。

ー岡原さんが、高校生で学生団体を立ち上げるに至った経緯について、幼少期からさかのぼってお伺いできればと思います。幼少期はどんな子供でしたか?

意志が強い子でした。これは母から聞いた話なのですが、母と一緒にいくつかの幼稚園を見学していたときに、私はどうしても行きたい幼稚園があったみたいで。

母は「この幼稚園はマンションのお友達もいるよ」と、近くにある幼稚園を勧めたのですが、私は「その子のことは好きだけど、私はこっちの幼稚園に行きたい」と主張し、結局そこに行くことになったみたいです。

また、母は3年保育が良かったのですが、私が「幼稚園には行きたいけど、来年から行きたい」と言ったことで、2年保育になったと聞きました。

ー行きたいと言っていた幼稚園の、どこが好きだったのか教えてください。

雰囲気ですね。私は昔からそういう直感を大事にするタイプで。幼稚園を選ぶときも、小学校受験のときも、「この学校に行きたい」「この学校は絶対行きたくない」と直感的なものを頼りに判断してきました。

ーご両親は、大きな決断をしなければいけないときに、岡原さんの意志を尊重するタイプだったのですね。

そうですね。幼稚園も小学校も、私が行きたいと主張している学校へ行かせてくれました。

ー小学校へ進学してからは、どのように過ごしましたか?

私が進学した小学校では、数字で評価されることがあまりなく、学校の先生から「友達にテストの点数を教えないように」と言われていたので、周りを気にせず楽しく暮らしていました。

ただ、中学校へ進学してからは環境が一変しましたね。

ー詳しくお聞かせください。

中学生になると数字で評価される機会が増え、テストのたびに友達から「何点だった?」と聞かれました。他人と比較せざるを得ない環境で過ごしていると、自分のできない部分を意識してしまうんですよね。

また、テスト結果を知らされるときに担任の先生から「全体的に成績は良いから特に言うことはないけれど、強いて言うなら数学だね」と言われるなど、苦手克服に重きを置く日本の教育の「オールマイティでなければいけない」という価値観に縛られ、違和感を感じました。

初めての挑戦で「やればできるんだ」と実感する

ー幼稚園や小学校選びなど、幼少期から大きな決断をしてきた岡原さん。決断のときに迷ったことはありましたか?

もちろんたくさんあります。幼い頃は直感だけで決めていましたが、大きくなるにつれて考える要素が増え、悩むことも増えました。

そんなときは、自分の心がわくわくする方を選ぶようにしています。心から望んでいない道を選択したときに、何か問題があると絶対後悔すると思ったので、「やらない後悔よりやる後悔」というのをモットーにしていますね。

ーそのモットーはいつ頃からあるのでしょうか。

中学生の頃からです。実は中学時代は自己主張ができず、自分に自信がなかったので何かに挑戦することが怖かったのですが、ひょんなことから一歩を踏み出して、その一歩を積み重ねるうちに「やりたいと思ったらすぐ行動した方がいいんだ」という考えになりました。

ー最初に踏み出した一歩目は覚えていますか?

一歩目は、美術検定を受けたことですね。もともと美術史が好きで、本屋さんにある美術関連のコーナーで美術検定の本を見つけたのがきっかけでした。

美術についてもっと知りたかったですし、コツコツ勉強できるタイプだったので、軽い気持ちで資格の勉強を始めました。1か月ほど真剣に勉強して、結果は合格。その受かったときの快感が、たまらなく嬉しくて。

自分で受けたいと思って、準備して、受かったという、そのプロセスを経て合格した感覚が癖になって、色彩検定も受けることにしました。

ー色彩検定を受けることが、次に踏み出した一歩だったのですね。

そうですね。色彩検定の本は小学5年生のときに買っていたのですが、当時の私には難しくて、本棚に積まれたままになっていたのです。ただ、美術検定を受けたことをきっかけに思い出して、勉強し始めました。

一度は色彩検定1級の2次試験で落ちましたが、翌年再チャレンジして合格。個人受験最年少で合格し、最高点だったため文部科学大臣賞をいただくことができたのです。

ー受賞したとき、周りの反応はいかがでしたか?

私自身、あまり受賞の実感はわかなかったのですが、学校の友達から「すごいね!あれだけ勉強してたもんね」と言ってもらえて、「やればできるんだ」と感じました。その経験が自信になり、もっと挑戦してみたいという気持ちになりましたね。

リベラルアーツ講座の受講を通して声を上げられるように

ーその次の挑戦についてお聞かせください。

次の挑戦は、リベラルアーツ講座の受講です。インスタグラムで講師の方から「受講してみませんか?」とご連絡をいただいて、悩みましたが勇気を出して半年間受講することにしました。

ー講座の内容について、詳しくお聞かせください。

「対話型鑑賞」という、1つの作品をみんなで鑑賞して対話をする時間がありました。その作品を見て何を感じたか、どこからそう感じたかを深掘りすると同時に、自己理解を深めたりもしました。

ー半年間講座を受けてみて、どうでしたか?

考え方や価値観がガラリと変わりましたね。今までは、自分の気持ちを言語化できていない部分が多かったのですが、対話型鑑賞を繰り返すうちに自分がどういう根拠で何を感じるのか、理解できるようになったのです。

また、講師の方の「自分の話をしたり、自分の意見を言ったりするときは、自分の見ている世界を誰かにおすそわけしているんだ」という言葉がすごく響いて。

今までは「自分の意見が間違っていたらどうしよう」と、なかなか自分の気持ちを発信できなかったのですが、「自分の見ている世界のおすそわけすることで、他の人が新たな経験や知識を得られるかもしれない」と考えると、ためらわずに意見できるようになりました。

ー人生で1つのターニングポイントだったのですね。

そうですね。講座での経験は、LEurselfにも影響していて。自分自身、今まで自分の気持ちを話せなかったのは否定されるのが怖いからというのがあったので、LEurselfでは否定されない環境づくりをしたいという価値観を築いています。

DREAMのコンテストで自分の殻を破り、挑戦が加速する

ーリベラルアーツの講座を受講後、挑戦したことがあればお聞かせください。

いつか世界一周したいと思っていて、世界一周の夢を叶えるコンテスト「DREAM」に応募しました。このコンテストでは、学生たちが世界一周という目標に向けて、自分の夢をプレゼンして、優勝した方が世界一周の航空券をもらえるのです。

ー岡原さんは、どんな夢を発信したのですか?

私は「わくわくの輪」というテーマで、「みんながわくわくしながら自分らしく生きられる社会をみんなで共創する」という夢を語りました。

具体的には、世界一周しながらいろんな方に情熱や夢についてインタビューして、それを動画や記事にして発信したいと思っていました。

わくわく・生き生きしながら情熱や夢を語ってる方の動画や記事を見た方々が、自分の夢を持ったり、一歩踏み出すきっかけになったりすればと思ったのです。

ーその夢は実現できましたか?

コンテストへの参加後、私の夢は日本でも実現できるのではないかと思い、「なぜやるのか」「どんな手段で実現するか」を深掘りして、最近やっと行動に起こせました。

現在、ZOOM上で様々な方にインタビューして、動画や記事、Podcastで発信しています。また、その後のつながりを促進するために、アプリ開発にも取り組んでいますね。

ーコンテストへの参加前後で、どのような変化があったのか教えてください。

DREAM参加者の方々が、自分の夢をわくわく・生き生きしながら話す姿を見て、私自身わくわくしましたし、「こんなに自由に生きていいんだ。私も自分の人生、自分で舵きって生きていきたい」と勇気をもらいました。

また、自分の夢を語れるようになったのは一番大きな変化ですね。今までは否定されるのが怖くて何に対しても受動的でしたが、DREAMの選考を進めていく中で自分の殻を破ることができました。

ー自分の殻を破れた経験について、もう少し詳しくお聞かせください。

3次審査はWeb投票だったのですが、SNSで「今こういうコンテストに参加しています。投票してください!」と発信するのがすごく怖くて。

ただ、周りのDREAM参加者がみんな発信している姿を見て勇気をもらって、投稿ボタンを押しました。すると、応援の声がたくさん届いたのです。

それから徐々に自信がついて、学校の休み時間に他のクラスへ行って「30秒だけ時間をください!」と叫んで宣伝したりもしました。

ーものすごく大きな変化ですね。

DREAMに参加してから積極性が増して、失敗に対する恐怖心が薄れ、「とりあえず挑戦してみよう」と思えるようになりました。

LEurselfで人生の選択肢を増やし、一歩目の挑戦を後押しする

ー積極性が増し、現在はLEurselfの代表を務めている岡原さん。LEurselfではどのような活動をしているのでしょうか。

高校生以下に自分らしくいられるサードプレイスを提供したいという想いのもと、オンラインイベントを実施しています。多様な生き方を知ってもらうことで、自分の人生の選択肢を広げてもらえればと思っていますね。

また、交流会も頻繁に開催しています。高校生以下の学生さんは、学校と家庭で世界が完結しているように感じたので、テーマを決めずに自分の意見や考え・悩みなど何でも気兼ねなく話せる場を提供して、みんなが自分らしくいれるようにしたいです。

最近では高校生以下だけでなく、大学生や社会人の方にもイベントに参加していただいているので、高校生以下の方が大学生や社会人の方とつながる場にもなっています。

ーみんなが自分らしくいられる場づくりをするために、意識していることはありますか?

他者を否定しないことです。例えば誰かが夢を語ったら、否定しないで「その夢すごく良いね」と、みんな肯定してくれます。

みんな本当に応援したいという想いがあるので、意識せずに自然とそういう場になってきていますね。熱気あふれる、あたたかい雰囲気を作れているのは、すごく嬉しいです。

ー岡原さんが今、挑戦したいことがあればお聞かせください。

LEurselfをさらに活性化すること、世界一周を実現すること、フォルケホイスコーレというデンマークにある全寮制の学校に入学することなど、やりたいことはたくさんあります。

ー海外の学校に興味があるのですね。

実はイギリスに行きたい大学があったのですが、「イギリスは曇りの日が多くてどんよりしていて、排気ガスがすごそう」というイメージがあって。

そのイメージを払拭するためにも、実際にイギリスへ行って確かめようと思っていました。私は直感を大事にしてるので、現場を見て肌で感じようと思っていたのです。

でも結局行けなくなってしまい、一時は大学進学をあきらめましたが、今はイギリスに限らずいつかはどこか海外の大学へ行きたいと考えています。

ー今までいろんな挑戦をしてきて、現在も挑戦を続けている岡原さん。過去に殻を破った経験が大きかったと思いますが、自分の殻を破れないれない方へ向けてアドバイスをお願いします。

一歩目のハードルはものすごく高くて怖いと思うのですが、勇気をもって一歩さえ踏み出してしまえば、驚くほど世界が広がるということをお伝えしたいです。

いきなり挑戦できるようになるわけではなくて、少しずつの積み重ねで自信や安心感が生まれると思うので、みなさんにもぜひ勇気を振り絞って一歩踏み出して、景色が変わる体験をしていただけたらと思います。

ー最初の一歩目から次の一歩へと続けていき、どんどんやりたいことを実現している岡原さんの姿は、あらゆる年代の方に勇気を与えそうですね。本日はありがとうございました。岡原さんの今後のご活躍を、心より応援しています!

取材:武海夢(Facebook
執筆:もりはる(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter