様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第386回目となる今回は、コンプレックスを強みに変えて自分の人生を充実させてきた熱烈にポジティブな前田 啓佑さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。コンプレックスは心のブレーキ。ブレーキを外せば、あなたもなりたい自分に最短距離で変われます。
小学4年生で落ち着きを手にしたきっかけはいじめの克服
ー簡単に自己紹介をお願いします。
仕事はIT企業の営業職として、製造業を中心に技術伝承や生産性向上などといったカイゼン活動支援を行なっており、インサイドセールスやパートナーセールス、アカウントセールスなどを担当してきました。
ー幼少期からスポーツをされてきたそうですが、どんなスポーツをされてきたのですか? どんな小学生だったのですか?
スポーツがもともと好きで、小学校では習い事としてソフトボール、中学から大学まではテニスをしていました。大学生のときはテニスの他にバスケ、バドミントンなど幅広くしました。社会人となった現在はまっているスポーツも後ほど紹介します。
ソフトボール時代は、毎週水土日曜日が練習で、練習の日はバットやスパイクを持って登校していました。活発でやんちゃなところもありました。
ー前田さんは落ち着いた雰囲気なので、やんちゃだったとは意外です。
小学4年生から落ち着いていると言われるようになりました。今も仕事の時に、年齢の割に落ち着いていると言われることがあります。社会人1年目で先輩に同行しているときに、先輩より自分の方が先輩のような扱いを顧客先にされたことがあり、先輩にもっと若くしろと怒られたことも(笑)。
冷静に論理的に話そうと意識しているので、落ち着いているように見られるのかもしれません。表面上、落ち着いているように見えていても、内心は熱い感情も秘めています(笑)
ー小学4年生で落ち着いたきっかけがあったのですか?
ソフトボール時代、コンプレックスを抱いていた身体的な面で先輩からいじめられていました。私は眼筋下垂といって目の筋肉が弱く、体全体の筋力も普通の人より弱い身体的特徴をもって生まれました。
目を開ける力が弱く、ふとしたときに瞼が閉じてしまうのですが、小学生のときにそれでいじめがあり。活発ではありましたが、身体的特徴をいじられることは嫌でしたね。
4年生で体を強くしたいと思い自主的に筋トレを始めました。腹筋が割れてすごいと言われたり、ソフトボールの成績も良くなり実力が一気に上がると、いじめていた周りの人がころっと態度を変えたのです。最初はいじめていた人が私をいじめから守るようになりました。
スキルが上がり成績が良くなって、人の態度がころっと変わった際に冷めた気持ちになってしまいました。その頃から落ち着いた性格になりましたね。
コンプレックスを気にせずやりたいことに打ち込めた中高時代
ー小学生ながら達観された価値観を持たれて、どういった中学・高校生になったのですか?
中学以降も身体的特徴をいじる人はいましたが、コンプレックスを意識する事が減っていきました。中学生時代はテニスと勉強が大好きな学生で。
朝5時半には起きて6時半からテニスの朝練を友達とすることもあれば、友達と話していない時の休み時間は勉強して。隙間時間を使って、テニスや勉強を楽しんでいたので、余計なことに意識がいかなくなりました。
高校は、硬式テニスが市内で一番強い学校にテニス目的で入学しました。引退するまではテニスのことばかり考えており、勉強は悲惨な成績でした。普通であれば他の人と比べて成績が低いと焦りますが、振り切りすぎたせいで気になりませんでしたね。
高校3年生の夏に部活を引退してからは勉強しなきゃと思いましたが、なぜ大学に行くのか、将来的に何がしたいからどういった大学に行こうといった進学の目的やプロセスが明確ではありませんでした。
ー人の目線は気になるもので、コンプレックスを気にしないことは難しいと思うのですが、好きなことだけに打ち込めた理由はなにかありますか?
高校時代にテニスに打ち込めた理由は、部活は学生時代にしかできないと思っていたからです。社会人になると、好きなテニスを毎日することは難しいだろうなと。
そのときにしかできない時間の使い方だと思っていたので、ひたすら打ち込めました。部活の先生が、後からできることではなく、今しかできないことをやりなさいと教えてくれたことも影響しています。
ー当時の先生が前田さんの考えに影響を与えていたのですね。浪人時代はどのように過ごしていたのですか?
福岡県の小倉にある自宅から通えて、『努力は実る』がキャッチコピーの北九州予備校にいきました。入学前は、鉄格子がはめられて監獄みたいだと噂が立つほど厳しいところでしたが、実際は鉄格子や監獄感はなかったです(笑)
ー厳しかった浪人時代をやり抜けた要因は何ですか?
予備校の講師の影響が大きかったです。先生との関わり合いのなかで、中学生ぶりに勉強がおもしろいと思えたのです。
高校までは暗記に頼った勉強の仕方をしていましたが、予備校ではなぜその文章構成になっているのかやどうやってその単語や形として成り立っているのかといったルールや仕組みを考える勉強の仕方に変わり、予備校に通って良かったと思えました。
また全国各地から来る講師のおかげで世界は広いと知り、視野も広がりました。たとえば、ゲイバーに足を運び非日常的な時間をわざと作ることで、いつもと違う気づきを得ようとしている先生がいて、私も非日常性を大事にしているので、価値観の幅が広がりました。
ーなかなかユニークな環境で勉強されていたのですね。予備校で1年間過ごされても大学に行く目的がわからなかったとおっしゃいましたが、進学されてからはどうでしたか?
後期試験で合格可能性が高かった大分県の大学と学部を受験して入学となりましたが、希望していた学部と違ったので、当時は進学自体も地元を離れることも嫌でした。しかし、過ごしてみると大分県には熱量が高く素敵な方が多く、友人や関わる方々に恵まれ楽しく過ごせました。大学内での活動だけでなく、学外でもテニス連盟のジュニア育成のお手伝いをさせていただいたりとテニス経験を活かした活動機会もありました。
大学生のときも大学に行く意味が正直わからないまま通っていましたが、社会人になってようやく意味のあるものだったと思えるようになりました。むしろ有効活用できずもったいない時間を過ごしたと後悔しています。
ー今振り返ると大学に通う目的は何だと思いますか?
社会人生活をより充実させるための準備期間です。経済学部で学んだことは社会人生活の役に立たないという意見も聞きましたが、私は働き出して経済学の考え方は役に立っていると思っています。
経済学部での学びは世の中の仕組みの理解や企業での業務に活かすことができる知識になると感じています。
あえて苦手な分野に挑戦することで得られる充実感
ー学生時代は様々な活動をしていたかと思いますが、どういった就活だったのですか?
就活当時はやりたい仕事がありませんでした。地元や大学生時代に過ごした大分など地方で過ごすのが好きだったので、基本的には地元での就職活動をしていました。テニスを経験した影響で大手のスポーツメーカーに興味はありましたが、大手企業は東京・大阪の都市部に就職しなければならないことがネックでした。
ー私も地方出身なので、居心地のよさに共感します。結果就活先は東京だと思いますが、何があったのですか?
地方就活から東京就活に切り替えたきっかけは、就活仲間から「地方は就職したい先がない」「大学で上京して楽しさを知ったら地方に戻りたくない」「地方は公務員や銀行など安定したところしか就職先がない」とネガティブな声を聞いて、地方の魅力をわかってもらえていない悔しさを覚えたからです。
様々な声を聞いて、ゆくゆくは『地方で働きたい』と思ってもらえるように地方をワクワクできる場所にしたいと考えました。まずは地方と都市部の違いや都市部の良さを知るため、情報量が多い都市部で社会人の初めを過ごしたほうが良いと思い、東京で就職しました。
ー普通は苦手なところに行きたくないですが、あえてそこに飛び込むのは自分に厳しくないとできませんよね。
PCが苦手でIT業界に苦手意識があったことや、満員電車が嫌いで都市部が苦手と思っていたコンプレックスを変えたほうが人生おもしろいと思って。飛び込んだ結果、IT業界も好きになり、東京生活も楽しく過ごせて良い街だと思えるようになりました!
コンプレックスを受け入れられた武者修行プログラム
ーコンプレックスを“受け入れる”考え方になったきっかけは何ですか?
株式会社旅武者が行っている『武者修行プログラム』というベトナムでの新規事業のインターンシップに参加した時のことです。私が最年長にもかかわらず、大学1、2年生で英語が話せたりプレゼンがうまくビジネススキルが高い人が多くて劣等感を感じました。大学4年間でビジネススキルを何も得ていなかったと気づいたんです。
インターンの途中折り返し時点でファシリテーターだった社会人のビジネスコーチに面談をしてもらいました。パフォーマンスが上がらない理由は、ネガティブに考えているコンプレックスが原因でした。紙にコンプレックスを全て書き出し、それも自分自身で受け入れてあげるといいとアドバイスをもらいました。
コンプレックスが良い結果につながった原体験もあったので、受け入れるように意識したのです。すると頭がスッキリして、自分は議論をする際に論点がずれていると指摘し修正することが得意と気づきました。コンプレックスを受け入れることで人生のパフォーマンスが上がるのです。
ー2週間で価値観が大きく変わったのですね。就職前にその変化を経験した後は、どのように過ごしたのですか?
「自分に自信がない」「コンプレックスを受け入れられない」という方の相談に乗り、コンプレックスをポジティブに捉えられるお手伝いに経験を活かしています。
衝撃的な人生の転機、b-monsterとの出会い
ー仕事の面では順調かと思いますが、そのほかに前田さんのハマっていることがあるのですよね。
はい、ボクシングフィットネスの『b-monster』です。2019年末に健康診断で太り過ぎと診断されたので、YouTubeの筋トレ動画を見たり、自粛期間に友達とオンライン筋トレをしたり痩せようと励みましたが思うように結果を出せず。高校の部活引退後から予備校を経て大学入学までに15kg太り、社会人生活での体重増加も加え、合計20kgの体重にコンプレックを抱えていました。
そこで厳しいと噂のb-monsterに通い、なんと半年で9kg減量。初回は何も考えられないほどキツかったですが、通って痩せていくうちに生活がしやすくなり、人生が充実し出したと変化を感じたのです。
音楽に合わせて運動する楽しさだけではなく、パフォーマーが各プログラムで創る世界観にそれぞれ個性があり、その個性を感じる素敵な場所としても楽しみながら健康的な体を得られています。
ー大学時代から抱えていた体重のコンプレックスがb-monsterによってまた一つ解消されたのですね。
8年抱えていたコンプレックスが半年で解消したことで人生が変わりました。Instagramに痩せた写真を投稿すると友人から「別人!すごい痩せたね!」と声をかけてもらって。
ー前田さんはネガティブに思っている、厳しい環境にあえて飛び込むことを楽しめたと思うのですが、それができない人がたくさんいます。どうしてできるのですか?
誰かしらがチャレンジするきっかけを作ってくれました。たとえば就活時は、キャリアアドバイザーの方と話しているなかで東京に就職しようと決断でき、b-monsterに出会えたのも友人のおかげでした。誰かしらがきっかけを与えてくれたからこそ飛び込めました。
飛び込んでみたいけど飛び込むことが怖い方には、「興味やワクワク感があるか、やることで変化が出そうだと思えば、結果がどうなるかわからないけれど、とりあえずやってみれば少し変わるかもしれない」とアドバイスしています。実際に「行動してよかった」と感想もいただけていますね。
ーコンプレックスを認識するために習慣づけていることはありますか?
何をコンプレックスと感じるのか現状把握することです!たとえば、頭では理解していたことも文字に書き出すことが大事です。より深く認識でき、コンプレックスを受け入れるための打ち手を考えられます。
ー最後に今後の抱負をきかせてください!
今後もコンプレックスを人生を変えるきっかけにしたいです。マイナスに捉えられがちなこともワクワクする人生につなげられたらより充実した人生を過ごせます!
ー本日はありがとうございました!前田さんの今後のご活躍を応援しております!
取材:新井麻希 (Facebook)
執筆:竹内佳奈子(Twitter)
編集者:えるも(Twitter)
デザイン:安田遥(Twitter)