「身近な人から向き合い、良くしたい」2店舗の接骨院を共同経営する飯高翔太の創業経緯

今回は、神奈川県の向ヶ丘遊園・宮前平に出店している「よろずや接骨院」の共同経営者である飯高翔太さんをお招きしました。

これまでに数社を経験し共同創業するまでに得た学びや気づきについて伺います。

 

接骨院を共同創業し、施術とマーケティング業務を担当

–自己紹介をお願いします。

「よろずや接骨院」の共同経営者であり、主に施術を行う傍らでマーケティング・集客面を担当しています。

▼よろずや接骨院
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具体的には、駅名+接骨院などの検索ワードで調べられた際の表示順位を上げて認知度アップを狙うSEO・MEO、チラシの制作などを行います。

–接骨院経営を行う中でやりがいを感じる場面について教えてください。

当院を立ち上げる時、メンバー同士で話していたことがありました。

「マニュアル整備が行き過ぎてもいけない。一人ひとりの患者にもっと向き合いたい」

例えば、腰を痛めて来てくださった患者の方がいたとします。規模が大きな接骨院や価格を下げて回転率を上げようとする接骨院の多くでは、施術者ごとに統一された内容を提供しようとします。施術を続けていると、統一して提供している内容だけでは十分な対応ができないケースがあります。この時、マニュアルを重視すると統一の型を超えるような対応はできません。

共同経営者の3名は、そうしたケースに直面した際に「もっと一人ひとりの患者と向き合い、抱えている問題を解決したい」と考えるタイプでした。

当院での施術において、患者ごとにしっかりと向き合い、施術過程を通じて自身もより学びを深めていけることにやりがいを感じます。

一方で、経営視点で言えば、薄利多売になるのではなく相応の価格を認めていただけるようにしていく工夫にも取り組み続けていきます。

 

現在の経営陣と出会ったのは専門学生時代

–子どもの頃のご自身のことで覚えていることはありますか。

子供の頃は母親と10歳以上離れた兄2人と暮らしていました。小学生になると、母親も兄もすでに働いていて、家に帰っても1人でいる時間が多かったのを覚えています。幼少期は寂しかったかもしれませんが、次第に慣れていって、小学生になる頃には1人でゲームをしたり友達と出かけたりして自由に遊んでいました。

–業界に興味を持ったきっかけはありましたか。

将来のことを考えた時、やりたいことを聞かれてもパッとした答えが見つからない中で、ふと浮かんだのはエステサロンを経営していた母親の姿でした。母親と似たような仕事をしたいと思ったことに加え、サッカーをしていた頃に接骨院に通っていたことを思い出し、接骨院の先生になる方法を調べ始めました。

–専門学校生活について教えてください。

専門学校に入学すると、最初はひたすら座学で学びます。まずは暗記して、その後徐々に実習等を経て、知識としてものにしていきます。これがまた覚えることが多くて、なかなか大変でした…。この時点で挫折してしまう人も多く、指導が厳しかったこともあって当初60名いた同期生のうち3分の1は1年目のうちに退学してしまいました。

–現在の経営陣は専門学校で出会ったと伺いました。

2〜3年になると通常カリキュラムの時間外で現役の先生が実技を指導してくれるクラブに通うようになりました。そこで、現在の共同経営メンバーと知り合うことになります。お互いに切磋琢磨しながら、「早く現場に出たい」と話していました。

 

新たな出会いを通して多くの気づきを得たキャリア

–これまでのキャリアの中でご自身の成長や変化を感じた出来事、出会いはありましたか。

卒業後は実家近くの接骨院に就職しました。その後、数社で働き、共同創業に至りましたが、過程のさまざまな出会いから自分自身の成長に繋がる気づきを頂きました。

まずは、2社目で働き始めた時のことです。首の痛みを訴える患者が来院された際、自分は周りの施術者との足並みを揃えることを考えず、目の前の患者の症状に対する施術にだけ向き合ってしまったことがありました。そこで、「会社において、多くの施術者と共に働く中で、自分だけが自由に施術をして1人で“治した実感”だけを味わおうとしてはいけない」という指摘を受け、ハッとしました。それ以降は、自分以外の施術者や全体からみた客観的な視点を持って判断することをより意識するようになりました。

その後も共同創業するまでの間に経験した会社や職場では、出会いを通して学んだこと、気づいたことがたくさんありました。

–そのほかに出会いを通して得た学び、気づきにはどのようなことがありましたか。

3社目には業界内では比較的料金が高い店舗を展開する会社に勤めました。以前より高い料金で施術を提供している中で、(患者に対して)他のメニューやオプションの提案をすることを求められる環境でした。当時の私としては気が引けて、提案ができていませんでした。

この時にも気づきをくださる方との出会いがあり、「さらにお金がかかることを提案することに罪悪感のような気持ちを感じているのかもしれないけれど、(相手が)悩んでいることを解決できる方法を提案すること自体は悪いことじゃないよね。押し売りはいけないけれど、選ぶのはご本人でしょ」と助言をいただきました。

その言葉を受け、自分が先入観や思い込みで判断してしまっていたことに気づき、考え方が変わるきっかけとなりました。

これまでに転職を何度か経験しましたが、自分自身が求められるスキルレベルに対応できなかった経験もあれば、一緒に働いていた方々との人間関係に悩んだ期間もありました。一方で、これまで触れたような出会いもあり、それぞれが自分を成長させてくれる転機でした。両面から振り返ってみると、環境を変える決断を重ねてきたことで学んだこと、得てきたものはたくさんあったと思っています。

現在は会社に所属する身から経営する身になって、自らの手でお客様を呼ぶことができないと仕事がなく、売上も生まれないというシビアな状況です。この環境もまた新しい経験であり、ここから学ぶ’こと、成長に繋がることがたくさんあると感じています。

–今後の展望を教えてください。

「よろずや接骨院」を多店舗展開し、3名の共同経営者がそれぞれのエリアを管轄し、関わってくださる方々を増やしていきたいと思っています。その際、まずはスタッフ、患者さん、家族といった身近なところから良くしていくということは意識をし続けていきたいです。

 

取材・執筆=山崎 貴大