今回は、新卒からフリーランスとして働き、今では幅広い業界からコピーライティング、HP制作などの仕事を請け負っている中新大地さんをお招きしました。
これまでのキャリアの歩み、フリーランスとして働くメリット、自身の経験から身につけた自己管理方法などについて伺います。
忖度せず、踏み込んで提案することで信頼を得る
–自己紹介をお願いします。
フリーランスとして働き、キャッチコピー作成、HP制作、SEOライティングなどの仕事を請け負っています。また、キャリアやSNS分野の登壇、講義も行っています。
お仕事をいただく業界・業種はさまざまで、直近ではアーティストの方からも相談・依頼も増えています。
△イベント登壇の様子
「文章を書くのが苦手」「(内部からは)客観視することが難しい」「実は、現時点のブランディングに納得がいっていなくてアドバイスが欲しい」などの背景からご相談をいただくことが多く、外部から見るからこそ気づく点をお伝えすることを意識しています。
–仕事をする上で大事にしていることはありますか。
依頼企業の会社員からは(経営者や上層部へ)言いづらいことがあると理解した上で、無所属であるからこそ忖度せず、踏み込んで伝えることを心がけています。
また、クライアントには(私に)依頼する根拠や理論が必要です。その立場に立って、決断に必要な情報を必ず説明するようにしています。
–やりがいを感じる瞬間はありますか。
新しい商品の開発・販売、事業の運営って手探りをしながら進めていきますよね。不安なことや不確実なことがたくさんあると思います。そこに対して(私は)理論や意図を持って提案を行い、実行します。その結果、クライアントが自走していく姿を見れる時にやりがいを感じます。
フリーランスとしては「継続して仕事が欲しい」と思うものだと思いますが、私がいなくても自走できるようにすることがクライアントにとってベストだと思っています。
–フリーランスという働き方を選んでよかったと思う瞬間はありますか。
独身の頃は、好きなアウトドアやサッカー観戦の時間を大事にしていました。例えば、少し遠出をして登山をしたり深夜に海外サッカーリーグの試合を見たりしていました。結婚して妻が出産をしてからは、家事を分担したり通院の付き添いをしたりして妻や家庭のための時間を大事にするようになりました。自宅で働くことができ、子どもの成長を間近で見れるのは嬉しいことです。
△お子さんとのツーショット
自分が大事にしたい順から大事にできる暮らしができるのは、フリーランスとして働くメリットのひとつだと思います。
周りと比べて「書くこと」が苦じゃないと気づいた学生時代
–子どもの頃のご自身のことで覚えていることはありますか。
3人の兄弟と一緒に育ち、昔から「鍵っ子」でした。親が帰宅するまでの時間は、兄弟間で遊び方を相談しながら創意工夫して遊んでいました。
△幼少期の様子
両親と過ごせる日は、ツーリングやキャンプに連れて行ってもらっていました。北海道で見た広い青空は感動しましたね。空や山のような大きな自然の中に飛び込むと「人間は小さい。自然が人間のためにあるなんて考えることはおこがましい」と思えるので、社会人になってからもよく出かけていました。
–小学校〜高校時代はどのような学生でしたか。
子どもの頃はさまざまな習い事に通っていました。何か明確な(始めた)理由があったわけではなく、都度興味が湧いたことをしていた感じです。
日本史には強い興味を抱いていて、エジソン、ヘレンケラー、源頼朝などが登場する偉人の伝記をよく読んでいました。
高校生になると和太鼓部に入部し、地域の祭事や保育園等で演奏をするようになりました。
△和太鼓部 部長として活動する様子
–大学を選んだ際の基準や考えを教えてください。
歴史が好きで、「これまで大事にされてきた文化を次世代に伝える役目を担いたい」と考え、学芸員資格を取れる大学を調べて受験していました。大学入学後は、学芸員資格の取得に必要な科目や日本史、観光について学びました。
△学芸員資格過程の研修の様子
–ライターの仕事を始めたのは、いつ頃ですか。
子どもの頃に書いた読書感想文が評価を受けていて、大学生になってからも講義の感想を書く際に他の人より早く書けて内容にも評価をもらっていました。周りは辛そうに書いていたレポートも苦じゃなかったですね。
在学中にライターとしての仕事を探し、最初は好きなサッカーの選手紹介記事の執筆から仕事を始めました。「SEOというものがあるんだ」ということは認識していて、アフィリエイトを通じて、インターネット関連のビジネスや広告の仕組みを学びました。
その後、卒業と同時にフリーランスとして生きていく道を選びました。
△「Lancer of the Year 2023」表彰式の様子
–学業と仕事を両立する上で工夫していたことはありますか。
3つあります。まずは、ツール。PCを軽くて、持ち運びやすいものにしたり手帳サイズほどの折りたたみ式のキーボードを活用したりしていました。次に、空きコマ時間の活用。空きコマがあれば、PCやキーボードを広げて仕事をしていました。最後に、ルーティンの徹底。仕事をする時間・タイミング・順番を固定したりヘッドホンをすることで集中しやすくしたりしていました。
–フリーランスとしてまだ稼げない時期もあったとのことですが、当時の心境について教えてください。
無力感で落ち込み、将来への不安で胸がいっぱいでした。ただ、その後は具体的な改善を行うようにして、うまくいかないことがあれば人に聞く、調べるなどして対処をするようにしていきました。どうしても鬱々とした気持ちになる時は、高いところに登り、街を見下ろしながらぼーっとすることで気持ちを切り替えていました。
フリーランスとして働く以上、気持ちのおおらかさや余裕を保つための自己管理方法を身に付けることが必要不可欠だと思います。
色も、描き方も、自分で決められる
–フリーランスとして働く中で身につけた自己管理方法を教えてください。
3つあります。1つ目が、余白を持つこと。余白を持つためにおこなっている工夫としては、パツパツにならないように精神・時間。体力の面で余地を残しておくこと、良い点や足りている部分に目を向けて過ごすことを意識しています。この余白があることで、全てに対してレバレッジや利益を求めない姿勢でいることができ、自主制作などを含めた遊びの時間を作れるようになりました。
2つ目が、良いところばかりを発信するSNS時代において、周りの発信に引っ張られないようにすること。軸を持ってスキルや価値観を磨くことに集中することで、余計な消耗や競争を避けることができます。
一方で、SNSも活用方法によっては良いこともあります。成功しているケースを見つけたら、その実情や背景の因果関係を洞察し、気づいたことがあれば学びとして吸収することができます。
3つ目が、家族との時間を大切にすること。1歳の長男の成長を間近で見るたびに、家族との時間を大切にしてきた自分の軸を思いだし、立ち返ることができています。
–今後の目標、展望を教えてください。
今の仕事を維持・向上させながら、場所にとらわれない生き方を実現し、ゆくゆくは複数拠点を持てたりキャンピングカーでキャンプに行くようなライフスタイルを実現できたりしたらいいなと思っています。
また、悩んでいる若手社会人の方に向けて、知見や経験を提供していきたいという思いもあります。個人の人生に合った素材を見つけ、自ら人生を創っていけるように、自分の経験を伝えていきたいと考えています。楽しく生きる大人が増えたらいいですよね。
–読者へメッセージがあればお願いします!
私の場合は、常に自分の人生を俯瞰する視点を持つように心がけています。例えるなら、RPGゲームをプレーしているようなイメージですね。
目の前にA・B・Cの選択肢が現れる。全てそれぞれ別の結果に繋がっている。選んだ選択の先にあった結果が予想外のものであっても、面白がる。そんな感覚です。
こうした捉え方ができるのは、自責で考え、自分の意思で決めてきているからだと思います。
この記事を読んでくださっている同世代の方々には、「色も、描き方も、自分で決められるんだ」と思って生きていって欲しいとお伝えしたいです。
より詳細な転機ごとのエピソードやこれまでの経験について書いていただいたこちらの記事もありますので、ご興味お持ちいただけた方がいれば合わせて読んでいただけると嬉しいです。
https://note.com/frepara/n/n2ee9d62d4c53
取材・執筆=山崎 貴大