今回は、保育士として働きながらライバー、ブランドプロデューサーを務めるYUKI.さんをお招きしました。
これまでのキャリアの歩み、複数の仕事を掛け持つ理由について伺います。
保育士を本業としながらパラレルキャリアを実践
–自己紹介をお願いします。
保育士、ライバー、ブランドプロデューサーの3つの仕事をしています。本業として保育士を務めているので、最も多くの時間は保育の仕事に携わっています。
ライバーとしては、スマートフォン1台でライブ配信・視聴や動画編集・投稿などが出来るコミュニティアプリ「ミクチャ (MIXCHANNEL) 」で配信活動を行っています。
ブランドプロデューサーとしては、自分以外のライバーの話を聞き、イメージするものをデザインします。そのイメージを形にしたグッズやライブで使えるアイテムを販売しています。ライバーに会えるイベントのプロデュース、運営も行っています。
–どんなところにやりがいを感じていますか。
保育士は、子どもに寄り添って働く中で成長を実感できる瞬間。ライバーとしては、目標に向かって頑張って、夢が叶った時。プロデューサーとしては、イベント等に来てくれた参加者から直接感想を伺える時にやりがいを感じます。
–仕事・活動に関して、どんなことにこだわりや意識を持っておられますか。
全てにおいてより良くしていきたいという気持ちが常にあります。
「子どもたち、同僚、保護者の方々に対してどうしたら良い保育環境作りができるだろうか」
「どうしたら視聴者に楽しんでいただける配信ができるだろうか」
相手の立場を想像したり実際に意見を聞いたりしながら工夫を続けています。
–複数の仕事を両立する働き方はいかがですか。
複数の仕事に携わることで、それぞれで得たことを活かしあえる瞬間や新しく得られる発見があり、面白いです。例えば、保育の現場では子どもたちと「手遊び」をすることがよくあります。その「手遊び」をライブ配信に取り入れることで視聴者参加型の配信を作ることができ、視聴者の方々により楽しんでいただける機会になりました。
また、両立する働き方は自己管理や計画が大切です。計画性は保育の仕事を通して磨かれ、他の仕事にも土台の能力として活かされています。
ライバーの仕事を始めたきっかけは一本のDM
–子ども時代について教えてください。
私の家族はシングルマザーの母親と私、姉の3人。もともとはあまり自分のことを人に話さない子どもだったと思います。
高校時代、自分と同じような境遇を経験した友人と知り合い、互いのことを話すようになりました。当時、お互いを分かり合える友人関係は貴重な支えになっていました。
「自分と同じように辛い経験をしている人がいるんだ」と気づき、寄り添ってあげたいと感じるようになりました。
–当時はどのような学生でしたか。
ダンス部に所属していました。ダンス経験が深まるにつれて「もっと自分を表現できるようになりたい」と思うようになり、徐々に自信も付いてきました。以前は人前に立つこと自体が苦手だと思い込んでいましたが、ダンスを通じて舞台の上で評価されることが嬉しいと感じました。
–保育関係の仕事を意識したきっかけは何ですか。
もともとやりたいことはなかったのですが、中学生の頃に参加した職場体験がきっかけで保育業界に興味を持ちました。実際に保育士の方の仕事をお手伝いしてみて(自分が)子どもが好きなこと、ピアノが弾けること、絵を描くのが好きなことなどもあり、保育士を目指そうと決め、その後の進学先も保育関係に進みました。
大学在学中には、さまざまな家族のあり方、家庭環境があることを知りました。自分の経験、保育現場での職業体験も踏まえ、気持ちに寄り添える人になりたいと考えるようになりました。
–保育業界を目指しはじめてから得た気づき、発見はありましたか。
面接を受けた際、「子どもの目線になることが大事」という話がありました。一見すると、「子どもの背丈に合わせて屈み、目線の高さを合わせる」という意味に捉えられがちです。本来の意味は、「子どもは何を、どのように見ていて、どのような気持ちなのか…」と考え、子どもの気持ちになって考えることが大事であるという意味。この時に気付かされ、今も子どもと接する上で大事にしています。
–ライバーの仕事を始めた経緯を教えてください。
ライバーの仕事は、当時被写体モデルをしていた写真を投稿していたアカウントにDMを頂いたところから始まりました。その頃は姉の影響でモデル業に興味があったのですが、頂いたDMの内容が「コンテストイベントの出場者を募集しています。1位の方は雑誌に掲載されます」というものでした。自信があった訳ではないですが、勇気を持って挑戦してみようと決めました。
コンテストの結果は3位。目指していた雑誌掲載のチャンスを得ることはできず、悔しさと「もっとできることがあったかもしれない」という気持ちが残りました。その後、そこで諦めず、ライバーを続けることにしました。
今では「ミクチャ (MIXCHANNEL) 」ではさまざまな方に支えていただき、トップライバーと呼ばれるポジションになることができました。SNSのフォロワー数も、2桁代から4桁台にまで増えました。
–ライバーとして成長できた要因はどのようなところにあると思いますか。
何が要因か、自分では定かではありませんが、いくつか心がけてきたことはあります。まずは、応援してくださる方に対して感謝の気持ちを伝えること、自分を大切に思ってくれる人を大切にすること。感謝の気持ちを伝える時は、具体的にどんなことが、なぜ嬉しかったのかを丁寧に伝えることを意識します。また、私を応援してくださる方に向けては、どんな手段で応援できるのかを具体的に伝えています。
配信内容も工夫をし続けました。まずは計画を作成し、時期ごとにある配信イベントや行事などを把握。その時期ごとに配信内容を考え、配信をしてきました。例えば、先ほど触れた1位に雑誌掲載のチャンスが与えられるイベントの期間はいくつものファッションコーデを配信で披露したり、居酒屋の一日店長イベントのケースではお酒を絡めた配信を行ったり。
夢を叶えるはじめの一歩は、小さく踏み出す
–同世代の若者読者へのメッセージをいただけますか。
叶えたい夢がある方には、スモールステップを意識することを勧めたいです。例えば、フォロワー数を増やしたいと思ったら、いきなり目標を1000人にしてしまうとよくない。まずは10人。達成したら今度は50人。そのように小さな目標をたくさん立て、一つひとつ超えていくことで大きな目標を達成しやすくなるんです。
一歩一歩進み、自信をつけていけば、きっと夢は実現すると思っています。
–今後の目標、展望を教えてください。
以前、子どもがいる世帯に対して行われたアンケートの結果を見たことがありました。子育てのストレスは大きなもので、虐待の原因のひとつはそのストレスであると知りました。多くのお母さんは抱えているストレスや不安を人に見せようとはしませんが、私の姉の話も聞くとやはり子育ては大変だといいます。
私に何ができるかを考え、将来はカフェを経営したいと思うようになりました。子育てが大変なお母さんが気軽に立ち寄れる場所にして、子どもを預けられるスペースも作ろうと考えています。周りのお母さんと話をしたり夫婦の時間を作ったりすることで、お母さんたちが抱えているものを軽くさせられたら…と思っています。現在取り組んでいることは、全てこの夢を叶えるために繋がっています。
Instagram https://www.instagram.com/blankange_official?igsh=MTYzeHlwcDNnN3p4dQ%3D%3D&utm_source=qr
取材・執筆=山崎 貴大