「活動を通して、優しい人ほど楽しめる社会を仲間と共に創りたい」GAT 津波駿佑

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第878回目となる今回は、一般社団法人『GAT』の副代表として組織の運営をする傍ら、社会・環境問題にも取り組む活動家でもある津波 駿佑(つは・しゅんすけ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

社会・環境問題を通して「優しい人ほど楽しめる社会」を創りたいと語る駿佑さん。仲間とともに歩んできた駿佑さんに、行動を起こすことや人とのつながりを大切にすることの必要性について伺ってきました。

環境問題に興味を持つきっかけは沖縄の海にあったゴミ

ー自己紹介をお願いします。

皆さんはじめまして、津波駿佑です。沖縄県生まれ沖縄育ちの24歳で、大学4年生です。普段は社会活動家として、沖縄でビーチクリーンや社会問題に取り組む団体を運営しています。

ー駿佑さんが運営をされている『GAT』について教えてください。

GATは中学生からお年寄りまでが所属している、Z世代の多いコミュニティです。メンバー内で社会・環境問題を学び、協議した上で活動に反映しています。

ー大学時代の台湾留学での経験について教えてください。

台湾へ留学したのは、沖縄観光に訪れる中国・台湾の方がとても多かったからです。当時は観光系の職業に就きたいと思っていたので、中国語が話せたら便利だと思い留学先を台湾に決めました。

留学では、外国人との交流によって価値観が広がったと考えています。留学先の語学学校には世界各地から多くの方が中国語を勉強しに来ていたので、様々な国の方の考え方に触れることができました

ー外国人との交流によって価値観がどのように広がりましたか?

就職についての考え方が変わりました。日本人は大学を卒業してすぐ就職する方が多いと思いますが、留学先には30代以上の方も多くいて。「自分の人生だから、様々な経験をした上でしたいことを決めたい」と語る彼らの言葉に感銘を受けました。

ー留学では海外の方から、沖縄について聞かれることが多かったとお聞きしました。

日本に興味がある世界各地の方々から「沖縄とはどのような場所か」と何度も質問されました。私は海が好きなので「海がとてもきれいな場所だよ」と答えることが多かったです。

ー留学から帰ってきた後のことを教えてください。

海についてより深く知りたいと思い、沖縄各所の海を巡りつつ海洋系の勉強をしようと考えました。ところが海を訪れる中で印象に残ったのは、ビーチに落ちている多くのゴミ。留学では海外の方に「沖縄の海のきれいさ」を語っていたのに、実際の海はゴミで汚れていることを目の当たりにしました。

違和感を覚えた私は、ビーチでのゴミ拾いを開始。また同じ考えを持つ友人とビーチクリーン活動をし、活動の様子をインスタグラムで発信しました。環境問題に興味を持ち始めたのもこの頃だと思います。

ハッシュタグをつけて投稿を続ける中で、ほかのビーチクリーンの団体が発信する情報や知識を目にすることが多くなり、さらに環境に関する興味が深まりました。中でも衝撃的だったのは「2050年に海の中のプラスチックゴミの量が魚の数を上回る」というもの。美しい沖縄の海がなくなってしまう危機感を感じ、本気で環境問題に取り組もうと思うきっかけとなりました

同じ志を持つ仲間と検討を重ね、活動を法人化することに

ーその後、駿佑さんは環境問題に取り組む団体を作ることになりますが、当時のことを教えてください。

留学を通して旅が好きになった私は、多くの旅人たちの考え方に触れたいと考えるようになり、旅人のオンラインコミュニティに所属しました。そこで出会ったのが、環境問題に取り組む団体を一緒に創設することになる、大阪の友人。

彼は元々ゴミ拾いのコミュニティの代表をしており、ある日活動の一環で沖縄に訪れることがあって。彼は「沖縄を縦断しながらゴミ拾いをする」計画を立てていました。沖縄でのゴミ処理に関して知識があった私は彼と協力し、5日間かけて沖縄縦断とゴミ拾いをしました。

その間彼と話す時間がたくさんあったので、お互いの意見を交換していると、ある共通点を見つけました。「楽しくないと活動を続けるのは難しいこと」です。これを機に「皆が楽しく活動した上でゴミ拾いを始めたくなるような団体」というコンセプトで彼と共に『GAT』を創設するに至りました。

ー大阪のご友人との運命的な出会いが、団体の創設につながったのですね。

偶然出会ったと言われればそうなのですが、今振り返ってみると日々の選択や行動によって出会うべくして出会ったのではないかなと感じますね。

ー沖縄縦断中の学びについてより詳しく教えてください。

彼が取り組んでいるネパールでの貧困問題に関してや、沖縄が抱えている「基地問題」「平和・戦争問題」について議論していく中で、世界が抱えている様々な問題について自分たちは「知らないことが多すぎる」と痛感しました。

そしてコミュニティを通して友人の輪を広げ、彼らの知識や経験から学ぶことが重要なのではないかという結論に至りました。

ー団体を創設して「社会活動はボランティアでしかない」という問題に直面されたと伺いました。当時のことを教えていただけますか?

問題が浮き彫りになったのが「就職」や「卒業」などの転機を迎えることが多くなる3月から4月の頃でした。GATのメンバーも転機を迎えるタイミングで、活動を継続するのが難しくなる方もいたのです。

「活動したいけど、就職してお金を稼がなければいけない」という課題を抱えたメンバーがいることを聞き、どうにかしなければならないと感じました。

この問題を踏まえて、団体の法人化を決めました。法人化のヒントとなったのが、地方創生事業で地域の問題に取り組む仕事をしていた、あるGATのメンバー。彼の話を聞きながらGATの活動とビジネスを絡められないか検討し、ついに法人化できるようになりました