出会いから生まれる道。失敗してでも行動に移す。片寄裕介のお芋に夢中な人生

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第813回目となる今回は、株式会社nonii代表、片寄 裕介(かたよせ・ゆうすけ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

静岡市を拠点に、黄色いキッチンカーで焼き芋屋『cocot』をしている片寄さん。思いもかけない出会いから始まった新たな道と、失敗してもいいから行動に移してみる大切さをお話しいただきました。

お芋は生活の中にある身近な存在 

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

片寄 裕介(かたよせ・ゆうすけ)と申します。元々埼玉県でスタートした焼き芋屋『cocot』を静岡県に移し、そこを拠点にして、キッチンカーで販売をしております。通販サイトや『oimo&coco.』も運営し、全国にも販売店舗を増やしているところです。

ー片寄さんはどんな子供だったんでしょうか?

3人兄弟の末っ子で、兄と姉がいます。歳が近いのでよく喧嘩もしましたが、それでも仲良しでした。兄姉がいたので、年上の人にはかわいがってもらい、でもクラスメイトにはいじられながら過ごしていました(笑)。

子どものころはお芋が好きというよりは、とても身近なものとして、生活の中に馴染んでいました。茨城出身なんですが、サツマイモの大きな産地なんです。

おばあちゃんの家へ行くと、いつも干し芋を箱でたくさんもらっていました。当時は高いものだとも知らずに、ずっとポリポリ食べていました。

茨城から埼玉の大学に片道3時間かけて通っていたので、帰りにすごくお腹が空くんです。6限目まで授業があると、18時ぐらいに終えて、家に着くのが21〜22時。夕飯の時間が遅くなるので、いつも小腹を満たすためにマルエツで半額になった焼き芋を買っていました。

電車に乗る前に駅の近くのマルエツに寄って、「おにぎりを食べるなら焼き芋の方がいいよね」と、購入することが習慣になっていました。よく友達に笑われながら、芋を買って食べていましたね。

ひとり旅での出会いから行動することの大切さに気付く

ー18歳のころにひとり旅をされたのは、どういうきっかけがあったのですか?

ひとり旅のきっかけは、大学生になって親の目が少し離れて自由になったときに、「ひとり旅ってなんかいいな、1回くらいやってみたい!」と思って。ちょっとした好奇心と、憧れからでした。

当初の計画では、青春18きっぷを使って東北を3日間だけ旅しようと思っていました。本屋さんへ行ってガイドブックを買って、最寄り駅にあるみどりの窓口にチケットを買いに行きました。

ですが青春18きっぷは、販売期間と使用できる期間がずれていたんです。ひとり旅計画の直前になって、電車での旅ができなくなってしまいました。学生だったのでお金もないし、アルバイトの休みをとって3日間だけ行くと決めていたので、とてもショックでした。

行かない選択肢もあると思うのですが、旅の前日にふとヒッチハイクを思いついたんです。家から出たら、公共交通機関を使わないと決めて、まずはスケッチブックを買いに行きました。

初めてスケッチブックを掲げて道路に立ったときのドキドキと、自分は何をしているんだろう?という感覚は今でも忘れられません(笑)。

初めは東北に行くつもりでしたが、20台以上乗り継いで、3日間で茨城から岡山まで行って帰ってきました。今思うと、どこに行ったかは関係ないんですよね。ヒッチハイクをしたときに、僕は観光したかったのではなく、人との交流を求めていたのかなと思いました。

人との出会いこそが旅の醍醐味ですが、自分が行動しないと何も生まれない。人生の中でも大事なことが、ヒッチハイクに集約されているなと感じています。

今までは、家族と学校の友達や先生だけの狭い世界で生活していたと気がつきました。ヒッチハイクをするなかで、乗せてくれる方は年齢も属性も幅広く、どんな仕事をしている人もそれぞれがキラキラして見えました。

どんな選択でも自分がやりたいことをやっていればいいんだ、もっと自由に考えてもいいんだなと思えました。人生の中で、自分の考え方を大きく変えてくれた出来事だったと思います。

ー大学生のころに奥さんとの出会いもあったそうですね?

3年ほど旅にハマっていましたが、大学も卒業が近付いてきていました。ヒッチハイクで乗せてもらった車は100台以上。こんなに人から与えてもらってばかりでいいのか、もっと自分自身が誰かに貢献できる存在になりたいと思っていたころでした。

医療系の大学だったのですが、病院実習があり、大学3年生が4年生に実習お疲れ様会をするのが慣習でした。そのときに出会った先輩が妻です。

妻に出会って、旅のような新しい出会いだけではなく、身近な存在の大切さも学んだ気がします。

今はお芋に夢中で、普通なら呆れられてしまうと思いますが、干渉することもなく、いつも静かに見守ってくれるので、すごい人だなと思っています。

家に帰ると待っていてくれる、それだけで安心をくれる大切な存在です。これからはもっと、家族の時間ももてるようにしたいです。