フリーランス保育士安代花音が考える、幸せの価値観と自分を大切にすること

貧困当事者たちの幸せの価値観に触れる

ーその後保育士を辞めて、フィリピンに行かれたのは何かきっかけがあったんですか?

これからもずっと勤めていくのだろうなと思うほど、環境も人間関係も良い幼稚園でした。

それでも小学生のときに見た貧困国の映像と授業が、ずっと記憶に残り、気になっていたんです。実際に行って実態を見てみたいと思う一方、英語が喋れないのに、海外に1人で行くのはどうなんだろう?と、もやもやしていました。

子供たちがひたむきにいろんなことに挑戦したり、過ごしたりしているのを見て、私も挑戦してみようと力をもらいました。退職の決断をして、次の月にはフィリピンに行きました。

ー実際にフィリピンに行ってみて、感じたことはありますか?

現地のボランティア団体さんに連絡をして、1週間フィリピンで過ごしました。

青空教室や家庭訪問、食事配給をしながら、現地の方が質問をしていいよと言ってくださって。子供たちやお母さん、お父さんに「みんなにとっての幸せってなんだろう?」と聞いたとき、「今が本当にシンプルで、ピースフル」と返ってきたんです。

フィリピンに行くまでは、勝手にかわいそうだなと決めつけてしまっていました。スラム街やゴミ山に暮らしている子供たちにも家族がいて、「一緒にいられることが幸せだから」と言っていたときに、私が幸せを決めつけてしまっていたなと感じました。

当たり前になってしまってることが、すごく大きな幸せなんだよということに気づかされた出来事でした。

帰国してからは、自分には何ができるだろうと考えました。現地の方が「何か特別なことをしなくてもいいから、1人でも多くの方に現状を知ってもらいたい。日本の人たちに伝えてください。」と言われたんですよね。

当事者たちの幸せの価値観に気付かされた半面、この状況を幸せと言ってはいるけど、現状はいろいろな問題がある。貧困問題だけではなく、環境問題や社会問題が全部繋がっていると知ったときに、これから私に何かできるかなと模索し始めました。

フィリピンでの経験があったからこそ、今後していきたいことが少しずつ見えてきて、今に繋がってるのかなと思っています。

何でも実情を知らないと行動できないですし、まずは知ることが大事だなと感じました。

起業してフリーランス保育士に

ー帰国されてからは、どんな行動にうつされたんですか?

就職すると私がこれからやっていきたいことに取り組めないと感じました。フリーランスになることをその時点で決めて、自然が好きなので、海の近くに住もうと神奈川県の海の近くに引っ越しました。

その後ベビーキッズシッター『youmeby』を立ち上げました。

ベビーシッターは私が伺う側なので、そのままの姿が見えます。生活にぐっと入り込ませていただいてサポートするので、ママさんの生の声が聞けるんです。

本当はもっとこうしたい、本当はこれがしたいけど預け先がないからとか。そういう生の声を聞かせてもらって、子供やお母さんのメンタルに触れることもあります。

どうしても家族の中で解決しようとされる方が多いです。でもそれは社会の仕組みや地域がそうさせてしまっているんだなと感じます。家族だけじゃなく、第三者に頼ってもいいんだよと言ってもなかなか頼れない人が多いんです。

社会全体でみんなで子育てをしていこうという意識が、1人でも多くの方に広まっていったら、子育てをしやすくなって、子供たちの笑顔にも繋がっていくと思いますね。

大きなことをしなくても、心が救われることってあると思います。

バスに乗っていたときに、ベビーカーを押していたお母さんに運転手さんが、「頑張ってるね。いつもお疲れ様。」と一言かけていたのを見て、ちょっとした声掛けに救われる方って多いんだろうなと思いました。

家庭ごとに抱えてる問題や必要とされているサポートが全く違います。家族だけではなく、社会みんなで子育てをしていくのが当たり前になるような世の中になっていったらいいなと思いながら活動しています。