1人で動画制作会社を運営する岡藤凜太郎に聞く、魂を捧げるものとは

2021年、初の雑誌制作に挑戦

ー続いて、紙媒体に挑戦されたのですね。

途中で新型コロナウイルスの影響が出て。ドキュメンタリーも密着型なので、コロナではできないなと思い、ペースをスローダウンさせました。

ユニークローカルへの取材を1〜2年やっていると、インタビューや書き起こしのノウハウも身につきました。自分なりのオピニオンやアーカイブ記事も貯まって、有料会員だけに発信しているだけだと世に広まっている感じもないので、アーカイブから雑誌発行もできるのではと考えていて。

自分で雑誌を作れる「ZINE」が流行して、1人でも雑誌が作れるんだなと。印刷会社を調べて、Adobeのソフトも使えるようになっていたので、データを入稿すれば雑誌も作れることに気づきました。約1年かけてアーカイブをまとめたり、新しく雑誌用に人を選んで取材して、記事にしたり。

それまでは、無料公開の記事もネットの論理でセンセーショナルなタイトルにしないと拡散されないので、引きがあるタイトルにしないと、と思っていました。でもこのWeb記事の方法も限界があるなと感じていて。紙だと人に手渡しもできるので、ネット以外で形にしたほうがいいと思ったんです。

完成までは8〜9ヶ月かかりましたね。2021年2月に、メルマガ、YouTube取材を、雑誌作りのためにストップしました。取材を3ヶ月行なって、夏くらいからは自分でページのデータを作り、11月くらいにデータを入稿して、2021年12月に発売しています。

ー雑誌が完成して、いかがでしたか?

詰め込んだら180ページ、合計で十何万字にもなりました(笑)。取材しにいった場所などの写真のページはありますが、文字が多すぎて、あまり雑誌らしくないなという印象はあります。手応え的にはもうちょっと工夫できたなと思いますね。

あとは、雑誌はページ数ごとに単価が上がっていくので、印刷代が思っていたよりも高くつきました。ここは反省点で、次は色々とコンパクトに作らないと、という感じがあります。1回目なので、再来年頃に、紙でまたバージョンアップして作りたいです。次に期待ですね。

ー独立系の制作スタジオを目指す、というのがテーマとしてありますが。

いろんなものを作るにあたって、他とのコラボレーションができないかと考えるようになりました。今までやってきたメディアを、コラボレーションもウェルカムな制作スタジオに変化させた方がいいかなと思っていて。

アメリカのHIPHOP専門のスタジオである「Mass Appeal」も、もとは雑誌から始まり、今はYouTubeチャンネルや、Netflixから依頼されての映像制作もしています。自発的にHIPHOPを盛り上げる取材もするし、外部の企業からの依頼もあるというケースで。

ユニークローカルメディア「凜」―RINも、Mass Appealのような制作スタジオに変わっていけたらいいなと思っていますね。

今年から音楽制作を始めて、番組のBGMとして使ってもらったりもしています。現在は、僕ができるスキルのことしかできないので、まずは色々なコンテンツが作れる技術をどんどん高めていって、自分のメディアでも、制作スタジオとして出しながら、コラボレーションを狙っていけたらなという感じですね。

今年はずっと音楽を作っていて、知り合いのお店の人のサウンドロゴを作れたら面白いんだろうなと思っています。2〜3年後にはファッションブランド関係もやってみたいですね。

僕にとっては、作ること自体が“喜び”で、目的であり手段です。自分のスキルにもなるので、自分がやれる範囲で、これからも制作ができたらいいなと思います。

大切なのは「自分の好きを見つける」こと!

ー岡藤さんのお話を聞いていると、メディア運営がお好きなんだなと感じます。

僕を媒体としたいろんな文化を作るとなると時間がかかります。やめても死んでもダメで、長く続けていかなくちゃいけないですね。これからの10年、20年続けて、うまくいったら、僕のやり方を真似する人も増えるかもしれません。今後も、魂を捧げることをやっていかなければと思います。

すごい経歴の方々と話すと、「自分の価値は『話を聞いているだけ』だな」と感じてしまうこともあって。だから、編集的な立場としてコンテンツをうまく整える仕事をするだけでなく、もう少し自分が前に出て行って「岡藤ってちゃんとモノを作れるやつだよね」とならなきゃなと思っています。

制作のスキルやモノ作りの幅も広げられるように今は色々やってますね。個人でやっているからこそ、なんでも自分の力で、すべて作れるようになりたいです。

キャプション:Tomiyoshi Works

ー最後に、U-29世代の読者に向けてアドバイスをお願いします!

僕は今、やりたいことができて、かなり満足しています。制作行為に関われているだけで嬉しいですが、こんな生き方の提示ってあまりないですよね。

最近、この世界には多様な指標があるとよく思っています。自分にとっては、有名企業への所属や億単位の資産など、社会的な成功は極めて限定的な評価でしかないと。

他人の幸せに「やって何になるの?」と疑問を抱くことはせず、自分が幸せと思うことを突き詰めるのが大切です。みんながそれぞれ、プロセスを楽しめることをやったらいいと思います。

ーありがとうございました!岡藤凜太郎さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:とも(Twitter
執筆:日野亜莉紗
編集:えるも(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter