弱さを知ることで生きやすくなる。スナック水中ママ・坂根千里の強がりをほどく生き方

スナックでの出会いに救われ、今度は自分がママとして寄り添う道へ

ー坂根さんの心の支えになったのが、スナックだと伺っています。スナックとの出会いを教えてください。

ゲストハウスを始めたタイミングで、ひょんなことからスナックを訪れました。スナックのママから「来週から働いてみなさい!」といきなり言われて、仰せの通りに働きはじめました(笑)。

過去の経験から「なんでスナックで働くの?」と思う方もいるかもしれません。スナックのママやママに会いに集まる先輩女性の方々に癒されていたことが大きな理由です。

ー坂根さんは、ママやお客さんのどのようなところに癒されていたのですか?

たとえば「仕事もしたいし子どもも欲しい」といった女性ならではの悩みに、「わかるよ」と寄り添いながらリアルな話をしてくれるんです。ママや地域の先輩女性の方々の存在は、すごく支えでした。

時には「あんたバカね」と笑い飛ばしてくれたりして。自然と明るい気持ちになれるので、年上の女性の存在はプラスの影響ばかりでした。

ースナックのママは、どんな風に悩みに寄り添ってくれるのですか?

悩み自体を解決しようとしたり、回答を投げかけたりすることは全くありません。むしろ、笑い飛ばされます(笑)。

スナックでは「沈んだ気持ちは忘れて今日は飲もう!」と、楽観的な会話が繰り広げられます。

沈みそうな気持ちを誰かに引き上げてもらいたい時に、ママの存在に助けられました。次第に、自分も人に寄り添うスナックのママになりたいと思うようになりました。

ーバリキャリとスナックのママ。2つの進路はベクトルが違うので、ものすごく悩まれたのではないでしょうか?

ずっと憧れだったバリキャリを捨てていいのかという迷いもありました。大学3年生の頃は、サマーインターンや本選考など就活に関する情報も気になっていました。

そんなときに「ママが引退するから、スナックを引き継がないか?」というお話もいただきました。ちょっと悪くない話だと思っている自分もいました。

ースナックのママになると決断した決め手を教えてください。

新卒でバリキャリになるか、スナックのママになるか。どちらを選択しなかったら悔しさを感じるかを考えました

今すぐにコミットしたいと強く思ったのは、スナックのママになる道でした。

弱さを見せることが苦手な人への直接的なアプローチを、他の人が先にやっていたらすごく悔しいと思ったんです。

新卒スナックのママとして奮闘中

ー実際にスナックのママになられていかがですか?

2カ月経ちましたが、へとへとですね(笑)。上手くいった部分や上手くいかなかった部分、色んな学びがありました。

ースナックにはどのくらいの人が携わっているのですか?

現在13人のスタッフがいます。表に立つスタッフとバックオフィスのスタッフがいます。

ースタッフの方々はスナックのどのような部分に共感されているのでしょうか?

男女問わず20代から40代の方々がいらっしゃいます。スナックに自分も興味あるとか、全く知らない人と関わるスナックの場が持つ魔力に惹かれていたりとか、もう一度現代にリバイバルさせたいという思いを持ってくれている方が多いと感じます。

ースナックと関わる中で築かれた坂根さんの価値観を教えてください。

周りの人に少しずつ頼ることです。自分のモットーであり、苦手なことでもあります。誰かに頼るのは、内心どこかで怖さもあります。

ちょっとずつ頼ればいいんだと、スナックで学びました。身をすべて委ねるのではなく、相手と何気ない言葉を交わすだけでも心の支えになると知りました。

ー最後に、U-29の読者へメッセージをお願いします!

私も日々悩んでいるので、同志として一緒に悩みたいです。ひとりよりも仲間がいたほうが、気づくことは多い気がします。

今日や明日で仲間はできるものではないと思います。時間をかけたり面倒臭さを乗り越えたりすると、できると考えています。

ゆっくり時間をかけて仲間をつくる経験を持つと、これからの自分を知るきっかけにつながるのではないかと思いました!

ーありがとうございました!坂根さんの今後のご活躍と「スナック水中」を応援しております!

取材:黒澤朝海(Twitter
執筆:naoko(Twitter/note
編集者:杉山大樹(Facebook / note
デザイン:高橋りえ(Twitter