自然に囲まれた暮らしを知ったアメリカ生活
ー留学でアメリカに行ったとのことですが、どのようなことをされたのですか?
留学でアメリカのポートランドに行きました。現地では、バイクの改造やタイニーハウスという小さな家を作るなどのDIY文化が盛んです。アメリカの生活の中で、自らの手で楽しみながら空間を作っていく面白さを感じました。
またアラスカに行ったこともあり、森を切り開いた場所で1ヶ月過ごしたこともあります。お金から離れて、自然に囲まれて農業をしていました。日没まで時間が空くと、ギターをしたり水に入ったりしていたアラスカでの暮らしがとても良かったです。
アメリカでの経験は、自分のやりたいことを研ぎ澄ませてくれたと思っています。
ーアメリカから帰国した後は、どのように過ごしていたのですか?
帰国した頃に、新型コロナウイルスが流行してしまいました。家にいる時間が長くなり、閉塞的な日々を過ごしていました。
そんな中で「熊本で家づくりのメンバーを募集中」というポスターを見つけました。そのときに自然に囲まれていたアラスカでの日々を思い出しました。自然の中の暮らしが恋しくなったんですよね。
「人生で一度は家を作ってみたい」と好奇心が刺激され、熊本に行くことを決めました。
大工業を通し、あるものを活用して作り上げる豊かさを知る
ー大工業を始めてみて、いかがでしたか?
コンクリートによる基礎作り、家の構造体を作ったりなど手作業の連続でした。家を建てる一連の作業を学ぶことができ、大変でしたが成長できたと思っています。
その後は山口の俵山温泉という温泉街で、リノベーションに携わりました。天井や床を貼っていると、在庫がたくさん余ります。僕は、廃材を利用してドアを作ることに凝るようになりました。家具を分解して再構築して、ドアにする作業がとても好きで。自分なりのこだわりも生まれてきて、楽しくなりました。
他の大工さんがしないことなので、廃材を利用して新しいものを作り上げることは個人で取り組む価値があると思います。最近は依頼を受けて、ウッドデッキやドアを作っています。
ー和馬さんは、たくさんのものづくりに携わっていると思いますが、作りながら感じていることはありますか?
廃材など、余ったものを活用することが豊かだと思っています。使えるものを捨てるのはもったいないじゃないですか。お金をかけずに、いいものや使いやすいものを作れたら楽しいですね。
都会の人は新しい食器を買っていますが、地方の空き家ではたくさんの食器が眠っています。地方は昔ながらのお祝い文化が盛んで、地域の人同士でお皿のやりとりがありました。都会で暮らす人の分をまかなえるくらいの食器が残っているのです。
また日本では、新築をたくさん建てる一方、空き家の数は増えている状況が生まれています。新しく家を作るのではなく、使えるものを直すほうが良い時代になっていると思います。もちろん面倒さはあるのですが、それすらも楽しめるといいですね。
また僕はこだわりが大事だと思っています。どのような意図で行うのか、どうすれば喜んでもらえるか、余った廃材で何ができるのかを考えると楽しいです。
使いやすいけれどこだわりがない空間ではなく、使いづらいけど楽しい気持ちになるデザインを作るほうが僕は好きです。僕にしかできない、使いにくくてもこだわったものを作りたいなと。もともと、人と同じことをやりたくない気持ちがあるのかもしれません。
ー今後、挑戦してみたいことはありますか。
直近の2年間は自分の世界観で空間を作りたいです。すでにある材料だけで小屋を作ったり、部屋のリノベーションを行ったりしたいです。最近は木材の価格が高くて、材料をわざわざ買うのはもったいない状況です。
家の構造体を別のものとして組み直すことで、よりかっこよくなったり安く作れたりすると良いですね。「捨てなくても、あるものだけでここまでできるんだ」と驚かれるものを作りたいです。
その後はニュージーランドに行きたいです。現在趣味でお寿司を作っているのですが、いつか海外の寿司屋で働いてみたいと思っています。建築の方面で、海外ならではの技術を吸収したり、動画の仕事をしたりして過ごしたいです。
30代後半になったら、子どもが自然体験をできる学校を作りたいです。そのために20代は自分のスキルを上げ、自分が興味あることや極めたいことに特化していきたいです。30代になったときに、周りや社会のために動くような生き方をしていきたいと思っています。
ーありがとうございました!浅沼さんの今後のご活躍を応援しております!