どん底1日目ー難病当事者が綴る手紙ー出版委員会代表安部弘祐が語る、つらい経験を糧に変える方法

同級生がきっかけで難病当事者向けの本を出版

ーその後、難病当事者に向けて本を出されていますが、きっかけは何ですか。

1年生の後期から実は授業でやりたかったサービスがあったのです。当事者同士のクローズドのコミュニティSNSのようなサービスを作ろうと思っていましたが、チームが空中分解してしまい、できなくなってしまいました。

そこから学生団体に入ったりインターンをしたり、自分なりに能力をつけないとと思いました。本を読んだりプログラミング教室に行ったりする中で、「僕ができる解決策ってなんだろう」と考え始めたのです。

そんなときに、高校の同級生が難病になり、不安でつらい様子をInstagramのストーリーで見ました。僕もつらさを抱えていましたし、発症当時は誰もが孤独で、病気の相談できる相手がいない状況だと思いました。

病院には本棚があるので、本棚に同じ病気や違う病気の同じ世代の人からのメッセージを込めて、SNSのIDを載せようと思ったのです。本棚を見た人と繋がって相談できる流れを作れると思い、本を作ろうと決心しました。

ー最初のきっかけは同級生だったのですね。

時期的には3年生の後半でしたが、いろいろな本をたくさん読んでいましたし、1年生のチームが空中分解したときと比べてレベルが上がっていると思いました。今の自分にできることを考え、本にたどり着いたのです。

ーそこからクラウドファンディングを始めたと伺いました。

1月に決めて2月に本当に需要があるのかを調べ、同じ病気の人にヒアリングして、3月に本を作るための経費を集めて11月に本を出しました。当時はクラウドファンディングや本を作ることしか考えていなかったです。

実際つくってみて反響は大きかったです。「私が高校生のときに読みたかったです」といった声もあったので、僕や友達以外にも作る必要性があるものだと感じました。

つらい経験から医療の課題を解決したい

ー現在安部さんが所属するGift of Loveはどのような団体ですか。

グリーフケアを伝える団体です。「世界中にグリーフケアを」をひとつのミッションとして掲げています。自分もセラピストとして聞きますが、相談者と話していて自分が癒される効果もあるのです。

グリーフケアは誰にでもできますが日本ではまだ認知されていません。グリーフケアを広めることで誰もが人に寄り添えてお互いに癒される世界が作れるのではないかと思い、グリーフケアの講座をやったり、ワークショップをやったりしています。

ー今後の目標をお伺いしてもよろしいでしょうか。

現在医療系に一番インパクトがある分野は、AIです。医療はもっと効率化できたり、課題の解決に役立ちそうなテクノロジーが眠っていたりすると思うのです。

今はカルテをAIで業務効率化するスタートアップがあったり、音声認識で患者とのやりとりを聞いてテキストに起こして要約するAIがあります。

AIは日々進化するので、効率化できたら1人でも多くのサポートができます。もしかしたら半年後に当事者視点のサービスを作っているかもしれないです。

僕は自分が人に話すとき、経験ベースで話せることを話していて、過去の経験があって嫌だったことから解決策としてさまざまな活動をしてます。

しんどい経験や苦しい経験は、絶対糧になると思います。一方で、今が苦しい・つらいと感じている人には寄り添う人が必要だったり、助けてくれたりする人が必要だとも感じています。

つらさは誰かの価値観になり自分の糧にもなるので、お守りとしてもつのがいいと思います。苦しければ苦しいほど同じ立場の人の気持ちがわかりますし、同じ経験をした人が少なければ希少価値が高く、誰かのためになる価値も見出せます。

何十年先かわかりませんが、つらさは糧になると思っているので、いつかこの経験が役立つのを信じています。だからこそ、今つらい人に対しての寄り添い方も一緒に考えたいです。

ー本日はありがとうございました。安部さんの今後のご活躍を応援しています!

取材:和田晶雄(Twitter
執筆:ひろむ(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter