IT戦国時代に新たな風を。MOVEDOOR代表・諸富稜の人生の歩み方

「面白い人生を」と選んだ学生起業の道

ー大学3年生で起業された諸富さん。もともとクリエイティブなスキルはお持ちだったのですか?

ゼロから独学です。仕事を受けながら独学で必死に学んで、やらざるを得ない環境の中でできるようになっていきました。ですが、創業時からプログラミングスキル、デザインスキル、映像スキルのあるメンバーを仲間に加えています。

ーなるほど。起業されたとき、メンバーとの熱量の差は感じられなかったですか?

創業メンバーは全員何らかの学生団体で代表を務めていて、本来なら大企業に就職できる子ばかりでした。何事にも主体的で前向きな彼らは、起業という生き方を面白いと感じてくれていたと思いますし、彼ら自身にとってもわくわくする挑戦だったのかなと思います。

ユニークな生き方を面白がってくれる、人と違うことに対して何かしら楽しみを考えてくれるような子たちを誘うように心がけました。チームに入った後にどうモチベーションを高めていくか、どう動機づけするかを考える人も多いと思います。ですが、僕はどういう人を誘うか、どんな誘い方でどんな条件で入ってもらうかが重要だと思いますし、そこにこだわっています。

ー起業して、大変だったエピソードがあれば教えてください。

起業当初は、理想と現実のギャップにとても苦しみましたね。20歳で起業して、はじめはできないことだらけでした。こんな会社にしたい、こんなクリエイティブを目指したいと思っても、なかなか自分たちがそこにたどり着けない。現状否定の中で、顔を上げてチームの雰囲気を良くしながら、続けていく難しさはありました。

ーコロナ禍でも壁に直面されたとお伺いしました。どのように乗り越えられたのですか?

2020年に大学を卒業して、これから会社を大きくするぞ!というタイミングで、コロナショックの壁にぶち当たりました。当時は広告宣伝費を抑えようとする会社も多く、5〜6社との契約が白紙に。制作の途中にも関わらず契約が切られてしまい、売上が入ってきませんでした。

このままでは会社が潰れてしまうと本気で悩みましたが、コロナ禍においてオンラインショップや動画の価値は上がるだろうと戦略を立て、そこから攻めの姿勢に切り替えたんです。結果お客さんは増え、この経験を乗り越えたことで自信にも繋がりました。

たくさんの人に支えられ、目指す未来とは

ー会社のメンバーに助けられているなと感じる瞬間はありますか?

めちゃくちゃありますね。現在はパート・アルバイト含め20人くらいのメンバーが働いてくれているのですが、中でも創業メンバーには経営において主要な役割を分担してお願いしています。経営に関する情報共有がしっかりとできるチーム体制なので、会社の方針に関してもメンバーと話し合うことで、ベストな選択肢を選ぶことができる。そういった面でも感謝しかないですね。

メンバーたちは、大企業に就職できる実力を持ちながらも、その選択肢を断って僕についてきてくれたので、絶対後悔させたくないという気持ちは常にありました。そんな思いが、苦しい状況の中でも立ち直る勇気をくれたし、諦めない理由になっていたと思います。苦しいときに共に励まし合い、高め合えるメンバーがいてくれることに、かなり助けられています。

ーチームビルディングが大切ですね。

本当にそう思います。起業当時は、自分より優秀なメンバーや自分が尊敬できる子を、いかにして仲間に引き入れるかということをすごく考えていましたね。僕は中高時代から面白い子が好きだったので、そういう子たちと共に時間を過ごすように心がけていました。

大学時代においても、デザインができるとか、プログラミングができるとか、何かに秀でている子と仲良くしていました。限られた学生生活の中で、しっかりとアンテナを張っていたことが、メンバーを集めるときに活きたと思います。

ー諸富さんがロールモデルにしてる方はいらっしゃいますか?

僕の人生を変えてくれたのは、父親です。

父は、建設会社を経営している2代目社長なのですが、建設・建築ができるという強みを活かして、どんどんと事業を伸ばしています。常に新しいチャレンジをし、苦しい状況を乗り越えていく父の姿を、子供の頃から間近で見ていて、強い憧れを抱きました。

父の会社の50周年パーティーに出席し、会社が続いていく尊さや、その難しさを目の当たりにして、父への尊敬の念がさらに増しました。これが自分が生涯を通してやりたいことだと思えた瞬間でした。

今でも父の背中を追いかけています。追いかけようとも、父も成長していくのでなかなか追いつけないですが。尊敬しつつも、追い抜いていきたいというポジティブな感情で、日々頑張っています。

ー今後の展望についてお聞かせください。

まずは東京進出を叶えたいです。これまで3〜4年関西でやってきたのですが、東京という大きいフィールドで勝負していこうと思っています。中小企業のブランディング・クリエイティブも今まで以上にやりつつ、東京の大企業のブランディングにもチャレンジしていく。それが成功したとき、僕らの作るクリエイティブが世の中に影響力をもたらしていくと思うんです。

もう一つ、自社サービスを立ち上げたいと考えています。せっかく広報・PR・デザイン・広告のノウハウが溜まっているので、自社で何らかのサービスを立ち上げて、それを自分たちの広報・PR力で広げる。それができたら理想的だと思っています。

ー最後に、読者のみなさんへ一言お願いします。

自分が特化する、極める分野を、早めに決められるといいのかなと思います。そのためにも、いろんなことをまず知る、情報を集めるということをやってほしいです。学校の勉強だけじゃなく、いかに自分で情報収集するか、主体的に学べるかといった独学力がないと、これからの時代、自分の市場価値を高めることは難しいと思います。

もちろん最終的にはやりたいかどうか、面白いかどうかで決めるところに行き着くのですが。そこに至るまでに、最低限の情報を集めないと判断軸がない。なので、そのくらいの努力はするべきだと思います。

しっかりと情報を集めた上で、自分が極めていく分野を決められた子は強いですよね。自分の専門分野が分からないまま社会に出る人と比べて、これだけは他の人に負けないという圧倒的な武器を持っている子は、どの会社もどの環境も欲しがる。

いろんな選択肢がある中で、他の選択肢を閉ざすことは勇気が必要です。ですが、その決断ができた人は、圧倒的な市場価値と、他の学生との差別化を手に入れられるのではないかと思います。

ーありがとうございました!諸富さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:渡邊眞雪(Instagram / Facebook
執筆:黒木伶(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter