下田市と南伊豆町の魅力を伝えるコミュニティマネージャー・松橋樹に聞く言葉の大切さ

温かい人や自然豊かさに惹かれ、下田市に拠点を移す

ー幼い頃からカメラやデザインに興味を持っていたのでしょうか?

カメラに興味を持ったのは大学に入ってからです。姉が使っていなかったカメラを常に借りていました。サークルに持っていったり、友達を撮ったりしていると、趣味から仕事にできたら面白いなと思うようになりましたね。

デザインは「美大生の人しかデザイナーにはなれない」と自分で勝手に決めつけていたのですが、実際にデザインをやってみると興味を持つようになりました。現在ではカメラ、撮影、デザインの3つが私の軸です。

ーその後、どのようなきっかけで南伊豆町に拠点を移していかれたのですか?

新卒で会社に入らず、フリーランスとして自分の道をスタートしている人のnoteを見つけました。DMを送りお話させていただいたのですが、LAC伊豆下田にもよくいる方で現在は兄弟のように接しています(笑)。

その方に「こんなのあるよ」とおすすめされたのが、LAC伊豆下田で開催される、フリーランス向けの2週間の合宿でした。

合宿終わりにお声がけをいただき、デザイン未経験でしたが、南伊豆町の小学校5年生と一緒にポスターを作るお仕事をいただきました。教育系に携わっていたこともあり、オンライン上でしたが、子供たちと関われるのが楽しかったです。改めて、子供たちのために何かしたいと思うきっかけになりました

それから大学卒業間近に、デザインの仕事を紹介していただいた企業が、地域の事業者とクリエイターを繋ぎ、その場で課題解決をするイベントを開催しました。私は、クリエイター側で招待をいただき、そのときに繋がった事業者が南伊豆町の町長さんでした。

教育系のプロジェクトを提案すると「面白いね」という話になり、南伊豆町に関わるようになりました。マッチングイベントを主催されている会社に「なんでもいいので南伊豆町で人手を求めているところはありませんか?」と聞き、拾っていただいたのが南伊豆町にある会社でした。

ー南伊豆町に関わるようになって、魅力に気づいた部分はありますか?

魅力を語ると1、2時間では足りないほど、南伊豆町が大好きです。強いていえば海と山が隣接していて、温泉があるところですね。海や山、自然がない場所で生活していたため、心の癒し具合は段違いでした。

ー南伊豆町の良さを写真や文章で発信されているのですか?

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はい。南伊豆町に進出している企業で、業務委託としてサイト内に「南伊豆活動記録」を書きました。

南伊豆町に来た当時、22歳の私が思う地域のかたちや日記を写真や文章に載せて書いていて。お店やスポット、人など、いろいろなことを書いたり、写真を撮ったりしていたので、頭の中で南伊豆町のマップが出来上がっています(笑)。

私の取材方法は自分で体験し、その場を知った上で紹介させていただくので、一番思いをのせやすいです。取材を機にありがたいことにいろいろな人に恵まれ、今でも関係性は続いています。この取材スタイルはコミュニティマネージャーの業務である、目の前の人との繋がりの部分で受け継がれていると思います。

相手を思いやる、多様な表現のかたち

ーテーマは「言葉の大切さ」ですが、松橋さんが人生の中で影響を受けた言葉はありますか?

あまり浮かびませんね。言葉の捉え方が異なるからかもしれません。

私の言葉の捉え方は「心に残った言葉がある」というより、「言葉の意味が先行していることに違和感を抱いている」ということです。

例えば、コミュニティーマネージャーやワーケーションやSDGsといったの言葉をよく聞きます。その分野に本気でアクションを起こしている人がいる一方、言葉がビジネスの一つになっているかもしれません。

言葉の意味だけが先行して自分の中で定義化せず、世の中で盛り上がっている状況に違和感を感じます。私はどのような意味でその言葉を使っているのか、自分自身で考えないと気がすみません。

言葉を否定するのではなく「自分だったら言葉に対してこう捉えたい」と考えながら言葉の一つひとつをみています。いろいろな方との出会いや経験の中で、言葉をむやみに使う恐怖心を覚えました。その恐怖心を解消するために、自分と相手の言葉の捉え方を聞き出すことを意識しています。

ーインタビューで人生を振り返ってみていかがでしたか?

現在の自分が形成されているのは過去の出来事があってこそです。過去の自分自身の考え方を認めつつ現在の考え方を見直してみると、異なる部分が改めて見えてきました。

現在の自分の考え方も何年後かはつたない考え方なのかもしれません。

自分ができることは言葉一つひとつの選び方や、多様なコミュニケーションの取り方を意識することです。文章や写真、デザインなどのほうが自分の思いを伝えたり、表現できたりする人もいれば、コーヒーがあるからお話が弾む人もいると思います。

いろいろなことを模索しながらコミュニティマネージャーの業務に勤しみたいです。

ー若い世代の方に向けて、勇気をもらえるような一言をお願いします!

私も思っている以上に悩むことや辛いことがありますが、一緒に考えてくれる仲間がいるから楽しくできます。

LAC伊豆下田はコミュニティスペースで、人それぞれ仕事したり、コミュニケーションをとったりする場です。とりあえず来ていただければいろいろお話できると思いますし、一緒に楽しめたらなと思います。ぜひ来てくださいね!

ーありがとうございました!松橋さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:山本佳奈(Twitter
執筆:後藤優奈(Twitter
編集者:松村彪吾(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter