秋田県に拠点を移し、コーヒーを通じて耕作放棄地の再生利用を目指す
ーコーヒーについて学習したあとは、秋田県に拠点を移したとお聞きしましたが、何か理由があったのでしょうか?
単純に東京があまり好きではなかったからです。活動するなら出身地である東京ではなく、地域らしさがあり、ルーツを持てる環境に行きたいという思いがありました。大学生活で唯一縁があり、地域の景色が好きだった秋田県に拠点を移すことに決めました。
秋田県に拠点を移されてからは、どのような活動をされたのでしょうか?
大学休学を延長し、コーヒー販売と、地域に残された耕作放棄地の再生利用に取り組みました。秋田県内のお米や野菜の生産現場を回りながら、耕作放棄地の持ち主に直談判をして、再生利用の許可をいただいていました。
ーなぜコーヒー販売のほかに、耕作放棄地の再生利用にも取り組もうと思ったのでしょうか?
地域の景色を守りたいと思ったからです。
きっかけは、コーヒーの生産現場を回っているときに、至るところに耕作放棄地があるのを目にしたことです。お年寄りの方が多い地域だったため、このままでは耕作放棄地が増えていく一方だと思いました。何か力になれることはないかと考え、思い浮かんだのが耕作放棄地の再生利用でした。
ー耕作放棄地の再生利用とは、具体的にどのようなことをされたのでしょうか?
耕作地として利用できる状態まで回復させ、種や苗などを植えました。整地するために草刈機などを購入し、まずは自分たちのできる範囲で再生利用に取り組んでいました。再生利用にかかる費用は、月に2〜3万円程度ですが、コーヒーの売上の一部を使用しています。
ーコーヒーを通じて、地域の活性化にも力を入れているのですね。
そうですね。コーヒー販売あっての活動でもあるので、コーヒー販売は手を抜くことなく進めていきたいと考えています。
コーヒーをもっとサステナブルなものに
ーコーヒー販売だけでなく、素晴らしい取り組みをしている大西さんですが、現在、ある挑戦をしているとお聞きしました。どのようなことをされているのでしょうか?
コーヒー豆の生産から販売まで、6〜7者が間に入っているサプライチェーンを、2者にする挑戦をしています。実は、コーヒー豆はほとんどが輸入品なのです。海外農園から輸入して、コーヒーとして消費者に届くまでに、かなりの工数を挟んでいます。
できる限り生産者の思いが消費者に届くように、この挑戦をしようと思いました。
ー挑戦しようと思ったきっかけは、なんだったのでしょうか?
きっかけは、エチオピアの農園視察に行ったときでした。その農園では、コーヒー豆の生産から輸出までを、業者を介さずに自分たちで行っていたのです。
もともと、生産者と消費者をもっと身近なものにしたいと思っていました。ぼくたちが農園から直接買い付けを行い、販売することができれば、極限まで工数を省くことができると考えたのです。
ーとても素敵な挑戦だと思います。大西さんのこれからの展望をお聞かせください。
生産者から消費者に届くまでの工数が多いことで、ブラックボックス化してしまっているコーヒー業界を、少しずつ透明なものにしていければなと考えています。
お金の流れや環境への配慮など、なかなか知ることのできない内側の情報を共有していき、全ての人の、コーヒーに対する認識が変わっていく様子を見てみたいですね。
そのためにぼくたちができることは、今後も積極的に取り組んでいくつもりです。
ー大西さんらしさがあり、本当に素晴らしいと思います。最後にそんな大西さんから「自分らしさ」の磨き方をお聞かせください!
自分で考えて、自分で決めて道を選ぶことが大切だと思います。
ぼく自身、自分で考えて、進みたい道を選んできたらここまできていました。何をどうしたらいいのか分からなくなることもありましたが、自分を信じて何事も挑戦してきたからこそ、今のぼくがあると思っています。
ぜひ参考にしてみてください。
ーありがとうございました!コーヒー業界が、大西さんの活動によって変化してくことを楽しみにしています!大西さんの今後のご活躍を応援しております!