ケアラーの「諦め」や「思い込み」を打破するサービスを。異なる視点から介護を変える金子萌の挑戦とは

新婚旅行のように、介護生活の始まりにも在宅介護体験旅行の「Care Tech Tourism」を

ー5年後のビジョンはどうですか。

まずは、「本当は大切な家族と一緒に過ごすために在宅で介護をしたいのに、在宅介護を叶える方法が分からないために諦めて施設に預けてしまっている」という人をターゲットに、「在宅介護の方法を知り、体験する」在宅介護体験リトリートプログラムの「Care Tech Tourism」という事業をメインで行なっていきます。

介護の様々な「思い込み」や「諦め」を打破するためには、介護生活を体験していただき、「これなら自分でも無理せずに介護ができそう」と思っていただくことが一番の近道です。

そのため、私たちは具体的な介護ノウハウや最先端の介護補助ツール、行政のサポートなどを組み合わせて「無理せずに在宅で介護できる方法」を介護生活の始めに体験いただきます。それを温泉地などで行う、いわば「在宅介護体験合宿」です。

そうした体験を旅という非日常と組み合わせることには、新婚旅行のような儀式的な意味があります。

結婚式や新婚旅行には、彼氏彼女という関係性の2人が「夫婦」になり結婚生活を始めるという、関係性の変容を無理なく受容するための儀式的な役割があると言えますよね。

介護もそれと同じです。それまでは対等な関係だった家族が、「介護する人・される人」という異なる関係性に変わってしまいます。

そんな不安いっぱいの介護の始まりを、在宅介護体験旅行を経て、介護生活という新しい人生のステップに前向きに踏み出すきっかけにしてほしいと考えています。

ー金子さんはネガティブな経験をポジティブなエネルギーに変えているような印象を受けたのですが、どん底にいるとき、どのような考えをすれば前に進みやすくなるのでしょうか。

どん底にいるときは、落ちきるまで落ちきったほうが良いです。底が見えると、「こんなことやってたらいけない!」と思う瞬間が来ます。そうすると、もうこんな経験はしたくないと思って必死に頑張れるんです。

私は、心の底から納得できることには頑張るけれど、そうじゃないことは頑張れない性格です。底に落ちている途中で、「そろそろやらないといけない」と思っていても、心から納得できていないので結局また落ちてしまうことがありました。でも、底まで落ちきると心から「上に上がりたい!」と思う瞬間が来るはずなので、その瞬間が来るまで落ちているというのも1つの手だと思います。

ー事業の今後についておうかがいしたいです。

在宅介護体験旅行を広めていくにあたり、今後は実証実験として小さな規模でテスト旅行を重ねていき、プログラム内容を練り正式ローンチに繋げていきます。

その過程で自治体との協業もさせていただきたいですし、将来的には海外からのインバウンド重要の開拓も視野に入れています。

6月に創業したばかりの会社では私の他に役員が3名・サポートメンバー数人で事業開発を行っていきますが、仲間は全方位で大募集中です!

今までは事業内容が定まっていなかったこともあり、仲間を募集する勇気がなかったのですが、これを機にぜひいろいろな仲間と一緒に活動できればと思います。

エンジニア・デザイナーはもちろん、介護分野や事業開発への知見が深い方、COO・CTO候補などすべてのポジションを募集しています。

また、実証実験に一緒に取り組んで下さる自治体様・企業様を始めとして協業先も募集中なので、「在宅介護体験旅行」に少しでも興味がある方はご連絡お願いします!

ーありがとうございました!金子さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:武海夢(Facebook
執筆:向後李花子
編集者:杉山大樹(Facebook/note
デザイン:髙橋りえ(Twitter