迷ってもワクワクする心が導いてくれる。複業フリーランス小山美穂のしなやかな生き方とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第643回目となる今回は、複業フリーランスの小山美穂さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

現在は出身地である宮城県にUターンし、複業フリーランスとしてマルチに活動されている小山さん。美大時代に経験した挫折から、現在のしなやかな生き方に辿り着くまでのお話を伺いました。ぜひご覧ください。

自ら何かを作りたいという気持ちを失った美大時代

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

小山美穂と申します。私は「複業」フリーランスとして活動しております。いろいろなお仕事をさせていただいているのですが、メインはWeb制作(デザインやディレクション、開発)を担当させていただいております。

他には講師やライターのお仕事もさせていただいています。現在は宮城県在住で、仙台の個人事業主 事務所でディレクションチーフをしております。

ー現在Webデザインのお仕事では、どんな取り組みをされていますか?

担当しているお仕事は本当に様々ですが、スタートアップ企業や自社サービスを展開されている企業のWEBサービス/アプリディレクションやデザイン作成/コーディング(一部開発を含む)などを担当させていただいています。

私は元々新卒で自社サービスを展開している企業のシステムエンジニアとして入社し、事業部との営業同行やディレクションも兼任させていただいていました。並行してスタートアップ企業のUI/UXデザインに携わらせていただいた背景もあり、今はデザインやディレクションを中心に、必要に応じた開発も担当しております。

フリーランスになってから約1年ほどですが、有り難いことに様々な案件に携わらせていただくことができました。実績としては地域密着型の不動産会社 様のWebサービス デザインや、SDGs関連サービスを展開されたスタートアップ企業 様のディレクションを担当いたしました。

ー小山さんは美大を卒業されていますが、幼少期から美術に親しみがあったのですか?

私は、物心ついたときから絵を描く画塾に通っていたんです。元々塾に入る前もノートとペンを持って、テレビにへばりついてたような子供で、感じたものを表現することが好きでした。

通っていた画塾では、幼少期から小学校ぐらいまでは想像力を発展させるような内容がメインでした。例えばくじで「りんご」「ノート」という2つのキーワードを引いて、それを掛け合わせて自由に創作していいよというような。一方で中学からは、美大受験に特化したデッサンや色彩構成などを学んできました。

想像力を使って自分が思うままに作る、みたいなところがすごく好きだったので、どちらかというと美大受験に特化したデッサンよりも自由に作る方が得意でした。

ーその後無事に美大へ入学するも、挫折を経験されたそうですね。

はい。先ほどお話ししたように元々自由に表現するみたいなところが好きだったのに、当時の私は、受験用のデッサンのような評価される絵を描くことに慣れてしまっていたんです。そのせいか自分から何か作りたいという欲があまりなくなっていました。

そこへ加えて、大学へ入学すると自分からワクワクした好奇心で作品を作る同級生を目の当たりにしたり、高校までは私がクラスで一番くらいに絵が上手いと思っていたのに、美大に入ったら私よりも絵が上手い人が沢山いるという現実にショックを受け、挫折を味わいました。。

私にとって、大学に入るまでの人生は美術一色でした。今まで頑張ってきたものを失った感覚で、美術から距離を置きたいとまで思っていました。大学1年生の冬から2年生の始めくらいまでは、このまま美大にいていいのか、退学したほうがいいのかと迷いながら通っていました。

挫折の末に出会ったフリーランスという生き方。

ー挫折はどうやって乗り越えられたんですか?

私は不安になったらすごく視野が狭くなるタイプだったので、その時も自分の考えがすごく狭いのではないかと不安になったんです。そこで他の人の意見も聞いてみようと。

それから社会人の方にお話を伺う機会を作るようになり、建築会社様で広報の長期インターンをさせていただいたり、学生団体に所属してデザイン周りのお手伝いをさせていただいたりしましたね。そこでちょうど、現在私が所属している個人事業主事務所の代表とも知り合いました。

そんな取り組みを通じて、美大とはいえ美術を学ぶためだけの場所ではなくて、4年間の活動を通して自分が今後どうなっていきたいかを考える場所なんだなと気が付いて、美大で頑張ろうと決めました。

ー代表の方とは、学生時代に出会っていたんですね!

はい。代表と出会って、個人事業主事務所でインターンもさせていただきました。そこで実際に働かれている個人事業主の方ともお話しする機会があり、みなさんが時間や場所も自分で決めて自由に働く姿に強く憧れを持ちました。自分も3年後ぐらいに個人事業主になりたいなと思っていましたね。

ーいきなり個人事業主になるのではなく、まずは就職しようと思ったわけですね。

はい。学生時代にグラフィックデザインなどにも触れていたのですが、個人事業主としてはそのスキルだけだと不安だと感じていたので、まずは就職しようと思いました。デザイナーとしての就職ももちろん選択肢の中にありました。

ただ「3年後に独立するためにはどうしたらいいか」といろいろ調べるなかで、エンジニアの働き方に興味を持つようになりました。

ー実際に美術とは全く違う分野のエンジニアになってみて、いかがでしたか?

そうですね。今まで美術しかやってなかったというところで、プログラミングの書き方やIT周りの仕組みがわからないとか、そういう壁にぶつかりました。あとは論理的思考を求められるので、そういった面でもすごく苦労しましたね。

でもチームとして先輩方に教えていただきながら、ITの仕組みやコードの書き方も徐々にわかってきました。もちろん私の方でもわからないところは質問しつつ、仕事以外の時間でも積極的に会社で使ってるプログラミング言語を使って何か作ってみようとか、勉強したりとか、そういうことを通して少しずつできるようになってきて、自信もついていきました。

2年目の後半にはエンジニア業務だけではなく、営業同行させていただき、直接クライアント様にシステムの説明をさせていただくようになりました。