100人で100歩!日東社の大西 潤が語る、家業を継ぐまでの軌跡

就職するも挫折。諦めず幅広く知識を身につけ、MVPに

ーその後就職活動をされたと思うのですが、どのように進路を進められたのですか?

はじめは、家業である日東社に就職するか他社へ就職するか迷いました。ですが最終的に日東社に入社すると考えていたので、外の世界も知っておいた方がよいと思い就職活動をはじめました。

就職活動では日東社のレベルをもっと上げたいという思いで、組織や人を変えることで事業成果につなげる仕事につきたいと考えました。そこで「業種や会社の規模は関係なく、組織人事の力が事業成功につながる」という考えに共感して、組織人事コンサルティング会社に入社しました。

ー新卒で入社したコンサルティング会社。はじめてのお仕事はいかがでしたか?

入社して3年間はうまく仕事ができず、あらゆる職種に転属されました。

1年目は資料制作部門に配属。精いっぱい取り組んでいたのですが、お客様や上司が思うような資料を作ることができず……。2年目になり営業部門に転属しました。

営業部門ではアポイントも自分で取らなければならなかったのですが、なかなか取引につながるアポイントを取ることができませんでした。その後3年目で研修サポート部門に転属しました。

ー様々な部門を経験されたのですね……。

この会社では僕が経験してきた3部門が主な役割だったので、3年間ですべての部門を回ることができました。そのおかげで視野が広がって幅広い知識や技術を応用することができ、少しずつ力を身につけることができたのです。

4年目になって学んだ知識を活かしてミックスしながら仕事をすることで、3ヵ月で5,000万円ほどの取引を結ぶことができ、26歳で全社MVPを取ることができたのです!また、色んな角度で後輩に教えることができ、先輩としてもマネジメントスキルが身について成長することができました。

ー全社MVP!さまざまな部門での経験が結果と結びついたのですね。

現代の中小企業では、1つのことに特化するのではなく色々なことを複合的にできる人材が求められていると感じています。

現在、私は採用人事を担当しながら営業•広報などさまざまな部門を担当しています。コンサルティング会社で多部門の経験があるからこそ、今こうして複合的に業務できていると感じています。あの頃は大変な思いをしましたが、経験してよかったと心から感じています。

100人で100歩。絆を大切に、さらに愛される会社に

ーその後どのような経緯で家業に戻られたのですか?

MVPをいただいた4年目の6月に、家業に戻る決意をしました。

実は、コンサルティング会社には30歳まで勤務してほしいと言われていました。実家に帰るたびにいつ戻ってくるのか聞かれていたのですが、上司が30歳までのマイルストーンを組んで目標を一緒に考えてくれたので、そこまで精いっぱいがんばろうと思っていました。

そして4年目の6月、日東社の設立95周年記念で行われたハワイ旅行に呼ばれて参加したことが運命の分かれ目でした。そこで行われたパーティーで、祖父である会長のスピーチ中に私が呼ばれたのです。そこで私は「1年後の6月に今の会社を辞めて日東社に入社します!」と決意表明して、実際に1年後の7月に日東社に入社しました。

ー突然の決意表明!何が大西さんの心を動かしたのですか?

そうですね、決意表明できるくらいの結果を残せたことが一番大きかったのかなと思います。

もし何も結果を残せていなければ、決意表明はできなかったと考えています。3年間で知識をたくわえて4年目でMVPを獲ったことは、やはり私の中で非常に大きいできごとです。自信をもって家業に戻れて本当によかったです。

ー現在日東社で働くうえで、大切にされていることは何かありますか?

はい、2点あります。

1点目は、みんなで共通の目標を持つことです。私は、1人が100歩進むのではなく、全員で1歩進み100人で100歩進むことが大切だと考えています。そのためにはトップの志が非常に重要で、目標を目的に置きかえ一緒に進むことを心がけています。

2点目は、絆を大切にすることです。弊社の理念に「絆を大切にする企業として共に歩みます」があります。私はこの理念に非常に共感しておりまして、従業員との絆を大切にすることで、結果的にお客様や取引先、地域との絆が生まれると考えています。

ー最後に今後の展望を教えてください。

トップダウンにならず、リーダーとして志を持って「サーバントリーダーシップ」を取っていきたいです。

サーバントリーダーシップとは、全員の意見を訊いて一人ひとりの意見を集約した上で決断していくリーダーシップのことです。会社を続けていくには、信頼関係が一番大切であると感じています。

現代は非常に価格競争が激しく、安くてクオリティの高いものが求められています。その中でも1つ1つの商品に付加価値をつけて販売することが重要です。そこで社員みんなの意見をきいてよりよい商品を生み出し、日東社を150年も200年も続いていく会社にしていくことが、私の使命です。

ーありがとうございました!大西さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:柚月 歩(note/Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter