ボート部崩壊の危機から「相手に寄り添う」大切さを学んだ
ー大学ボート部に戻ってからのエピソードを聞かせてください。
大学3年生で女子部の代表になったのですが、チームを勝たせたいあまりにメンバーに寄り添わず、自分の意見を押し付けてしまいました。
その結果、チームがバラバラになり私自身もチームから孤立してしまい、数か月ボート部を離れることになったのです。
ーケンカ別れしてしまったのですね。ボート部を離れてどう過ごしていたんですか?
個人の練習を続けながらも、もどかしい日々を送っていました。
そんな中、就職活動中にラグビー部で部長を務めた方と出会い、ボート部での状況を相談したところ「一度自分を見直してみたら」とアドバイスをもらったんです。
自分の言動を振り返ってみたら、「私がやってきたように練習すればいい」「できないならできるまで頑張って」と、メンバーの苦労に寄り添わずに自分のエゴを語り続けていたことに気づきました。
チームが険悪になったのは自分が原因だとわかり、「このまま逃げていたら、今までの自分と変わらない」と覚悟を決め、メンバーへ謝罪の場を設けました。自分の非を認め、反省したことをすべて打ち明けたら、メンバーも理解してくれてチームに戻ることができました。
ー本音で話したからこそ、ボート部崩壊の危機を乗り越えられたのですね。
今は、あの決断をして本当によかったと感じます。その後は、チームに寄り添い一人ひとりに合った提案や伝え方に気をつけるようになりました。
コミュニケーションの量も増えてチームの雰囲気も変わった結果、練習に打ち込めるようになり、全日本大学選手権で表彰台に上る夢が叶えられました。
長所に目を向けるためには、自分を知ることが大切
ー相手に寄り添う大切さを学ばれたのですね。石垣さんは「長所への目の向け方」をどう考えていますか?
私はボート競技に出会って可能性を発揮できる場を見つけられましたが、実際にはそういう人は少数派です。
しかし、陸上部でモヤモヤしていた私が可能性を開花できたように、人の可能性は無限大で誰にでも活躍できる場は絶対にあると信じています。
ー自分の長所を見つけられない人が、長所に目を向けるにはどうすればいいですか?
「自分を知ること」が一番大事です。自分の生き方を振り返って、どんなときに楽しさや幸せを感じるか、いつ成果が出やすいかを知ってほしいです。好きなことを見つけたら、それを貫き続けてみてください。
辛いことがあったときには一度立ち止まって、自分のできることや得意なことに意識を向けてみるといいと思います。
短所をなんとか改善しようとするのではなく、、長所を活かしたほうが活躍の可能性が高まるのではないかと感じます。
ー最後に、石垣さんの今後の展望についてお伺いしてもいいですか?
部活動でスポーツに励む中高大学生を支えたいという想いがあります。部活動を通して、怪我で練習に参加できずマネージャーに転向したり、努力の方向性を間違えて勝てなかったりする選手をたくさん見てきました。
伸び悩む選手を救い、トレーニングや体づくりの面から支えて可能性を見出せるトレーナーになっていきたいです。
もうひとつの夢は、ボート競技という素晴らしいスポーツを広めること。ボート競技の認知がもっと高まれば、学生が競技をはじめるきっかけになり、可能性を見いだせるのではと考えています。
そのためには、ボート界で活躍する絶対的な選手の輩出が必要です。選手を指導する立場から、ボート界を盛り上げられる人材になっていきたいです。
ーありがとうございました!石垣さんの今後のご活躍も応援しております!
取材:とも(Twitter)
執筆:石崎リカ(Twitter)
編集:仲奈々(Twitter)
デザイン:高橋りえ(Twitter)