人とのつながりが心を豊かにする。佐藤光司が考える第4のインフラとは

フラットに話せない環境の壁にぶつかる

ー就職活動ではどんな軸を大切にしていましたか?

自分が心からやりたいことや自分の名前で仕事ができる社会人になれるかどうかを重要視していました。3年ほど経験して事業を作れるような業界か、知見が得られる会社かどうかが一つの軸でした。業界はネット系のベンチャー企業とか人材輩出の実績ある企業などです。

当時、「入社して3年で辞めます」と人事の方に正直にお伝えしすぎてしまったのが反省点です。笑 20社くらい受けて、結果は2社から内定をいただきました。そして今の会社への入社を決心しました。

ー入社後、23歳のときモチベーションが下がってしまったとか。詳しく教えてください。

社会人になって1、2年目は自分のやりたいことやどんなキャリアを描きたいのかを話す機会や振り返る機会がなくなったことが背景です。

自分の内面と求められることのギャップに悩んだ時期でした。会社員なので周囲から求められる評価がありますが、求められることも中々達成できず、そして求められることを達成したときも自分の心や内面上は豊かになれず。自分は何のために仕事をしているんだろうと虚無感・孤独感を覚えながら過ごしていました。

ー社会人では環境も大きく変わりますよね。そんな当時、佐藤さんの支えはなんだったのでしょうか?

支えてくれたのは高校の同級生。利害関係ではなくフラットに、自分のやりたいことや今の状況を話せる友達は心の支えでした。自分1人でできることとしては、本をたくさん読んでいました。本を読むことで会社の中だと入ってこないような情報を自ら得る時間を大切にしていました。

ありのままを受容し応援する場所を作る

ー同じく23歳のときにコミュニティを立ち上げる。当時の経緯について教えてください。

同じような苦しみや課題を持っている人と一緒に、課題が解決できる世界観を作りたいとの考えからコミュニティを立ち上げました。友人と仕事について話をしていくうちに自分と友人が同じ悩みを抱えているのが見えてきました。

俯瞰的に見たとき、自分が抱えている課題は新社会人や20代も同じような課題を持ちやすいのではないかと着想しました。コミュニティは自分の好きと使命感の掛け算ともいえます。安心安全な対話ができる場所、そして自分が人の話を聞くのが好きなのでありのままの状態を語ってもらう中で元気になってもらいたいとの想いが背景です。

ーコミュニティでつながりが広がっていくことに対して今感じていることは?

コミュニティ運営を通して人が元気になったり、自然と口コミでコミュニティが大きくなったりしている姿をみていると率直に嬉しいですね!コミュニティって、人間関係の集合体なので大変な時もあるのですが、それも含めて楽しいです!

また僕たちは普通の企業みたいにプロダクトやサービスをもっていないんですよね。ただ人があつまり話をするだけで、こんなに幸福度やワクワク感が生まれることは、シンプルな取り組みだけど最強だなと改めて感じていて。

コミュニティがあったから転職とか独立される人もいる。自分を受容し、応援してくれるつながりがあるだけで、人の生き方や仕事の方向性は大きく変わっていくのだとコミュニティの重要性を改めて強く感じています。

ー確かに対話で気づくときありますね!佐藤さんもご経験があったのでしょうか?

私にも体験があります。楽観的な性格でちょっと抜けてる時があるんですが、仕事をする中で自分の悪い点だと感じていました。

でも、コミュニティではその抜け具合が丁度良くリラックスできるっていう意見をもらえたことがあった。同じ自分の性格の1面なんですが、環境が違うだけでポジティブに変換できると気づきました。自分1人では気付きにくいところをコミュニティが教えてくれました。

改めて繋がりの重要性を感じた出来事ですね。

ーコミュニティで自分の考えを話しやすくするための工夫はなんでしょうか?

人の話をちゃんと聴くことを大切にしています。お互いが自分の考えを話しやすくするためには、話しやすい雰囲気創りが大切です。まずは相手の話を自分がちゃんと聴く。話しやすい雰囲気を自分でつくってから、自分の考えも話すという順番を意識しています。

あとは直感的におもったことをそのまま話すことも大切だと思っています。「良いこと言わなきゃ」「こんなこと言ったら笑われるかな」と考えてしまい、発言ができない人も意外と多いので、ふわっとした発言もOK!と思ってもらうためにも直感的に話すことも大切だと思います。

あとは直感で話すことも意識しています。

ーコミュニティで今新しく取り組まれていることについて教えてください。

最近は、個人間の応援だけでなく、企業間やコミュニティ間の応援も始めています。
企業やコミュニティを応援したいという気持ちでどれだけの価値で社会に循環していくのかを試してみたいと思っているところです。すでに何社かと関係を持たせて頂いています。

ー佐藤さんが考える「ありのままを応援してもらえる環境」の重要性について教えてください。

ありのままの自分を受け入れ、他者を応援できる環境は第4のインフラだと思っています。

日本は電気ガス水道や食料など物質的にはインフラが整った豊かな国です。しかし、幸福度をデータで見ると低いのが現状。僕たち世代は、物の豊かさから心の豊かさを求める。心の豊かさを目指す上で「人とのつながりはインフラ」と言えるぐらいこれからの時代、重要になるかと思います!

ー最後に、今後のコミュニティの展望をお聞かせください。

これからもコミュニティ運営で大切にしたいことは一人一人の出会いやつながりを楽しむことです。長期的に見て応援し合える輪を日本全国に広げていきたいと考えています。

コミュニティ運営はスピードをかけず、丁寧に育んでいくことが重要だなと1年運営してきて感じました。第4のインフラと大きなことを言いましたが、実現のために逆算してスピードを求めることは絶対にしないと決めています。偶発性と過程を楽しみながら、1人1人との出会いや対話を大切にしていきたいです。

あとはオフラインでリアルに出会える場を日本全国に作ってみたい。日本全国で自分の好きなことややりたいことを話せて、応援し合えるつながりを作っていきたいので拠点作りに取り組みたいです。拠点をを日本全国に作ればインフラという面でも豊かな状態にも繋がるのではと思っています。

ーありがとうございました!佐藤さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:清水真心(Twitter/note
デザイン:高橋りえ(Twitter