未経験営業職へキャリア転換した吉田昭智が語る視野を広げる大切さ

自分のやりたいことを選択した大学時代

ーその後大学へ進学をされたとのこと。大学はどういう基準で選びましたか?

まず学部から選びました。中学時代から関心を寄せていた社会を知る学問を学びたいと思って考えて選んだのが経済学部でした。

大学を選んだ理由としては、勉強する中でも、周りにいる学生さんの発想が多様だったり、最先端の研究をしたりしている大学に行きたいと考えからです。グローバルな視点や今よりも広い視点で物事を見れるようになると思い大学を選びました。

ー大学時代の過ごし方を教えてください。

大学生活はなんでもやってみようという精神で過ごしていました。

起業スクールで自分で会社を作る体験をしたり、サービスを作ったりしていました。スクール内で起業を経験しましたが、スクールが終わってから実際に立ち上げることはしませんでした。

ー起業に関心を持ったのは家庭環境の影響もあったのでしょうか?

少しはあったと思います。でも、私にとって起業はあくまでも手段でありゴールではありませんでした。自分なりの知見で何かをやってみる手段の1つとして自分で立ち上げたイメージです。

親が企業経営をしていたので、起業に関する話を聞く機会はあって。感覚的に起業や経営はこんな感じなのかな、自分にもできるかなといった想いもあったと思います。

ー今の吉田さんに大きな影響を与えたのが大学時代のインターンシップ。当時のエピソードを詳しくお聞かせください。

LEGOLAND Japan株式会社のインターンシップへ行きました。かねてから「自分のような、辛い経験をした子供たちを自分の力で幸せにしたい」と考えていました。今でもこの考えは私が働く中での一貫した想いです。

子供を喜ばせる、人を喜ばせるときもいろいろな角度があります。どんな角度から攻めようかと考えたときに、「テーマパークという少し贅沢なものを、子供たちに提供して楽しい思い出を作ってもらいたい」との思いからテーマパーク業界に興味を持ちました。

生まれ故郷の名古屋で何かできないかと考えていたタイミングで、LEGOLAND Japanが名古屋の港区に立つとの情報を受けました。自分の思い、そして故郷を盛り上げつつ、子供たちを応援できるという3つが合致し、LEGOLAND Japanへのインターンシップを決心しました。

ーインターン当初はどういったポジションで関わっていたのですか?

フォトサービス部門の立ち上げメンバーで入りました。フォトサービス部門とは、家族写真というよりアトラクションで楽しんでいる様子を写真で撮るサービスです。サービス開発として入りました。

フォトサービスは海外ではやっていましたが、日本ではまだやっていなかったサービスでした。

ーまだやったことのないサービスに携わるのはやりがいと同時に苦労もあったかと思います。

当時は考え方が学生で、思いがアバウトすぎたといま振り返ると感じます。「思いはあるけど、どう行動したらいいかわからない」といった場面が多かったです。

あとは、立ち上げたばかりのパークだったので、組織の仕組みがまだ未完成で苦労もありました。正社員の人からの指示を待つのではなく、自ら改善点を提案する働きかけもしていました。

ー大学卒業までインターンを続ける。その後のキャリア選択について教えてください。

卒業後はそのままLEGOLAND Japanに入社しました。キャリア選択における自分の信念として、自分と関わった方々に1%でもいいから幸せになってほしいなと思っています。

今でも自分のような子供たち、そしてその家族に対して少しでも外から何か与えてあげられないかを軸に考えています。

入社後の心境の変化

ー実際入社をされてからの仕事内容や入社してからの心境の変化をぜひ教えてください。

入社してからの仕事としては主に2つ。まず1つ目は、フォトサービスの部分で商品の販売戦略担当というものを行いました。2つ目に、顧客満足度の向上を図るためのCS強化の対策の担当。1つ目の商品販売戦略に関しては、学生時代の何でもやってみたらいいじゃないかという発想が入社をしてからより強くなりました。

2つ目のCSの仕事を通じて、売れるものから売れ続けるものに変えるためには、最終的には良い商品を提供し、良いサービスを提供し、お客様の満足度を高めることこそが最終的なゴールだと気づいた。

今も営業職として大切にしているのが、「どんなに忙しくても、どんなにたくさん業務があっても顧客満足度だけは忘れない」という考え。LEGOLAND Japanに入って良かった点であり、自分が進歩した点です。

ーCS戦略に関しては未経験分野。当時迷いや葛藤もありましたか?

迷いはありました。初めのうちは任せてもらったものの自分にできるんだろうか、未経験なのに立ち上げの大事な時期を担当していいのかとか考えていました。

でもやってみようじゃないかと。もう一度勉強をたくさんして、アウトプットすれば何とかなるだろうという思いもありました。勢いはすごく重要だと思います。

ー社外賞も受賞され会社に対して多くの貢献をしてきた中で、組織を変えることを決断。理由をお聞かせください。

私が転職をする決断をした理由は2つ。1つ目が大きなブランドの下でできることには限りがあると感じたこと。2つ目にコロナの影響を大きく受けた業界だったことから、これからの時代世の中の役に立ちつつ業界としても伸びる分野へチャレンジしたいとの想いからでした。

ブランドは有名にはなりやすい一方で、規制が厳しかったため「自分の力でもっとお客さんと深く接していきたい」と思う機会が増えました。

他にもコロナの影響もありテーマパーク業界、観光業界は右肩下がり。より世の中の役に立ち、かつ業界としても伸びるところで働きたいと考えIT業界、人材業界を選びました。

未経験の人でも入りやすい職場環境を作る

ー「営業力の属人化」を解決するために、前職の経験や知識を活かしているとのこと。営業力の属人化とはどういった課題でしょうか?

私の入社当時は新人教育や指導体制が整っていませんでした。LEGOLAND Japanの立ち上げと同様に自分でやってみて、自分で失敗をし、自分でインプットし、アウトプットする。周りに経験やノウハウをシェアする機会が少ないことに課題を感じていました。

教育体制が不足している理由をいろいろな方のお話を聞いて見たところ、「営業スキルは勘で培っていくもの」「やっていけばいつかわかる」という声が多かったんです。

経験や勘、コツをつかむのは一朝一夕でできる話ではない。経験値に頼る教育では未経験の人が入りにくい環境になってしまうのでとてももったいないと考えています。

ー新しい業界へチャレンジできるかと悩みを持つ20代の方も多いかと思います。自分だけのものや強みを見つけるために、まずはどんなアクションができるでしょうか?

自分の強みを見つけるためには、「いっぱい経験をし多くの人と出会い、その経験の中から絞ること」が大切だと思います。全部やってみて、やってみた後は選んでも選ばなくてもいいと思うんです。

例えば私は陸上と登山が好きなんですけども、バドミントンは全く興味がない。でも実は興味がないというよりも、知らないだけのことが多いと思います。もし私がバドミントンを真剣にやった経験があれば、もしかすると今の趣味はバドミントンかもしれないですよね。

いろんなものにまずたくさん出会って、そして知ってみてほしいです。そしてその中で、自分で好きなものをピックアップして取捨選択をしてみるといいと考えています。

ー吉田さんにとってキャリアを築く上で大切にしてほしいことを教えてください。

キャリアを築く上で大切にしてほしいことは3つあります。まず1つ目は自分の可能性や思いに蓋をしない。2つ目はつらいときやなかなかうまくいかないときでも、答えは絶対どこかにあるので答えを探し続けること。3つ目は物事に好奇心を持つ分野を1つだけでもいいので見つけることだと考えています。

ー最後に吉田さんがこれから目指したいことや目標を教えていただけると嬉しいです。

自分のキャリアとしての最終的な目標は「人事に強い経営コンサルタントになること」です。理由としては、学生の頃に目指した企業経営とか、今の仕事もそうなんですけど、組織がうまく回ったり、良いサービスを生むためには、人のマネジメントというのは必ず欠かせないと考えていて。

私のような複雑な環境で育った方でも、正しいマネジメントを受ければ可能性はいくらでも膨らむものです。そういったマネジメント分野を理解し会社やサービス、従業員を後押しできる経営コンサルタントを目指します。

ーありがとうございました!吉田さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:大庭 周(Facebook/note/Twitter
執筆:清水真心(Twitter/note
デザイン:高橋りえ(Twitter