社会課題をエンターテインメントで解決!一般社団法人UMF代表 高村 治輝が見据える夢

「10億円会議」で合格。一般社団法人UMFを設立する

ーもやもやする中で、どのように行動していたのでしょうか。

ちょうど選挙イヤーがやってきたので、主催イベントにて実験的な取り組みを実行しました。

ーどのような取り組みですか?

選挙の低投票率にアプローチを行う「#vote_forプロジェクト」を発足し、選挙の投票を行うと野外音楽フェスをはじめ、全国の150を超える提携店舗でもモノやサービスが割引・無料になる仕組みを作りました。

何か社会的に良い行いをした人たちに対しては、フェスやトークショーなど、その人たちが求めているものを提供すると、真面目にやった人たちが報われるなと思ったのです。

ただ、ライブに来てくれた方に投票を促すのではなく、投票をしてもらってからライブに行かせるとなると、ぐっと難易度が上がって。スポンサー営業や運営計画もしづらいという点が、まさにこの2〜3年悩んでいるところでもあります。

ー現在も取り組みを続けられているのですね。

実は、abemaTVの「10億円会議」というピッチ番組で取り組みを取り上げていただき、そこで想いを伝えたところ、約2,500万円の助成金をいただいたのです。

そのおかげで、エンターテインメント手法を用いて社会課題にアプローチを行う一般社団法人UMFを設立できましたし、この2年間はそのお金を使って積極的に取り組みを行っています。

ー政治をテーマにしているのはなぜですか?

理由は2つあります。1つは、政治にはどの社会課題にも通ずる部分があるからです。もう1つは、企画者としては政治とエンターテインメントという正反対のコンテンツはとても作りやすいからです。

ー政治にはどの社会課題にも通ずる部分があるとは、具体的にどういうことでしょうか。

選挙のたびにアンケートをとってみると、約7割の人は選挙に行こうと思っていると回答するのですが、実際に行くのは約3割程度。

これがどういうことかというと、選挙へ行くことの優先順位がどんどん下がっているということです。優先順位が下がるのは重要な課題だと思いますし、いろんな社会課題に当てはまると思っていて。

たとえば防災も、事前に避難ルートも確認しておけば万が一のときにスムーズに動けるのに、優先順位が低いのでみんなしないですよね。どうやって優先順位を上げるかというと、相手が興味あるものを提示するのがベストだと思っているので、実践しています。

企画者として理想を捨てず、 “楽しい仕掛け” を作っていく

ーエンターテインメントがもっている力を活かした取り組みを行ううえで、大変なことはありますか?

炎上目的でやりすぎてはいけないですが、ある程度目をひくコンテンツを作る必要があるので、バランス感覚はすごく大事だなと思っています。

楽しい輪を広げていくのが正解だという気持ちが揺るぐことはないので、楽しみ方がわかりやすく伝わっていくように努力し続けなければいけないなと日々感じています。

ーどうせやるなら楽しいほうが良いですよね。

そうですね。私たちが政治の問題に対して直接的に何かをできるわけではなくて、じゃあ何ができるかというと、選挙というイベントを楽しくして、「また行きたい。もっと知りたい」と思ってもらえる仕掛けを作っていくことだけだと思っています。

実際に、政治のハッシュタグをつけて投稿するような流れも少しずつでてきていて。悲しみや怒りではなく、楽しさや希望を感じられる発信が広がっている様子は、まさしく以前音楽フェスでみたような受け入れ合う状態。その状態をエンターテインメントを通して作れているというのは、モチベーションにつながりますね。

ーやりたいものを作るコツはありますか?

好きなものはすべて横並びにして良いと思っています。みんな好きを順位づけしたがりますが、1番を明確にすると2番以降の優先順位が下がってしまうかもしれないですよね。寝るのも、読書も、ラーメンも、フェスも好きだったら、すべて並べて好きでいい。

同じ「好き」という基準から、今やりたいことを選んでチャレンジしてみたら、新たな好きが出てくるかもしれないし、嫌いな部分も出てくるかもしれないですが、悩んでいる人は好きという気持ちを大事にしてぜひ挑戦してほしいです。

ー好きが見つかってからはどのように動いたほうが良いでしょうか?

私が「1,000人集めてフェスをします!」と公言したように、とりあえずやりたいことを周りに言えば、それを面白がってくれる人たちはこの世の中に絶対います。

周りの人は自分のことを予想以上にわかっていないので、どんどん発信していくのはとても大事です。また、私が「#政を祭に」というスローガンを掲げているように、磨いていけば自分のキャッチコピーにもなります。

ー最後に、高村さんの展望についてお聞かせください。

苦しいこと9割で楽しいこと1割な世の中で、その割合を真逆にするのが理想です。理想を捨てた瞬間に大人になってしまうと思うので、理想は捨てずに追い続けていきます。

ー発信してみんなで分かち合うのは大事ですよね。本日はありがとうございました。高村さんの今後のご活躍、応援しています!

取材:とも(Twitter
執筆:もりはる(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter