様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第590回目となる今回は、営業フリーランス・佐藤匠(さとうたくみ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
現在営業フリーランスとして活躍されている佐藤さん。佐藤さん自身の経験をもとにした自分の強みの見つけ方を語っていただきました。
屈辱的な経験から一転。強みを見つければ才能が開花することに気づく
ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
佐藤匠と申します。営業フリーランスとして、企業の営業代行や営業のお手伝いをさせていただいてます。
ー営業フリーランスは具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?
いくつかパターンがありますが、1番わかりやすいところで言うと、正社員のような形で組織の中に入って、営業の企画からインサイドセールス、フィールドセールスなど、まんべんなく対応するものがあります。
他にも新規顧客の開拓や商談のみを請け負うなど、部分的な業務を発注いただくものもあります。
ー営業をされる方は会社勤めの方が多い印象ですが、佐藤さんはなぜフリーランスの道を選ばれたのでしょうか?
成果を自由にコントロールできる点と、商談に縛られたくない思いから営業フリーランスを選びました。
売る力があれば商品が固定されていなくても販売することができます。会社員として決まったものしか販売ができないと、市場が変わったときに売れなくなってしまいます。フリーランスとして自分が好きなものを選んで売れるほうが、営業マンとしては成果を出しやすいのです。
ー佐藤さんのこれまでについて教えてください。学生時代は何をされていましたか?
小学校、中学校と野球をやっていましたが、体が小さく足も速くなかったため、万年ベンチでした。中学校3年生になって後輩に抜かれてベンチにいたときは本当に屈辱的でしたね。
高校に入って何かで活躍したいと思い、マット運動なら体が小さいから小回りが効くだろうと思って新体操を始めたら、3年間で全国ベスト16までいきました。
中学生のときは自分は活躍できないと思い、毎日が大変でしたが、高校生で別の競技をして才能が開花したので、気持ちよかったですね(笑)。
ー大学生のときはエンジニアを目指されたとのことですが、なにかエピソードがあるのですよね。
大学では文系学部に入り、地域政策や地域経済のさまざまな課題について学びました。貧困問題や、女性の活躍できる社会などを考える中で、スキルがないと解決できない課題に直面しました。
当時いろいろなITサービスを使っていたので、ITの波を予測し、課題解決のスキルと世の中の流れの2つの観点からエンジニアを目指しました。
挫折の経験から活路を見いだす。営業の才能が開花した学生時代
ーエンジニアになるためのプログラミングはどのように勉強されたのでしょうか?
最近はプログラミングのスクールが増えてきましたが、当時はそのようなサービスがなかったので、私はエンジニアインターンを選びました。実際にサービスを運営している企業に未経験から入り、実践を通して学んでいきました。
ー未経験からいきなり入るのは大変ではなかったでしょうか?
実践的な場面にいたほうが習得が早いと思ったので、覚悟はしていましたが大変でしたね。
未経験から約3ヶ月間ほど働かせていただきましたが、当時は1日に最低10時間、長いときは15時間、深夜になっても永遠にプログラミングをしていました。新しい勉強だったこともあり、受験勉強よりもコミットしたのではないかと思います(笑)。
ー結果的にエンジニアは諦めたそうですが、どうしてでしょうか?
エンジニアの仕事が全く向いていなかったからです。プログラムは論理的に組まなくてはいけないので少しのミスが致命的になってしまいます。エラーが起きるとミスしたところを探すのですが、その作業が非常に苦手で、どうにもならない状態でした。
ある日の朝スターバックスに呼び出されて「本当に悪いんだけど、もう雇えないから」と言われて。大学1年生の初めてのインターンシップでクビになりました。本当にショックで僕が泣いていたら、社長も一緒に泣いてくれました。この挫折は思い出すだけでもキツイ思い出ですね。
ーそこからどのようにして乗り越えられたのでしょうか?
3ヵ月間投資した時間を無駄にはしたくなかったので、文系学生に対してプログラミングを広める活動をしていきました。自分はプログラミングは向いていませんでしたが、自分が教えた人ができるようになれば、この3ヵ月は無駄にはならないと思いました。
そのときにつくった学生団体の活動が、自身の現在のキャリアに結びついていくことになったのです。
ー具体的にどのような経験をされたのでしょうか?
学生団体の勧誘です。学生団体に加入してもらうために、学生に声をかけると毎回30人ほど来てくれていたので、自分は勧誘が上手だと気づいたのが原体験ですね。「これは営業いけるな」と思いました(笑)。
学生団体が大きくなったタイミングで、学生団体ナンバーワンを決める大会に出場しました。プレゼンをする機会や、チームマネジメントをする機会が多く、その大会で優勝したことでより営業に向いていることを確信しました。
ー自分に向いているものがわからない人は、どうすれば強みや向いているものを見つけられるのでしょうか?
自分が向いてそうだなとか、やってみたいなと思ったことに対して、全力投資をしてみる。とりあえずやってみることです。本当に向いているものは、やり始めて1週間ぐらいすると、向いていることがわかってくるので。あまりがんばらなくてもがんばれるのですよ。
おいしくないものって、がんばって食べますけど、おいしいものって勝手に手が伸びて食べてるじゃないですか。その感覚に近いですね。
部活の話も、エンジニアの挫折から学生団体につながった話も、基本的には大きな仮説を立てて、強みに気付いて、次に活かしました。全力で投資をするとそれ自体が向いてるかもわかりますし、自分にできないことが何なのかもわかります。
次はその情報をもとに、さらに自分が向いているものに投資をしていくと良いと思います。
ー自分の強みを知った状態で卒業したと思いますが、どのような会社に勤められたのでしょうか?
学生団体の活動を通じて、自分は間違いなく営業ができると思っていたので、ソフトバンクグループ系の上場企業に入ってITの法人営業をやらせていただきました。
その会社で年間を通して、一番活躍した営業に与えられる営業トップ賞と、年間新人賞を受賞したので、やっぱり営業は得意だったのだなと思いました。
他の誰にも負けないスキルを武器に営業フリーランスの道へ
ー現在は営業フリーランスとのことですが、どのタイミングで独立しようと思ったのでしょうか?
独立に関しては入社前からずっと考えていました。社会人経験を積んで、社会の仕組みを知っておきたいことと、しっかりとしたスキルとして営業職を確立したかったことから会社に入りました。
ちょうど2年目ぐらいで会社の中で営業として社内TOPの実績が出ていて、他の商材でも売っていけそうだと確信した段階で独立をしようと思いました。
ー独立するときに迷いや不安はありましたか?
迷いはありました。サラリーマンって最低限報酬はもらえるので安定があるじゃないですか。転職のオファーがよく来ていたので、別の会社に転職しようか迷ったのですが、転職をしたら転職をし続けてしまうと思ったので、意識を独立に戻して突き進みました。
ー実際に独立してみていかがでしたか?
大正解でした。今月で半年ぐらいになるのですが、劇的に働き方やライフスタイルが変わりましたし、収入も数倍上がりました。通常の5倍のスピードで物事や、自分の変化を感じるようになりましたね。大きな責任を会社から自分に移したことは、非常に良かったと思っています。
ーフリーランスとして独立する道を、どんな人にお勧めしたいですか。
正直あまりオススメはできません。世の中でフリーランスって、たくさん稼げて、週休もたくさんあって自由ですよと言われると思うのですが、全然そんなことはありません。
自分のフリーランス仲間は、もともと実力がある人や、サラリーマンでも最速で出世しそうな人しか活躍できていません。結局、働き方だけ変わってしまったり、給与体系だけ変わってしまったりすることもあります。
自分の中で「これなら誰にも負けない」というスキルがついてから独立したほうが健康的な生活は送れると思います。スキルがしっかりと身についた方は、ぜひ会社の中だけでなくて飛び出していただいて、色んな会社で活躍していただきたいと思っています。
ー同世代の方へメッセージをお願いいたします。
私自身も20代を振り返って今でこそ平然としてますけども、エンジニアを挫折したときは本当に辛い思いをしましたし、営業としても最初からすぐに成果が出たわけではありませんでした。
辛い日々や、経験を恐れないでほしいなと思っていますし、そういうシンボルに自分がなっていければなと思うので「とにかく恐れずにやれ」と言いたいですね。なんとかなる精神を持っておけばなんとかなるので、どんどんチャレンジをして、たくさん失敗をして、自分の強みを見つけていただければと思います。
20代って人生という大きな枠で見るとまだ小学校1、2年生ぐらいだと思うのです。失敗を何回しても30代から巻き返すのは全然余裕だと思うので、あまり重く考えず、20代はやりたいことや興味のあることに力を入れてください。
ー佐藤さんのこれからの展望をお聞かせください。
最終的には自分の財閥を作ろうと思っています。いわゆるグローバルにやっていて、かつコングロマリットに複数の事業母体を経営しているホールディングス会社ですね。そういう組織体系を築きたいなと思っています。
財閥にする理由は、人生のひとつの指針として、自分が想像し得ないような、はるかに難しいところに目標を設定しようと思っているからです。
財閥は自分が今の段階で想像し得ないほど巨大で力のある経営業態だと思っているので、そこを目指していけば、仮に財閥を作れなかったとしても別の選択肢が増えて、後悔はしないだろうと思っています。
3月に営業フリーランスを卒業しまして、営業支援の会社を創業いたします。主にSaaS、スタートアップをメインとしまして、営業の0→1立ち上げ、仕組み化からハンズオンでの代行事業も行っていきます。営業にお困りの方はぜひご相談くださいませ!
ーありがとうございました!佐藤さんの財閥を見れる日が来ることを楽しみにしています!佐藤さんの今後のご活躍を応援しております!
取材:武海夢(Facebook)
執筆:松村彪吾(Twitter)
編集:本庄遥(Twitter)
デザイン:安田遥(Twitter)