部活動コミュニティで生きづらさを経験した中学時代
ー中学での体験を教えてください。
バスケ部に入りましたが、小学校の頃からミニバスをやっていたり、スキルのある人たちがいて、最初はなかなか試合に出られませんでした。部活はこうあるべきみたいなルールもあって、それから逸脱した行動を取るのは良くないという雰囲気もありましたね。
みんな後輩になめられないようにいつもと違う自分で強く当たって、私もそれに影響されてしまいました。ギスギスした空気感があって、中学2年生の時、自分を確立できなくなったほどです。
違うところで輝けるポイントを見つけなければいけないと思っていました。
ーそれから変化はあったのですか?
比較するポイントを2つ変えました。
1つめは、他人を気にしない。
スキル面は、他人と比較すると刺激を受けることもあると思うのですが、そこで戦っていても劣等感が増えるだけだと思ったので、自分との勝負にポイントを変えました。
例えば、昨日は3ポイントシュートが10本中3本入ってたのが今日は4本入るようになったとか。
2つめは、比べようのないことで勝負しない。
スキルがある人、勉強はあまりできない人。人にはそれぞれ得意不得意があります。自分がうまく表現できるところでは勝負をして、他と比較をしようもないところでは勝負はしないと思い始めたら、心が少し楽になりました。
だんだんと自分をうまく表現できるようになって、周囲とのギスギスした空気感もなくなっていったと感じます。少し違ったアプローチでコミュニティに所属して、自分の存在価値を自身で認められたからだと思います。
自分が今まで我慢してきた感情のブレーキは取っ払われて、気持ちよく部活動に専念できるようになっていきました。
ーその考え方は社会人になってから、今も大事にされているのですか?
はい。自分の得意なところなら努力の余地がありますが、苦手なところだとスキルアップは難しいと思います。得意な部分に注力するというのは、今の生活や仕事している中でも意識して行っているところです。
ー得意なことはどのように見つけてきたのですか?
いろいろな経験の中から見つけてきました。
仕事で、実力がないのにいきなり立場が上がることがありました。私は誰かを引っ張っていくよりも、みんなの状況や進み具合を見ながら、困っている人に寄り添って一緒に肩を組んで進んでいくのが得意です。
大学時代、オーストラリア短期留学が人生のターニングポイント
ー大学はどのような考えで進学しましたか?
私は、旅が好きなので観光や旅行の領域を学べるコースがある大学を選んでいます。
ーオーストラリアでの短期留学について教えてください。
人生で初めて、一ヵ月間の長期で海外に行きました。ホストファミリーは30歳ほどのアクティブな人で、朝5時にジムへ行き、16時まで仕事。17時からは趣味の時間にあてる生活をしていました。
働き方にゆとりがあって心に余裕のある暮らしは心地がいいと感じました。私の親は1日のほとんどの時間を仕事に費やします。
オーストラリアの人たちは、仕事の時間が3割、家族や友達との時間が3割、残りの時間は自分の調子を整えるためにあてる。趣味をみんな持っているのがおもしろいと思いました。
ー帰国後、自身に変化がありましたか?
いろいろな人の暮らしや働き方、物の考え方に触れることは大事だと感じました。自分の中で思っていてもわからないことばかりで、実際に現地に行って体感するために暇があれば海外に行き始めましたね。
人の優しさに触れた車中泊旅
ー車中泊について教えていただけますか?
21歳の時に車中泊に出会いました。車中泊は便利で、いきなり車に入った瞬間チェックインなんです(笑)
飛行機や電車は時間や行ける場所が決まっていますが、車はそれらから解放されて、いつでもどこでも自分の行きたいように行けるのが魅力です。仲間3人と車中泊で日本全国を回り、たき火を囲んで話すのを毎週のようにやっていました。
ー車中泊以外ではどのような旅をしたのですか?
自転車で大阪から東京に行ったり、ヨーロッパ周遊をしたりしました。
ハワイにも行きました。ハワイはアメリカの州の中でもホームレスの人が多いのですが、楽しそうに暮らしているのが興味深かったです。
それを見てホームレスの人の暮らしはどのようなものかと、1週間野宿で生活をするチャレンジをしました。
ーそのチャレンジの中で印象的な出会いはありましたか?
駐車場の屋根で寝ていたらホームレスの人が話しかけてきてくれて「このエリアの方があったかいよ」と教えてくれたり、仲間3人で歩いてたら「家の所有地でキャンプしてもいいよ」と言ってくれたり。
見ず知らずの私たちに手を差し伸べてくれるということが何回かありました。その瞬間に、人間はみんなどこか優しい心を持っているので世界中どこに行っても助けてくれるし、なんとか生きていけると思いました。
助けてほしいことを言い出しにくいという人は多いと思いますが、そのハードルは前より低くなりましたね。