人命から人生救助へ!Lien coo・野上陸の地方創生にかけたビジョンとは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第609回目となる今回のゲストは、野上 陸(のがみりく)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

株式会社Lienを立ち上げ、地方が抱える課題にITを駆使して取り組む野上さん。「人命より人生救助の選択をしました」と話す彼は、いったいどのような人生を歩まれてきたのでしょうか。前職・消防士の経験談から今後の地方創生へのビジョンまで幅広くお話を伺ってきました。

ITスキルを駆使して、地方に貢献したい

ーまずはじめに、自己紹介をお願いします。

マーケティング支援事業を展開している株式会社Lien cooの野上 陸と申します。起業のコンセプト作りや市場分析を行ない、企業の上流工程をサポートすることが主なサービス内容です。

クライアント様の多くは「自社のサービスを展開していきたいけれど、その方法が分からない」と困っている地方企業の方々。ホームページや映像作成など、今の時代に合わせた媒体で会社発信をしていく。お客様にとって、新たな世界へ踏み出すお手伝いを心がけています。

ー地方創生に近いサービスを展開されているのですね。野上さんもどこか地方へお住まいですか?

現在は東京を拠点に活動していますが、案件に合わせて地方へ赴くことも。社員も国内外問わずさまざまな場所で暮らしていて、ノマドワーキングの働き方を大切にしています。

「IT関連なら東京で働かないの?」とよく聞かれますが、わたしはあえて地方で働く選択をとっています。都内だとスピード性や競争力が求められますが、本当に大事なことは地方で困っているお客様の声を直接聞くこと。なにかあったら駆けつけられるように地方分散型を採用しています。

ー働くスタイルまで「お客様優先」の想いが伝わってきます。

そうですね。より困っている地方企業を助けたいと、自身で日本1周を経験しました。わたしは生まれも育ちも青森県青森市出身で、地元以外は知りませんでした。「地方企業を助けたいのに、日本各地の実態を知らない自分」を痛感し、自分の目で確かめようと全国へ

ー昨今だとコロナ禍で、移動をすることも難しかったと思います。実際に赴いたなかで、野上さん自身どのような変化がありましたか?

地元の漁師や農家さんと一緒に働かせていただき、彼らの並ならぬ地元への愛情を感じました。同時に、日本中へ我々の産物を発信していきたいという思いも強く感じたのです。

彼らが抱える課題を解決したい」。その想いから企業向けのデザイン・マーケティング戦略を強みとした「サブスクリプション型ホームページ制作のサービス」をリリースいたしました。

憧れの消防士として働くが、新たな取り組みに挑む

ー地方創生に熱い想いを持っていらっしゃる野上さん。幼少期からそういった想いがあったのですか?

幼いころは消防士になることが夢でした。「め組の大吾」を知っていますか?その漫画に描かれている主人公が消防士で、とにかくかっこよくて……。高校を卒業したら消防士になろうと決めていましたね。

結局、わたしより先に兄が消防士になり、後を追うのもかっこ悪いなと感じてしまったため、高校卒業後は国家公務員として働き始めました。およそ1年弱、法務省で勤務しましたが幼いころからの夢を捨てきれず、再び消防士を目指すことに。見事試験に合格し、地元青森の消防署へ配属されました。

ー念願の夢が叶ったのですね!実際に消防士として働いて、いかがでしたか?

「地元を守る」と使命感を抱き日々業務に取り組むことは、充実感がありましたね。憧れの職業として働きましたが、同時にギャップを感じていました。

訓練に励む一方で怠けている消防団員も見受けられ、実際の現場で足を引っ張っている人もいました。一緒に頑張ろうと提案をしても耳を傾けてもらえず、署内への憤りが湧いてきましたね。

ー正義感が強い野上さんだからこそ、そのギャップが大きく感じます。

そうですね。どんどんその憤りも大きくなり、署内で解決できないのならば外部から変えていこうと思い立ったのです。そこで取り組んだことが、消防士のオンラインスクール。最初は消防士としてのモチベーションを維持するために、消防についての発信や現役消防士との交流からスタートしました。

交流を通じてある学生と出会ったことが、大きな転機でした。その学生は「消防士になりたいのですが、試験に合格するためにどうすればいいでしょうか?」と質問をしてきて、かつて消防士に憧れを抱き、挑戦した自分が蘇ってきたのです。本気で消防士になりたい人へ、サービスとして展開していこうと本格的にビジネス化していきました。

ー消防士のオンラインスクールは初耳です!その後のサービスは順調だったのでしょうか?

おかげさまで生徒数も2,000人まで増え、学生を中心にニーズは高まりました。このサービスを、いつでも・どこでも受講できるように映像コンテンツとして配信。現在のLienのサービスも、このころの経験がきっかけとなっています。

日本全国の人命から人生救助へ

ー消防士の経験を活かして、映像コンテンツに着手したのですね。その後、起業に至るまでの経緯を教えてください!

オンラインスクールを続けていくうちに、生徒が消防士試験に合格した話や、初めて人命救助ができたと報告が入るようになりました。わたしがだれかの人生を助けたら、またその人が別の人を救ってくれる。ではいろいろな人の人生を変えることへ舵を切ったほうがいいのではないかと思い、起業を一念発起しました。

ー消防士から現在のIT業界へ。まったく別世界への挑戦に怖さやハードルを感じませんでしたか?

映像コンテンツに関するノウハウをSNSで発信し続けたあとに、サービスに興味を持ち始め一緒に頑張りたいと言ってくれるメンバーができました。当初、起業をすることはわたしにとって大きな挑戦ではありましたが、いざ一歩踏み出してみて同じ道を目指す仲間に出会えたことは、大きな背中押しになりましたね。

消防士は、3年働いてから退職をしました。辞めたあと、最初はWebや動画制作も下請けの作業が中心でした。「目の前の仕事より本当に自分がやりたいことはなんだろう」と考えた結果、冒頭でお伝えした日本1周にチャレンジすることに。2021年7月から、およそ3ヶ月にわたり各地方を巡ったおかげで、Lienの「お客様ファースト」の寄り添ったサービスを届けることができました。

ーこれまでの野上さんの経験が現在につながっているのですね。最後に、今後の展望を教えてください!

現在のサービスを継続していく一方で、地方起業のピッチ大会を開催したいです。全国各地で「こんなことをやりたい 」という人を募り、大会優勝者には起業するための投資を考えています。

地方創生は今話題となっているので、今後チャレンジしていく人が増えていくでしょう。地方で起業し、会社を運営。ゆくゆくは人々の雇用につながる。地方の課題に向き合い、彼らが新たな世界へ踏み出すサポートに全力を尽くします!

ー今後の活動を応援しています!ありがとうございました。

取材:あおきくみこ(Twitter / note
執筆:田中のどか(Twitter / note
デザイン:高橋りえ(Twitter