令和の転職は、シナリオを自由に選ぶ時代。 ScenarioCEO・横山俊

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第509回目となる今回は、Scenario株式会社代表取締役・横山俊さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

つらい幼少期や社会人生活を背景に、仕事と幸福について独自の理念を持つ横山さん。ロールモデルを活用した転職サービス開発に至るまでの経緯や、一人ひとりが「安心して自分らしさを追いもとめられる世の中」について語っていただきました。

家庭に悩んだ幼少時代。仕事でストレスを溜める父を見て考えた「仕事と幸福」

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

Scenario株式会社で代表取締役を務めております、横山俊と申します。

2021年の2月に前職を退職し、現在は”キャリアのロールモデル”を通して理想のキャリアを見つける転職サービス「Liferary」を提供しております。

ーそんな横山さんはどんな学生時代を過ごされましたか?

両親と姉の4人家族に、長男として生まれました。両親が若かったため経済的に苦しく、一家4人で四畳半に住みながら、お風呂は祖母の家まで借りに通っていたそうです。今思えば親は相当大変だっただろうなと思います。

父はいつも仕事でストレスを溜めていました。家でも仕事の愚痴が多く、時にはストレスが家族に向かうこともあり、険悪な雰囲気になることが多い家庭でした。

本来の僕は人を笑わせるのが好きな明るい性格でしたが、成長するにつれて、当たり障りないように、波風を立てないようにとばかり考える子供になっていました。暗いスタートに聞こえると思いますが、この幼少期の記憶は今でも強烈に残っていて、のちの人生に大きく影響していると思います。

思春期に入ると色々と悩むようになり、自分と対話する時間が増えました。「自分は生まれない方がよかったのか」「何のために生まれたのか」など、中学生なりに真剣に考えていました。今思えば変わった子供だったなと思います(笑)。

野球とダンスが教えてくれた「自分」と「個性」。顔色を伺って生きてきた子供が意思決定の力を身につけるまで

ー自分を抑えて生きていた横山さんを変えた出来事を教えてください。

人の顔色を気にしてばかりだった自分が高校生になり、初めて自分の意志で打ち込んだのが、高校野球でした。3年間、ひたすら野球をやっていました。

小学生から野球をしていて、当時は親に「やらされていた」のですが、高校の野球部のコーチが非常に厳しい方で、朝練から居残りまでとことん絞られてたんです。そのうち、「ストイックな自分、結構好きだな」と思うようになり、コーチの指導に対しても「ここまで来たら、とことんやってやるよ!」と火が点いたんですよね。

まさに吹っ切れた、という感じで。人生で初めて「本気で頑張ろう」と思えました。何より、自分で何かを選択したということがプレミアムでした。

ー大学ではどのような活動をしていましたか?

大学で最も力を入れたのは、ストリートダンスです。大学でも野球と同じくらい打ち込めるものを探したいと考え、子供の頃から好きだった音楽にまつわるものとしてダンスを選びました。

大学在学中はダンスの楽しさにのめり込み、とにかく踊っていました。ダンスを通して、小学生の頃に失った「個性を表現し、人に認められ、嬉しいと感じる」という感覚に、時を超えて再び蓋が空いた感覚でした。

ダンスは、体中を自由に使って踊るため、いわば「無限大に個性を表現できるスポーツ」です。練習で身につけたスキル力と自分の個性が合わさって、ありのままの自分が自然に放出される快感が、僕にとっては最高の体験でした。

タイムリミットは5年。起業という「ゴール」を明確に持って挑んだ就活と、苦難の末に掴んだ理念

ー就活では入りたい企業のイメージはありましたか?また、就活にどのように向き合いましたか?

高校野球の引退試合後にコーチに言われた「高校野球は人生のピークじゃない。ぜひ、高校野球を超える何かを見つけて生きていってほしい」という言葉を覚えていて、自分は何をしたいのか真剣に考えました。野球やダンス以上に情熱を注げるものを社会人でも続けていきたい。あれこれ考えた結果、「起業してみたい」と思いました。

ただ、ダンスばかりだった自分がいきなり起業はできない。そこで「力がつきそうな会社で5年間学んだ後に起業をしよう」と思いました。成長ができる環境として選んだのが、コンサルティング会社のアクセンチュアでした。戦略コンサルティング部門で働き、4年で卒業し起業しました。

ー就職をしてから起業までのエピソードを教えてください。

最初から「起業は入社から5年」とタイムリミットを設けていたので、面接の際にも「5年で辞めて起業します!」と笑顔で言った記憶があります。結果的に採用をしていただきましたが、面接官の方は「ヤバい学生だ」と思ったのではないでしょうか(笑)。

その後内定を頂き、これから頑張ろうと思った矢先、家庭の衝突で実家を追い出され、そこから一人暮らしが決まるまでは、キャリーケースひとつで友人の家を転々としていました(笑)。

入社後も急な一人暮らし、崩れる貯金、慣れない社会人生活、そして1年目からのハードワーク。心身への負担がたたり体調を崩しがちで、つらい時期でした。

苦しみから逃れたい一心で転職しようかとも思いましたが「ここで転職したらわざわざコンサルにきた意味が無い」と内省し、「最低限、この会社で学ぶまでは逃げずに頑張ろう」と思えたところから、気持ちが前向きになれて。この時期から「じゃあ改めていつ起業するのか」と前向きに計画を立てて過ごすことができるようになりました。

そこからの社会人生活は計画通りで、3年目までに昇進、昇進後から起業アイデアを仕込み、4年目で起業とトントン拍子でした。かつて思春期には「自分との対話」を通して苦しむこともありましたが、気付けば「内省する力」になっていた気がします。

Lifraryがサポートする「みんな違ってみんないい」の実現。承認の時代の中で生まれた、新しい転職のカタチ

ー現在の事業についてお聞かせください。

Liferaryという若者向けの転職サービスを展開しています。

今までの転職サイトは、条件を入力してリストアップされた求人に応募するのが一般的でした。しかしLiferaryでは、自分のこれまでの経歴や今後やりたいことを検索条件にして、自分と経歴や価値観が似ていた転職経験者=ロールモデルを検索することができます。

新卒で入社した会社に数年勤め、「自分はこのままでいいのだろうか。もっとキャリアを作れる会社がいい。成長・やりがいを実感しながら働きたい。」という想いを持つ方も多いと思います。

ただ今までは、漠然としたイメージで求人検索したり、エージェントに頼り切るしかなかった。そうではなく、自分と同じ境遇にいるロールモデルの「意思決定」を参考にしながら、自分が選ぶべきキャリアの方向性をより具体的に、身近に、確実に描くことができるのが、Liferary独自の価値です。

ーLiferaryのアイデアは昔からありましたか?

仕事に疲れていた父の姿や、当時の家庭環境を重ねて「人と仕事がどう向き合うべきか」は日頃から思考のテーマで。家庭の時間も含め「人はどのように生きれば幸せになれるのか」は、僕にとってとても大切なテーマでした。

だからこそHR(人的資源)の領域で展開することは早々に決まっていて。その中で、誰かのキャリアを変えるサービスを届けたいと考えた時に、最も良いと思えたのが「転職」の領域でした。

ー中途採用から、ロールモデルというアプローチにきた理由は何ですか?

昔は「いい大学に入り、いい会社に入り昇進する」のが画一的な正解だったかもしれませんが、今の時代はより複雑で、様々な選択肢が広がっています。そして「これが正解」というものは無くなり、自分にとっての「良い」を見つけ、それを実行できる大人がかっこいい、という世の中になっていくと思います。

極端なことを言えば、社長でも、社員でも、インスタグラマーでも、eゲーマーでも、同じようにかっこいい。みんな違ってみんないい。人それぞれ「見つけるべきものが違う」中で、「自分がやりたいことって何だろう。どうすればその正解に近づけるのだろう。」

そう悩む人たちが、「少しでも自分に似ている人からヒントを貰えたら素敵だよね」という発想に行きつき、ロールモデルの活用を採用しました。

ロールモデルは、踏み出したい世界へのヒントをくれます。先人に背中を押されれば、自分がやりたかったことに安心して挑戦できるようになるでしょう。

人間の数だけ「なりたい自分」はあります。各々が「僕/私にとっての理想像」に歩み出すためのサポートとして、Liferaryを着想しました。

不安を払拭するためには「やってみる」。トライをし続ける人にこそ、運は味方してくれる

ー就職後に計画的に退職し、起業した横山さん。起業計画の段階で不安はありましたか?

不安は山ほどありました。むしろ、不安しか無かったです。ただ、この不安を打破できる方法が僕なりにあって、それはどんなに小さなことからでもいいから、「やってみる」ことです。これしかないですね。

踏み出す前が、一番怖くて不安です。でも、分からない、と言っているままでは、一生分からない。でも、とりあえずやり始めると失敗も含めて「あっ、こんなもんか」と分かる。そうすると、「次はあれをやってみよう」と繋がっていく。それを続けていたら遠くまで来ている、という感じです。

不安は、行動の連続の中で「気付けばなくなっているもの」だと痛感しています。

大体の事は、実際にやってみたら大したことありません。大丈夫です。できることを増やしながら新しい自分を引っ張り上げていきましょう。

また、初めから「自分はこれになる」なんて明確に決めていなくてもいいと思うんです。漠然とでいいから「これが好きだ」「こういうことをやってみたい」という意識を、方角として確認することが大切。

そして、その方角に対する小さな一歩として「まず人に聞いてみる」、そしていいなと思ったら踏み出してみる。これが、幸福のための最適なアプローチなんじゃないかな、と思っています。Liferaryの裏側には、そんな思いも込められてます。

ー今後の横山さん自身の将来や、サービスの展望についてお聞かせください。

現在は、僕と同じような「これからキャリアを作っていく20代」の皆さんに喜んでもらえるサービスにしたいと思っていますが、最終的には、仕事探しの価値観そのものをひっくり返したいです。

本来、キャリア設計とは「与えられた選択肢から選ぶこと」ではありません。「自分は何がしたいんだろう」という気持ちから探し当てていくものだと考えています。この価値観を日本に実装し、当たり前の感覚にしていきたいです。

個人としても、この世界観に向かって走っていくことが目標です。

ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!

「運は実力のうち」という言葉がありますが、僕はこの言葉は正しいと思っています。

運とは、偶然舞い込むものではなく「動き続けた人間に、必然と転がり込むもの」です。”運”と呼びたくなるレベルのラッキーは低確率でしか起きないので、こちらが行動量を増やすしかありません。とにかく「やってみる」が何より大切!不安や迷いを抱えている人こそ、まずやってみましょう!

ーありがとうございました!横山さんの今後のご活躍を応援しております!

今回のゲスト・横山さんが提供するキャリア探索型転職サービス「Liferary」の詳細はこちら。

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:METLOZAPP(Twitter/BLOG
デザイン:高橋りえ(Twitter