「一人ひとり」が輝く世界を「仲間と創る」。Epace代表・佐藤駿介

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第471回目となる今回は、株式会社Epaceで代表取締役を務める佐藤駿介(さとうしゅんすけ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

芸能事務所やライバー育成、路上靴磨きと、まさにユニークな経歴を持つ佐藤さん。仕事における独自の考え方や、フリーランス一人ひとりが輝く未来づくりについて語っていただきました。

経済的理由で芸能の夢を断念。アルバイト以外のマネタイズを決意した大学時代

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

YouTubeやSNSのマーケティング、芸能人の方々や上場企業のYouTube運営などを展開している企業・株式会社Epaceの経営を行っています、佐藤駿介です。

メディアマーケティング以外には、個人・チームを含むフリーランスを抱え、企業様とマッチングさせるBtoBマーケティングを主に行っています。

また、キャリアのパーソナルトレーニング事業を展開しながら、iU(情報経営イノベーション専門職大学)にて客員教員を務めています。

ーそんな佐藤さんはどんな学生時代を過ごされましたか?

学級委員や部活のキャプテンなどをする活発な子供でした。高校時代は文化祭や体育祭なども全力で楽しみ、青春を謳歌していました。

そのまま大学に入学していたらキャンパスライフを楽しんでいたと思いますが、受験に失敗してしまって。1年間浪人生活をする中で精神的に落ちつき、上京後に入学してもサークルにすら入りませんでした。

普通の大学生らしい生活をするよりももっと他のことをしたい気持ちがあったのと、1年間のタイムロスがあるからこそ「第一志望だった大学の人たちよりも、ビジネス面で成功してやるぞ」と思っていました。

今振りかえれば、大学に落ちたからこそさまざまな挑戦をしていたと思います。

ー大学在学中に、どのような経験をしましたか?

大学1年の頃に、スカウトがきっかけで芸能事務所に入りました。稽古やダンス、ボイトレ、オーディションなどさまざまな経験をさせていただきました。

しかしアルバイトだけでは生活費とレッスン費を工面できず、経済的な理由で断念したんです。この出来事がきっかけとなり「お金」に対する価値観が変わりました。

芸能を諦めざるを得なかった悔しさもですが、当時は周りに裕福な友人が多かったんです。アルバイトもする必要がなかったり、親のクレジットカードで食事をしたり。

彼らを見て「自分はアルバイト以外でキャッシュポイントを作りたい、マネタイズできるようになりたい」と強く感じたのが、今に続く原動力のきっかけです。

起業後はライバー育成の道へ。成功の秘訣は、仕事相手ではなく「仲間」になること

ー佐藤さんが在学中に始めた「アルバイト以外のマネタイズ」について教えてください。

まずは、企業に雇われずに働くことがマネタイズに繋がると考え、コネもない状態で勢いのまま個人事業主になりました。

自分の好きなことや得意なことは何だろう?と考えて気づいたのが、芸能活動時代に「どうやったら自分で仕事が取れるか」を考えられていなかった、という事実です。

僕だけではなく周りのインフルエンサーさんたちも「仕事の取りかた」を知らない。芸を磨くことばかりを大切にして、営業やマーケティングはマネージャーに依存している。夢はあっても、叶えるためのステップや資金調達の方法をイメージできていない人が多いと感じていました。

そこで始めたのが「ライバー育成事業」の業務委託です。固定給ではなく、成果報酬で行っていました。周りのインフルエンサーや芸能関連の友人にも「仕事は自分の力だけで取ってこれる」と伝えたかったんです。

ーなぜ、固定給ではなく成果報酬を選んだのでしょうか?

固定給を貰うと、必死に頑張らなくても生活ができてしまうと思ったからです。安定した生活に甘えてしまい、自身の向上心が失われてしまう不安がありました。

ーライバー育成の事業についてお聞かせください。

ライバーが自分でマネタイズできるためには「コンセプトワーク」が大事と考え、企画を提案したりグッズを作ったりと、投げ銭以外のマネタイズを作るようにしていました。

最初の3ヵ月は視聴者が誰も来ないことも珍しくありません。初期のマネジメントは大変でしたが、ライバーとの信頼関係を築くにつれて少しずつ結果がついてきてくれて。

僕自身も、ただの「ライバーと担当者」ではなく「仲間」になりたかったんです。プライベートから仲良くなるために、時間を捻出して週1で食事をしていました。お互いに本音を話せる関係を築くことで、遠慮なく方向性ややりたいことを話しあえたと思います。

路上靴磨きで触れたフリーランスの形。「自分1人だけの力でお金を生み出す」ことの大切さ

ーライバー育成以外に、在学中に行っていた事業はありましたか?

ライバー育成を始めて半年程経った頃から、人材会社でtoB営業を始めました。

具体的には企業からのリクエストによる人材紹介や、新卒採用を抱えている企業へのヒアリングからマッチングなどです。

ー長らく業務委託として生計を立てていた佐藤さんの、現在に繋がる出来事を教えてください。

僕がフリーランスの「稼ぎ方」について考えるきっかけになった出来事がありました。

ある経営者の方に「佐藤君は、ライバー育成もtoB営業も頑張っているけれど、自分のサービスでは1円でも稼いだことないよね」と言われたんです。

仰る通りだ、と。1円でもいいから自分の力だけで稼いでみようと決意し、4ヵ月間「路上靴磨き」に挑戦しました。市場分析から始めて、場所や時間、通行者の職業や性別などもリサーチしました。

1つだけ作ったルールは「価格を決めない」です。靴を磨いた後に「お気持ちで」という形だったのですが、一切貰えないこともあれば「ご縁だから」と5円玉をくださった方もいて(笑)。たくさんの方々の反応を見れました。

結果的にはそれなりに形になり、月収70万を達成できて。当時「自分でお金を作る」という経験ができたのは、大きなターニングポイントでした。

起業のキーワードは「仲間」。悩めるフリーランスと手を取りあい、支えあう関係を目指して

ー起業に踏みこんだきっかけを教えてください。

起業のきっかけは2つあります。まず1つ目は、当時、多少はマネタイズができるようになってもそれを共有できる「仲間」がいなかったことです。

年上の経営者の方が可愛がってくれることはあっても、同じ目線で共有できる相手がいなくて。僕は仕事は楽しいものだと感じているので、それを周りにも伝えたいし、同じ想いを共有したかったのが理由です。

2つ目は、スキルを買い叩かれている人たちとの出会いです。在学中、webライターをしていた時期に「手に職を持っている学生たち」と会う機会があって。

高い技術と時間をかけて作られた制作物に対して、貰えるべき報酬が貰えていない人があまりにも多かったんです。スキルを身につけるために努力をしてきた筈なのに、クライアントワークが苦手なだけで買い叩かれている人を見て、すごくもどかしくて。

彼らの助けになりたかった気持ちと、サポートをしてお互いに支えあうことで「仲間」になりたいとの想いで、Epaceを起業しました。

ー佐藤さんが、ディレクションやクライアントワークなどのバックサポートとして活動するモチベーションを教えてください。

おこがましいかもしれませんが「助けたい」「救いたい」という気持ちは大きいです。クライアントワークが不慣れで買い叩かれる人たちは、売れたいのに方法がわからないライバーと似ていて。

僕が稼ぎ方を教えたライバーはほとんどが独立しているのですが、自分がきっかけとなって花を咲かせる人が増えるのが純粋に嬉しいんです。その人が活躍するためのきっかけを作りたいと思っています。

また「自分と同じような仲間がいた方が楽しい」と感じているのも、モチベーションになっています。1人だと、成功してもつまらないんです。

理念は「仲間の幸福度を上げる」。幸福度の高い仕事のための4つの条件

ー仕事のあり方を大切にする佐藤さんの「理念」な何ですか?

僕の理念は「自分の周りの人たち(仕事を通して関わる人たち)の幸福度を上げること」です。幸福度について具体的に挙げると、

・好きなことなのか

・求められているのか

・稼げているのか

・得意なことなのか

この4つのバランスが取れている人は、仕事の幸福度が高いと思っています。バランスが取れている人を自分の周りにもっと増やしたいです。僕自身も、4つのバランスを考えて行動を始めてからは「すべての意思決定が楽しい」と感じられています。

ーEpaceの企業理念について教えてください。

Epaceの企業理念は「一人ひとりが輝く働き方」です。企業理念の実現は、まさに個人理念の「周りの人たちの幸福度を上げる」とつながります。

インフルエンサーや芸能関係の方々が、自分で仕事を取れるようになったり楽しめるようになったりする過程を見ると、嬉しいんです。僕の関わる人が幸福になってくれると、僕が嬉しい。

人の数だけ、ありたい姿や生きがい、仕事への考え方が存在します。Epaceの役割は、それぞれの求める姿・未来を実現するためのサポートです。そして同時に、僕が大事にしている考え方でもあります。

ーこれからの佐藤さんの活動を教えてください。

今、可能性を感じているのがコーチング事業です。大手企業に所属しながらも将来に不安を感じている人や、もっと自分らしく生きたいと思っている人たちのために、支援やサポートを行いたいと思っています。

また、都会に集中している人材を地方にマッチングさせて、地方の活性化にもつなげたいです。地元は好きなので、名古屋のベンチャーも盛り上げたいですね。

ー今後、佐藤さんが個人として挑戦していきたいことを教えてください。

僕の理念は「自分と関わる人の幸福度を仕事を通して上げる」なので、同世代に向けて「仕事のあり方」の共有をしていきたいです。

また「佐藤駿介が何者なのか」を作るために考えている事業もあります。将来的には自社で運営しているYouTubeチャンネルを売却し、その実績を通して「仲間」を増やしたいです。

売却の目的はお金ではなく、実績です。実績があることにより、抱えられる人や付いてきてくれる人、自分に興味を持ってくれる方々が増えると思っています。

今よりもっと多くの「仲間」と共に、一人ひとりを人生の舞台に立たせ、輝かせることが僕のこれからの挑戦です。

ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!

フリーターでも構いません。「自分は何のために働いているのか」の軸をしっかり持つことが大切です。

そして、失敗を恐れないでください。どんどん失敗していけばいいと思います。失敗せずに成功した人はいません。僕だって失敗しています。

ですが「しなくてもいい失敗」はあります。失敗は成功のもとと言いますが、僕は「しなくてもいい失敗はする必要はない」と思っていて。

競合を分析したり、自分が好きなこと・得意なことなのかを考えたり。そして「世の中から求められているのか」を考えた上で挑戦してください。

調べた上で失敗したのであれば、プラスに考えるべき。僕のビジネススタートが大学受験失敗失敗からだったように、失敗によって得られるものは必ずあります。

ーありがとうございました!佐藤さんの今後のご活躍を応援しております!

今回のゲスト・佐藤さんが代表取締役を務める「株式会社Epace」の詳細はこちら。

取材:大庭 周(Facebook/note/Twitter
執筆:METLOZAPP(Twitter/BLOG
デザイン:高橋りえ(Twitter