「英語学習者に向けて、より価値ある動画を」ワーママ・熊倉綾香の動画制作に掛けた想いとは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第594回目となる今回のゲストは、熊倉綾香(くまくら あやか)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

株式会社アガルートにて、教育関連の動画制作・配信をしているかたわら、個人でも動画配信をしている彼女。「これからの時代は動画がメインになっていくのではないかと気づいたんです」と話す彼女はどのような人生を歩まれてきたのでしょうか。動画制作のこだわりから今後の展望まで幅広くお話を伺ってきました。

動画制作に力を入れるワーキングマザー

ー熊倉さんの現在について、教えてください。

教育・資格取得関連の動画制作及び配信をしている株式会社アガルートに勤務しています。また個人でもインスタグラムを活用し、英語学習について発信中。「えいごはん」というテーマで料理に関する英語を動画にまとめて配信しています。プライベートでは4歳になる娘の母親として、仕事と育児に励んでいます。

ー「えいごはん」、かわいらしい名前ですね!なぜ料理と掛け合わせた動画を配信しようと思ったのでしょうか?

日常を描いたコンテンツは面白いなと感じていて、その中でも毎日絶対やることが料理でした。メインで7時間の勤務をしたあとに、子育てをしながら動画を制作する時間を抽出することは難しいと思い、英語×料理をテーマにしたのです。

ー継続するうえでも負担を軽くすることは大事ですよね。たとえば料理に基づいて、どのような動画がありますか?

そうですね。たとえば「バナナホットサンドを作る」というテーマで動画を作るとします。

1本の動画で3つの英語フレーズを提供していて、今回ご紹介するのは「peel」。

Peel a bananaで「バナナの皮をむく」という意味になり、名詞の表現だとa banana peelで「バナナの皮」という意味になります。このように複数の意味をリンク付けさせて、比較的単語を覚えやすく情報を提供しています。

ーとても分かりやすいですね!現在動画を制作していて、魅力に感じることは何ですか?

ぱっと見で「おもしろい!」と感じることが、動画の魅力だと思います。YouTubeでも、話題になった動画は視聴数ですぐに結果が出ますよね。制作してから結果までスピード感があり楽しめるのは、動画の醍醐味だと思います。

「働く」姿勢を学んだ社会人時代

ー熊倉さんのこれまでについて教えてください!幼少期はどのようなお子さんでしたか?

幼少期は特に英語に興味がなく、動画も現在のように触れる機会がありませんでした。大学で英語学科に進学し、そのころから英語に興味が湧きましたね。大学生時代は中学・高校の英語教員免許を取得したり、カンボジアの子どもたちに英語を教えるサークル活動をしていたり、英語教育に関する活動を多くしてきました

ー英語の教員免許取得とは、そもそも先生になることを目指していたのですか?

英語学科に進学したので、せっかくだから取得しておこうと思い、取得しました。でももし自分が先生になるとするならば、1回企業で働いてから先生になろうと思いました。以前、教育実習で学校へ行ったときに、民間企業で勤務していた先生もいて、わたしもそのように経験を積んでから教壇に立ちたいと思ったのです。

ーその後、大学を卒業してからどのようなキャリアを歩まれたのですか?

学生時代から4つアルバイトを掛け持ちするほど「働く」ことが好きだったので、人材系の株式会社リクルートキャリアに就職しました。採用選考でお会いした人もおもしろくて、このような環境で働けて嬉しいなと心の底から思いましたね。

しかし、実際働いてみたら仕事が想像以上に難しく、上司からよく指導を受けていました。その中でも、働くことへの姿勢が未熟だった自分を熱心に育ててくれた上司には感謝しています。

ーそのような指導を受けて、具体的にどのように変わったのですか?

仕事に対するスタンスを前向きにしていただきましたね。仕事って最低限言われたことをやるだけではなく、相手が求めていること以上のことを考えて自分から提案する。それはどの職種でも通じることで、現在働きながらもその姿勢を大切にしています。

動画ブームを予期し、キャリアチェンジ

ー働く姿勢を学べたことは熊倉さんにとって大きな収穫でしたね!しかし、4年半勤務したあとに退職をされましたが、一体なぜでしょうか?

当時、子どもが2歳になったばかりで、いわゆる*マミートラックの状態でした。この仕事内容だと今後の展望性は感じられなかったので、もう少し挑戦をしようと思い辞めました。

*マミートラック:育児をしながら働く女性が、子育てと仕事の両立をしていく中で昇進や昇給などの機会が難しくなること。 また普段の業務でも簡単な作業や、比較的軽めの業務しか担当できないことを指す。

ーそこから新しい環境で再出発を決めたんですね。

そうですね。そこで取り組んだことが動画制作でした。わたしの娘は1歳くらいからYouTubeを見ていて、動画の世界に夢中だったのです。その娘から、これからの時代は動画がメインになっていくのではないかと気づき、わたしも動画制作を始めました

ー次のキャリアチェンジは、お子さんがきっかけだったんですね。

わたし自身、有名YouTuberも知らない人間だったのですが、子どもから動画のヒントをもらいましたね。最初はすぐに転職したわけではなく、修行期間として個人でYouTubeを始めました。その後1年間くらいフリーの動画制作者として活動し、現在の株式会社アガルートへ転職。フリーランス期間は独学で動画を学び、オンラインサロンで活動範囲を広げていました。

ー着実に動画のノウハウを身につけられたのですね。動画制作をしていく過程で大変だったことはありますか?

最初のYouTubeでは身の回りのおもちゃを使って、子どもが興味を示すようなコンテンツを作りましたね。5時間かけて作った動画をわずか3秒しか見ないときもあり、さすがに凹んだときもあります(笑)。

また、視覚で楽しめる内容や3Dを活用した工夫が、子ども向けのコンテンツとして楽しんでもらえることに気づきました。「見てもらう動画とは何だろうな」と考えていく中で、そのような創作の必要性も感じましたね

確かな実力を身につけ、英語学習の発信を目指す

ーフリーの活動後に転職をされましたが、正社員とフリーの違いは感じましたか?

以前は、仕事を獲得するためにフリーランス向けのサイトで案件を獲得していました。実績を載せたポートフォリオを何件か提示し、ようやく1件受注されるという現状でしたが、現在は違いますね。会社では自分で仕事を探さなくても用意されていて、その分動画制作に集中できる点がいいなと感じています。

ー正社員として働きながらも動画制作は続けられているのでしょうか?

そうですね。動画制作を進めていく中で、英語学習を主軸として発信しているYouTuberも多く見ました。わたし自身、これまでの経験で英語に携わってきたことが多かったので、英語学習者向けのコンテンツを主として動画制作をしてきました。

2020年に2月に開始してもうすぐ1年経ちますが、1回立ち止まってみることに。自分が本当に何を発信したいか考えたときに、もう少し英語の実力をつけたほうがいいと思ったのです。

ー具体的にどのようなスキルを伸ばそうかとお考えですか?

TOEICの点数を伸ばすことや、英語の資格を取得することですね。英語の実力を数字で証明したいなと考えています。

そのように考えたきっかけも、他のインスタグラマーさんの投稿でした。海外に長年住んでいる、外資系会社に勤務しているなど英語の関わり方は人それぞれですが、最終的に確固たる実績がないといけないなと感じたのです。そのほうが見てくれている人に向け、説得力のあるコンテンツ、またより価値あるものを提供できます。

ーなるほど。あくまでも英語のスキルを伸ばすことをメインに、動画を発信していくことが今後の展望なのですね。

そうですね。まずは英語の実力をつけてから、動画制作にも注力していこうかな、と。本職でも英語教育に携われるチャンスがあったら、積極的にチャレンジしていこうと思います。仕事としても英語に携わりながら、自身の点数もあげていくことができれば理想です。

ー今後の活動を応援しています!ありがとうございました。

取材・執筆:田中のどか(Twitter / note
デザイン:高橋 りえ(Twitter