劇団に興味がなかった僕が作品を作る理由 – 劇団ノーミーツ 企画・宣伝 小野寺正人

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。今回のゲストは、劇団ノーミーツ企画・宣伝担当の小野寺正人さんをお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

「当時は劇団に興味がなかった」と話す小野寺さん。そんな小野寺さんが、劇団ノーミーツに出会うまでの経緯や入団に至るまでを詳しくお伺いしました。

軽い気持ちで決めた上京が、人生の転機に

ー自己紹介と現在の活動についてお伺いできますか?

広告代理店で働きながら、劇団ノーミーツで企画・宣伝を担当している小野寺と申します。

現在の劇団ノーミーツの活動は大きく分けて2つあり、僕はその双方で企画と宣伝をしています。

劇団ノーミーツの活動の1つ目は自分たちだけ作っている舞台や企画です。例えば、短編・長編の演劇、オンライン上で色々な劇団が公演を開けるようなWebサービスの企画運営、全国の学生を対象にした演劇の全国大会企画などがあります。

もう1つは色々な団体や人と作る舞台や企画です。今進んでるのがHKT48さんと一緒に舞台を作る企画で、HKT48さんが全てのスタッフや役者も担って舞台を作る企画がありますね。

自分たちだけで作る企画と色々な団体との企画、双方のSNSを使った宣伝や詳細の企画をするのが僕の仕事です。

1つの舞台や企画に対して、企画と宣伝の仕事は色々あるのですが僕が1人で運営するというよりは劇団ノーミーツのメンバーみんなも僕の仕事の範囲を担ってくれてます。

「苦手なことをしなければいけない」ではなく「必要なことを率先してしている」という感覚ですね。

ー上京するまでの生い立ちと経緯をお伺いできますか?

僕は北海道の田舎に住んでいて、大学進学時に上京しました。

元々は上京することは考えていませんでした。地元の同級生も就職する人と地元の学校に進学する人が半分くらいだったので僕も周りに流されて地元で教師をやろうと思っていたんです。

都内に向いたきっかけは、高校3年間付き合っていた方のお兄さんでした。そのお兄さんが東京の大学に通っていたのですが、とてもかっこよくて「上京したらかっこよくなれるのではないか?」と思い、上京を決めました(笑)

ー大学に進学してからどんな学生生活を送りましたか?

「時間が溶ける」という言葉が本当にぴったりなくらい、何もしないまま、あっという間に大学時代は過ぎていきましたね(笑)

入学した大学は慶應義塾大学で、大学を選んだ理由が試験の科目数が少ないからでした。

センター試験の科目数を見た時に「多すぎる!」と思ったんです。当時、慶應義塾大学の試験科目が2教科だったのでこの大学を受けようと決めました。

大学入学当初は学生寮に1年入寮していて、その後一人暮らしをしてました。

大学進学時の受験勉強で学ぶことへの情熱を使い切ってしまったので、大学は高校生の時にできなかったことをすると決めていました。特にしていたことは「本を読む」「映画を観る」の2つでした。

大学時代は朝早起きして図書館に行き、映画や本を1日中読んでいる生活を、大学時代はずっとしていましたね。

また、ミニシアターに行き大きい映画館では上映していない作品を見て、「この脚本は素敵だな」「この俳優の演技がうまいな」などたくさんの発見がありました。

ーミニシアターに行こうと思ったきっかけはありますか?

面白いと思った本の著者を調べてみると、だいたいの著者のプロフィール欄に「休日はミニシアターに行く」と書いてあったんです。

そのプロフィールを見て、「素敵な作品を書けるような人はミニシアターに行くんだな」と思って、自分も行ってみたのがきっかけでした。

仕事が楽しくなるきっかけになった世界大会

ー就活にはどんな気持ちで臨んでましたか?

就職はしなければいけないからしよう、と思っていたので具体的にしたいことは決まっていませんでした。

仕事を決める上で僕が指標にしていたのが「めちゃくちゃ面白い仕事」か「めちゃくちゃ体を動かす仕事」で、その指標を基に、エンタメ系、広告代理店、コンサルなどの仕事を目指して就活をしていましたね。

ー就職が決まった経緯をお伺いできますか?

現在働いている広告代理店に就職を決めたきっかけはインターンでした。

僕がインターンを探し始めたのは、終盤の時期で、ほとんどの会社がエントリーを締め切っていました。

今働いている会社も、締め切りまであと数分の状態でエントリーシートを提出したのですが、ちょうどインターネットが切れてしまいエントリーが締め切られてしまったんです。

人事部に電話をして事情を説明して期限を伸ばしてもらい、無事にインターンに参加することができ、就職に繋がりました。

ー今の会社に入社する前と入社した後の印象の違いはありますか?

「印象の違い」より「印象が深まった」感じでした。

入社する前は「CM作ってる会社だな」と漠然に思っていましたが、入社してみると1つのCMを作るにも色々な工数やフロー、ステップがあることに気付きました。

ただ、1つのCMを作るのにかかる工数とフローが無駄だなと感じることもありましたね。

ー仕事が面白いと感じた瞬間はありますか?

仕事が楽しいと思えたきっかけは、広告代理店のデザイナー若手向けの世界大会でした。

それまでは忙しすぎて、仕事中に眠気は来ないほどですね(笑)

僕の職種であるプロデューサーは企画のリーダーのような役職なのですが、自分の功績が分かりにくく、さらに上手くいかないことが多かったのですごく大変だと感じていました。

僕は広告代理店のデザイナー若手向けの世界大会の日本代表に選ばれ、フランスのカンヌに行った時に同じ職種をしている他の人の話を聞くことができました。そこでみんな同じ悩み抱えていると分かり、気持ちが吹っ切れて仕事がしやすくなったんです。

また、国によって世界大会に対する向き合い方が違くて、大会に人生を賭けてる国もあれば遊び感覚で参加している国もありました。

大会は「国を背負っているもの」と思っていたのに対して、気楽な気持ちで参加している国を見たときに「仕事はもっと自由でいいのではないか」と思いました。

仕事に対して気持ちが吹っ切れたきっかけと、仕事への心持ちが変わったきっかけを与えてくれた世界大会は今のキャリアに繋がってると思います。

「それぞれができることを」不完全だからいい劇団ノーミーツ

ー劇団ノーミーツでの小野寺さんの役割について詳しくお伺いでますか?

大きく分けると企画と宣伝をやっています。

企画は、「次何を作るか」「どんな映像を作るか」などを考える役割をしています。宣伝は、実際に作ったものを見てもらうための広報をしていますね。

宣言の部分で、当初SNSの運用経験がなく、独学で学んでるうちに楽しくなりました。

できないことを数えてもキリがないので、みんなが「自分のできることをする」という気持ちで動いていて、全員不完全なところが劇団ノーミーツのいいところだと思っています。

ー劇団ノーミーツに入った経緯をお伺いできますか?

新型コロナウイルスが流行している中、僕は家から出られず暇を持て余していて、映画を1日5本以上、1ヶ月に120本くらい映画見てたんです。映画を観た感想や広告などのインスピレーションを発散したい、と思っていたときに出会ったのが劇団ノーミーツでした。

当時は演劇との接点はなく、劇団に関わる仕事はしていませんでした。それでも劇団ノーミーツに惹かれた理由は「今、何もできないと言われてる中で何か作ろうとしている」ところが面白いなと思ったからです。それが劇団ノーミーツに入ったきっかけですね。

ー実際に入ってみた劇団ノーミーツはどんな印象でしたか?

印象よりは劇団ノーミーツに入ってからの7ヶ月で自分の価値観が変わりましたね。

劇団ノーミーツは部活のような熱量で活動をしているので、1日の連絡のやりとりの量が膨大なんです。やりとりが多い理由は、1つのことを作るための議論の量が膨大なことと、1度決まったことに対しても違うほうがいいと思ったらさっき決まったことを覆したりするからなんですよね。

大企業だと「1回決まったら変えられない」が常識だったので、1度決まったことが覆ることや、作品が作られるスピードの速さにも驚きました。

そこで創作に対する意識が変わりましたね。劇団ノーミーツは意義で集まってる人が所属しているので、いいものを作ろうとする熱量や作品を作成するスピード感が劇団ノーミーツのいいところだと思います。

「同世代の面白いことをやってる人が集まってくるところ」が僕が劇団ノーミーツにいる意義ですね。

ー小野寺さん得意なこと・不得意なことはどんなことがありますか?

僕は「言葉を使うこと」が得意ですね。SNSや企画書など、その言葉を使うところによって言葉が変わるので、細かいところの文章を使い分けることが僕の得意なことです。

逆に僕ができないところはスケジュール管理です。できないところは他の方に尻を叩かれながら楽しく業務をこなしてますね。

ー自分の仕事に手応えを感じるとタイミングはありますか?

仕事をしていて手応えを感じるのはSNSでのリアクションのスピードですね。

作品を観ていないのに、タイトルや説明で面白そうか判断するのは企画や宣伝が試されているところだと思っていて、公演をしていない作品の反応が多かったり反応のスピードが早かったりすると手応えを感じます。

ー最後にメッセージをお願いします!

2020年はどの方も選択を迫られた年だと思います。そんな「選択」をテーマにした公演をしています。

今後も色々な作品を作りたいと考えているのでぜひ興味のある方はお越しください。

ー本当に今日はあっという間でした!素敵なお話ありがとうございました。今後の小野寺さん、劇団ノーミーツのご活躍楽しみにしています。

執筆:ゆず(Twitter
インタビュー:山崎貴大(Twitter
デザイン:髙橋りえ(Twitter