生まれも育ちも関係ない、平等なもうひとつの世界を作りたいと僕が考えるまで。VLEAP代表 新保正悟

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第287回目となる今回は、株式会社VLEAPで代表取締役 新保正悟さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

子供の時から人種差別や貧困差に触れ、違和感を感じていた新保さん。その違和感から現在のメタバースの研究に至るまでの半生を詳しくお伺いしました。

海外と日本の文化の差に戸惑う学生時代

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

株式会社VLEAPで代表取締役をしている新保正悟です。

大学在籍中に株式会社VLEAP設立して、来月で1周年を迎えます。大学生時代は文系でITとは全く関係ない分野を勉強していましたが、VRに興味を持ちIT系の会社を設立しました。

僕自身、フランス、ロシア、南アフリカの3ヶ国に在籍していたことがあり、複数の国に在籍していた経験が今のVRでのシステム開発、メタバースを実現するところにつながっています。

ー今おこなっている事業について詳しくお伺いできますか?

僕の会社は今、「ベンチャー企業の助走期間」と思っています。今はプロトタイプ受注開発に限定したVR関連の開発や、開設した「ユーザーに寄り添うVRメディア」であるDatVRのサービスをプレオープンで行なっています。

今運営をしているVRメディアの特徴としては、ユーザーが投稿できるようなサービスを配信していて、VR版のnoteのようなものです。

ただ、実際には投稿機能はまだ実装されておらず、編集部で執筆したVR初心者向けに情報や、僕自身の研究しているメタバースに関する情報などを掲載しています。大学在学時から調査を続け、今年度も700名ほどの方にアンケートをとらせていただくなどして研究を続けているのです。

メタバースとは、人によって解釈は違いますが、僕とVLEAP社内では人々がその中で生活して、経済圏を持てるような世界です。今いる世界が嫌になったら気軽にまた別の世界に行くことができ、生まれも育ちも関係なく住める世界をメタバースと呼んでいます

ーそれでは、ライフログに沿ってお話を聞いていきたいと思います。幼少期からお話いただけますか?

日本に帰ってきたのは中学校1年生の時で、3歳でフランス、6歳でロシア、12歳で南アフリカに在住していてほかにも両親に色々な国に連れていってもらいました。

印象的なエピソードは、南アフリカで友達が人種差別を受けていたことです。経済的に厳しい環境や人種で差別を受けている様子を見て、生まれた時から運命が決まっているのは不平等だと感じていました。

当時は不平等だと思った感情をうまく言語化することができなくて、なんとなくもやもやしている状態でした。

ーその後中学生に上がるタイミングで帰国されてるようですが、帰国のきっかけはありますか?

帰国した理由は父が外務省の仕事をしていて、3ヵ国を周ったら帰国するルールがあったからです。僕自身は日本のゲームやアニメが好きだったので、帰国をとても楽しみにしていました。

帰国する前の日本のイメージは「仲のいい国」がすごく大きくて、期待して帰国しましたね。

ー学校は途中からの転校になったと思いますが、学校生活を通して大変だったことや楽しかったことなどエピソードをお伺いできますか?

結果的には、学校には馴染めなくて少し大変な学校生活でした。馴染めなかった理由としては日本と南アフリカの文化の違いが大きかったです。南アフリカは自分のことがオープンな国なので、最初から自己開示をかなりしていました。

日本との文化の違いで初対面で自己開示をしたことが自慢のようにとらえられてしまってうまく馴染めなかったです。一部の仲良くしてくれる友達と一緒にいたり、当時プレイしていたゲームが心の救いでした。仲良くなった友達とはモンスターハンターがきっかけで仲良くなり、今も仲良くしてますね。

学校に馴染めなかったので、日本に帰ってこなければよかったと後悔することはありましたが、それで日本を嫌いになるということはありませんでしたね。

VRに衝撃を受け、学生時代から起業

ー大学の選択理由や進路選びのタイミングについて詳しくお伺いできますか?

高校生までに夢を見つけたほうがいいと言われていましたが、僕自身高校生までに将来したいことを見つけることができませんでした。将来したいことが見つかった時に選択の幅が広くなるようにできるだけ偏差値の高い大学にいこうと思いました。

また、自分のしたいことができる時間が取れるようなカリキュラムの大学にしようと思い、早稲田大学に入学を決めました。

ー大学入学後の印象的だったエピソードはありますか?

大学生の時に、1、2年生の時は大学生らしいことをしよう思って、スキーサークルに入りました。友達と遊ぶことに専念していましたね。

2年生の時に大学に入って遊んでいることに違和感を感じ、ボーイスカウトを始めました。早稲田大学では、起業に関する授業に力を入れていました。また、授業内でいろんな社長の方と話せる機会があったことで起業に興味を持ちましたね。

ー授業で起業のことを学んでも起業に踏み出す人と踏み出さない人がいると思いますが、新保さんが起業に踏み出したきっかけはなんだったのでしょうか?

VRに出会ったのが1番大きいですね。VRに出会ったのは秋葉原の家電量販店でVRの体験をしていて、体験をしたときに今まで色々な国を見てきても得られなかったほどの感動を覚えました。外見や差別に左右されることなく、新しい自分として自己実現できるところが大きな衝撃の1つですね。

また、大学の授業で先輩の起業家に話を聞く機会があり、自分のしたいことをして起業をして変革を起こしている方がとても輝いているように見えたことも衝撃の1つでした。

起業している人が輝いて見えたのは、自分を好きなことをして自己実現、さらに社会に還元されていることを見てあこがれを覚えました。

ー大学在学中に起業されているようですが、在学中に起業するまでの経緯をお伺いできますか?

僕が学生時代に起業のきっかけになったことの1つがグループに分かれ、ビジネスアイディアをグループで考え、それをプレゼンして競うものでございました。勝ち進むと事業に参加できる授業でした。対決には負けてしまいましたが、相手チームのプロジェクトに参加させていただきました。

その後、このプロジェクトで扱っていた事業で起業を考えていたとこと早稲田大学のプログラムで、支援金をいただくことができ、今の事業の起業に至りました。大学や周りの方に支えられた起業だったと思います。

早稲田大学は支援プログラムが整っているのですが、知らない学生が多いので、これをきっかけに知ってもらいぜひ利用していただけたらと思います。

生まれや育ちが関係ない世界の実現のために

ーVRやメタバースが現代の社会にどのように暮らしに影響しているのでしょうか?

現状、VRに関する常識や知識が、VRが普及しだしたタイミングで止まってしまってる方が多いと思います。スマートフォンを専用のメガネのような機材に入れて360度見れるようなものがVRのイメージですが、実はこれはVRの本領ではないんです。

VRはその後、すごく進化しました。例えば、上下左右好きな方角を一望できたり、広い空間の中を自由に歩くこと、VR空間でものをつかんだり、自由にワープする、人と疑似的に触れ合ったりすることができます。

世界でも有名なゲーム会社がVRのソフトやデバイスを作っていたり、システムを作った会社が大手企業に買収されたりと、VRは現在ゲーム業界ではとても注目されています。

VRの中でもVRChatがこれから大きな盛り上がりを見せようとしていて、1日の多くの時間をSNSの中で過ごす人が増えています。VRの中でもう1つの地球を作ることができ、新しい自分を表現することができるのです

ー今後の展望についてお伺いできますか?

会社に関しては助走期間だと思っていて、VRをツールとして使えるコンテンツを、会社で模索して、見つけたものを伸ばしていきたいと思っています。また、日本全体のVRの理解を伸ばしていきたいですね

個人としては、VRを利用したSNSの研究を続けていきたい。そしてVRについての有益な情報を将来的に発信していければと思っています。将来的にはVRに特化したVCを作っていきたいです!

ー本当に今日はあっという間でした!素敵なお話ありがとうございました。今後の新保さんのご活躍楽しみにしています。

取材者:山崎貴大(Twitter
執筆者:ゆず(Twitter
デザイナー:高橋りえ(Twitter