喜多村若菜がミートキャリアを通して行う、多様な働き方の実現に向けた社会へのアプローチ

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第361回は株式会社fruor(ミートキャリア)の代表取締役CEO、喜多村若菜さんです。コンサルティング会社・教育系企業を経て、オンラインキャリア相談事業で起業をされた喜多村さんのこれまでについてお伺いしました!

プロにキャリア相談ができるミートキャリア

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

ミートキャリアというオンラインキャリア相談の事業を行う株式会社fruorの代表を務めております、喜多村若菜です。関西で育ち、大学卒業後はITコンサル事業を行うアクセンチュア株式に入社。その後教育系事業を行うスタートアップを経て2019年1月に現在の会社を創業しました。

ーミートキャリアについてもう少し詳しくご紹介いただけますか。

ミートキャリアはキャリアに関するあらゆる相談に対して、人材業界で経験の長い方や人事経験の長い方々にオンラインで相談できるサービスになります。転職するか悩んでいる方や、今後のキャリアに不安を持っている方、上司との関係性構築に困っている方、副業を始めてみたいと考えている方などから日々ご相談をいただいています。

オンライン相談サービスは増えつつありますが、ミートキャリアの特徴は出産や育児などといったライフステージの変化に関する相談に強い点です。というと、女性の方から相談が多いと思われることが多いですが、実際には育児休暇を取りたいが上司からの理解を得ることができないという相談を男性の方からいただいたりもしています。性別に関わらず、ライフステージに合わせたキャリアチェンジ・キャリアアップに関するご相談に対応させていただいています。

ー創業から2年程たっていると思いますが、会社の規模としてはどれくらいなのでしょうか。

現在はカウンセラーを含めると50人規模の会社で、メンバーのほとんどがカウンセラーになります。フルタイムメンバーは数人で、ほとんどは複業でされている方が多いです。

事業スタート当初はTwitter経由でカウンセラーを募集させていただいたり、直接Twitterでカウンセラーさんにお声かけさせていただいていましたが、最近はWantedly経由で応募いただくことが増え、相談案件数の増加とともに、メンバーもどんどん増えていっています。

初めての挫折経験から見つけた没頭できること

ー起業に至るまでのお話をお伺いさせてください。現在の喜多村さんを形成した人生の最初のターニングポイントはいつになりますか。

小学4年生の時かなと思います。それまで英会話や水泳など毎日異なる習い事を5つくらいしていたのですが、どれも鳴かず飛ばずで才能がないのかなと感じるようになったことをきっかけに習い事を全て辞めて、中学受験を目標に塾に行くことを決めました。

そして塾に通うにあたって、入塾試験を受けたのですがその試験に落ちてしまい…大して勉強せずに受けたので当たり前の結果ではあったのですが、塾に通うことすらできないことにショックを受けました。この時が自分の中で記憶にある初めての挫折経験でした。

ーそこからどのように立ち直られたのでしょうか。

父から「失敗した時はそのままにしてはいけない」と言われてたので、落ちた塾とはまた別の塾の入塾試験に再度チャレンジすることにしました。次は絶対合格するつもりで、過去問を何度も解きしっかり対策した結果、無事合格することができただけではなく、一番上のレベルのクラスに入ることができました。

これをきっかけに勉強が楽しくなり、残りの小学校生活は勉強ばかりしていました(笑)何事も中途半端だったところから、没頭できることを見つけることができて嬉しかったんです。

ー勉強の結果、中学受験では志望校に合格できたのですか。

はい。でも受験で合格するという目標を達成してしまい、入学後は目標を失ってしまいました。中高一貫校に入学したため、次の目標は6年後の大学受験と考えると先すぎて頑張れないと思ってしまったんです。また、進学校だったので当たり前ですが周りの子たちが皆優秀で頑張っても成績トップではいられなくなったんですよね。そのため中学入学後は特に何も頑張ることなく、なんとなく毎日を過ごしていました。

卒業後の進路に不安を感じ、休学を選択

ー高校生活もそれは続いたのでしょうか。

高校入学後は行きたい大学が見つかり、再び大学受験に向けて再び勉強し始めました。行きたい大学が見つかったとはいっても、どうしても勉強したい分野などがあった訳ではなく、消去法で見つけた大学だったのですが…

ー消去法とは?

中学受験の時に、大学までエスカレーターでついている学校があるのをみていたので、大学がついていない学校に行くのであれば、エスカレーターでいけないような大学に行きたいと思っていたんです。その上で実家から通える距離にある大学で、自分の学力で目指せそうな大学を逆算して志望校に選びました。

ーなるほど…そうやって選ばれた大学での学生生活はいかがでしたか。

中高一貫だからこそあった文化・環境から解放され、一気に世界が広がりましたね。やりたいことが多すぎてどうしよう状態で楽しい大学生活でした。ログハウスを建てるサークル、スキーサークルなどやりたいことは盛り沢山だったのですが、結局3年間はスキーサークルに時間を費やしました。夏でも筋トレやインラインスケートの練習をする活動日の多いサークルだったので、他のサークルと掛け持ちする時間を作るのは難しかったんです。

大学入学後は自然と就職活動が数年後に待ち構えていることを感じて、やりたいことが特になりことに不安を感じたり、社会ともっと触れ合う機会を持つべきなのではないのかと思うことが多かったです。サークルを辞めて留学することも考えたりしたのですが、中高時代にみんなで何かをするという経験をしたことがなかったので、サークルは最後までやりきるこを決めました。そして代わりに、サークル卒業後、1年間大学を休学することにしたんです。

ー休学中はどのようなことにチャレンジされたのですか。

社会・世界をもっと知りたいという思いからシンガポールに行きました。現地の語学学校に通いながら、人伝で見つけた株式会社ベネフィット・ワンでインターンをさせていただきました。福利厚生を提供する会社だったのですが、ちょうどシンガポールに進出が決まった状況でインターンとして雇っていただき、現地の飲食店やホテルにテレアポをしたり、アポがとれたら商談に行ったりしていました。

また休学中はできるだけ多くの働いている方のお話を聞きたいと思い、シンガポールにいる日本人の方にその仕事をしている理由や仕事との向き合い方などについて聞いたりしていました。その中で、会社の立ち上げや起業、スタートアップに興味を持つようになりました。

 

起業も見据えて就職後、働き方に関心を持つように

ー帰国後、就職活動となったかと思いますが、どのような考えでアクセンチュアへの入社を決められたのでしょうか。

スタートアップを中心に見ていたのですが、ここだと思う会社に出会うことができず、それならば、将来スタートアップに行くための準備をするのに最適な会社に就職しようと思いました。就職した会社は、転職をする人や起業する人が多かったので、そんな先輩たちがたくさんいる会社に就職すれば、将来やりたいことが見つかったときに挑戦できるのではないかと考えたんです。

ーそこから転職され、起業されていますが、転職した理由は何だったのですか。

マネージャーに育児と両立されている方がいなかったことなどが転職のきっかけです。出産・育児などのライフイベント後はバックオフィスに回るのが当たり前という現状を知り、ライフステージに関係なく働き続ける方法はないのかなと考えるようになりました。そういった課題感を持っていたので、キャリアで挑戦できるのは自分がライフステージを経る時までなのかもしれないと考えて、転職を決めました。

ー転職先はどのように選ばれたのでしょうか。

教育系事業を行っている会社だったのですが、親御さんに余白のある生活を過ごしてもらうのがコンセプトとなっていることに惹かれて入社を決めました。例えば1時間、子供の習い事を見て過ごすのではなく、習い事中は親御さんの自由時間として使ってもらう、といった感じです。

働く中で親御さんのキャリアの悩みなどを聞くことが増え、ライフステージが変わることでキャリアアップが難しいのを改めて感じる機会が増えました。また、採用や事業開発を担当していたのですが、採用活動をする中で改めて働き方の選択肢が少ないことに疑問を持ったことから今の事業での起業を決意しました。

 

多様な働き方が可能な社会を目指して

ー「ライフステージにあった働き方を実現する」をミートキャリアではビジョンに掲げられていますが、この2年弱で変化はありましたか。

ユーザさんの中では、実際に社内で働き方を交渉して自分に合った仕事・働き方を実現する方や、転職や副業を通して自分の目指すキャリアに近づく方も多くいらっしゃりました。

一方で、わたしたち自体はフルリモートで自由な時間に仕事をすることが可能にしていますが、社会全体ではそういった取り組みをされている企業はまだまだ少ないのが現状です。なのでまだまだ取り組まなければいけないことがたくさんあると感じています。

 

ーライフステージにあった働き方を実現するにはどういったアプローチがあると考えられていますか。

ミートキャリアでできることは主に2つあると思っています。

1つはキャリア選択に関して、第三者の立場から相談にのること。転職エージェントなどではどうしても選考に通りやすい求人を勧められたり、柔軟な働き方をしている会社を紹介してほしいとリクエストをしても「そんな会社はないです」と言われてしまったりします。そんな時にミートキャリアが一緒にキャリアの選択肢を考えることができます。

もう1つはキャリア形成において長期的な視点も含めてアドバイスをしてあげること。例えば出産というライフステージを迎えた時に、どうやって上司とコミュニケーションを取り自分の希望を伝えるかを一緒に考えることができます。

様々なライフステージがあるため、ニーズはどんどん多様化していると感じています。育児参加したいけれども会社の理解が得られない方、介護で休職して現場を離れてしまったことによってキャリアに悩んでいる方、夫婦ともに転勤が多い中でどうすれば夫婦二人でキャリアアップできるのか模索している方などなど。特に育児休暇関連でいうと男性の方が周囲に事例が少ないため相談できる方がいないことからミートキャリアにご相談いただくことが多いです。まだまだ、ミートキャリアにできることはあるなと感じる日々です。

 

ー最後になりますが、今後の目標などがあれば教えてください!

今は自由な働き方を体現しながら事業を運営していますが、今後会社が大きく成長していった時に今の形で続けられるのか、正直分からない部分は多くあります。会社の成長に合わせて「ライフステージにあった働き方を実現する」というビジョンを体現する会社であり続けたいと思っています。

また現在は個人支援がメインですが、将来的には企業にもアプローチし大企業の働き方を変えていきたいと思っています。性別や世代関係なく、すべての人たちが自由な働き方ができる社会を実現することが目標です!

ー本日は貴重なお話、ありがとうございました!

執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
インタビュー:増田稜(Twitter
デザイナー:五十嵐 有沙 (Twitter