様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第345回のゲストは株式会社グローカルでコンサルタントマネージャーとして働く矢野口聡さんです。再生医療に興味を持ち大学で上京。その後大学院を経て国内メーカーに就職した矢野口さんが経営コンサルタントにキャリアチェンジを決意した理由に迫りました!
地方の中小企業をサポートして地方を豊かに
ーまずは現在のお仕事も含めて、簡単な自己紹介をお願いします!
株式会社グローカルで経営コンサルタントとして働いています、矢野口聡です。2020年3月に入社したのですが、現在会社が拡大フェーズにあるということもあり、社内の仕組み化など経営企画的なポジションも担当させていただいています。前職は新卒で入社したメーカー企業で研究開発の仕事していました。
ー株式会社グローカルの具体的な事業内容についてもう少し教えていただけますか。
株式会社グローカルでは地方にある中小企業の経営支援を行っています。Webマーケティングや事業戦略、採用、新規事業立ち上げなど幅広くサポートするのが特徴です。というのも中小企業には中小企業独特の悩みや課題があり、それらの多くは密接に関わり合っているため、幅広く対応できないと解決に繋がらないからです。
ー転職して約1年とのことですが、この1年を振り返ってみていかがですか。
前職が大手企業だっということもあり、やっぱりスピード感が全く違って、本当に刺激の多い、濃い1年だったなと思います。私は社員6人目として入社したのですが、現在社員数14名となっており、この1年で倍に増えました。オフィスの移転を行ったこともあり、この1年で見える景色が変わったなという感覚があります。
もちろん、この1年はコロナの影響をたくさん受けた1年でもありましたが、これまで関わりのなかった企業さんから新たに経営についてご相談を受けるなどポジティブな変化もたくさんあったと思います。
長野から東京へ。ギャップに衝撃を受けた
ー現在に至るまでの過去のお話もお伺いできたらと思います。地方に目を向けるようになったきっかけを教えてください。
大学で生まれ育った長野から上京したことが大きなきっかけとなったと思います。田んぼに囲まれて育ったこともあり、地方に関心があったので北海道や九州の大学を目指していましたが、受験に失敗し、結果的に東京の大学に進学しました。都会に憧れなどはなかったのに、たまたま東京に住むことになったんです(笑)
ー地域以外では、大学はどのような基準で選ばれていたのでしょうか。
ちょうどIPS細胞が話題になっていた時期だったので、私も再生医療に興味を持ち、その分野が勉強できる大学を志望校に選んでいました。当時から漠然と、人の役に立つことがやりたいという思いは持っていたみたいです。
ー長野から上京してみていかがでしたか。
東京にきて、情報や機会が溢れていることに衝撃を受けましたね。これが地域格差なのか…と。大学では塾講師のアルバイトをしていたのですが、夜遅くまで子供たちが勉強しているのが東京では当たり前なことにもびっくりしました。
また、進学した大学には海外からの留学生も多かったので初めて異文化にも触れることとなり、新しい価値観や発見で刺激的な毎日でした。
ー大学卒業後の進路についてはどのように考えられていたのですか。
大学では再生医療の基礎的な部分を勉強していましたが、もっと目の前の人を助けることのできる研究や製品化が近い開発の部分に関わる研究がしたいと思い、東京大学の院に進学することに決めました。勉強したい分野が明確に決まっていたので、就職をするという選択肢は考えていなかったです。
チームに貢献したい、誰かの役に立ちたいという思い
ー大学院での生活から何か今に通ずる出来事などはありましたか。
組織の中でどのような役割を担うかということについてよく考えた大学院生活だったなと思います。院では周囲の人がとても優秀で、劣等感を感じることが多かったのですが、だからこそ能力以外で自分が貢献できることを考えるようになりました。そんな中で得意だと気づいたのが共同研究でプロジェクトの取りまとめやチームの関係性を良好にする役割を担うこと。率先して飲み会を企画するなど、組織に欠けていることを探し、積極的に動いていました。
ー大学院卒業後、メーカーへの就職を決められた経緯についても教えてください。
大学院生は研究をしながら就活をしなければならないので、限られた時間で効率よく就活をするため、メーカーに業界を絞って就活をしていました。ものづくりを通して、誰かの役に立ちたいなと思ったのが理由です。
前職の会社に決めた理由は、再生医療には変わらず興味を持っていたので将来的に医療系にも関われそうであったこと、そして様々な事業に取り組んでおり挑戦をし続けているところに魅力を感じたからでした。
ー入社後、どのタイミングで転職を考えるようになったのでしょうか。
ディスプレイ材料の研究部門に配属され、やりがいのある仕事だと感じていたのですが、先輩や上司のように生き生きと仕事ができていないことにモヤモヤを感じました。自分は本当は何をしたいのか、これから生涯かけてやっていきたいことは何なのかを考えるようになり、入社1年目の終わり頃から転職活動を始めました。
大学院の頃と変わらず、チームに貢献できていることが自分にとって大事だったのですが、社会人になってからはそれに加えて、好きでやりがいのある仕事をすることも大事だなと思うようになったんです。
地方を豊かにするとは?を問い続ける日々
ー株式会社グローカルはどのようにして見つけられたのですか。
本当にたまたま、見つけた感じです。本を読んだり、ワークショップに参加したりする中で自分のことを知る時間を取り、自分は何に興味を持っているのか、これからの人生でやりたいことは何かを約半年間程かけて考えました。その結果、地方から上京してカルチャーショックを受けたことが原体験としてあったこと、そして地方と都会のギャップを埋めるために何かしたいと思ったことから地方の地域経済に貢献できる仕事に就きたいと思ったんです。地域経済に貢献する方法を考えたときに思いついたのは地方を支えているであろう中小企業の存在でした。
そうやって自分の中で軸が固まったタイミングでたまたま地方の中小企業をサポートしているという株式会社グローカルに出会い、自分のアプローチしたいことにぴったりだったので選考を受け、入社を決めました。
ー運命的な出会いだったんですね!異なる規模感や職種への転職に対して不安などはありませんでしたか。
周囲の人からは心配されたりもしましたが、自分自身は不安や心配は一切なかったです。1年近くかけて転職活動をする中でやりたいことが明確化されていて、それがこの会社ならできるという確信があったので迷うポイントがなかったのだと思います。逆にベンチャー独特の雰囲気やスピード感、コミュニケーションの取り方、社長との距離感など魅力的に感じる部分が多くありました。
ーその確信通り、入社後のギャップなどはなかったのでしょうか。
そうですね。逆に入社したタイミングがとてもよかったなと思います。コロナによって事業戦略を大きく見直すタイミングだったので、経営の観点からも会社を見ることができ、自社理解が深まりました。また、目標設定を意識的にできる環境があったので、目標を口に出して行動していった結果、入社10ヶ月でマネージャーに昇格することもできました。
もちろん、入社して何もかもが想像通りだった訳ではなく、地域社会のために役に立ちたいという思いで転職したものの、いろんな企業や人と関われば関わるほど「そもそも地方を豊かにするってどういうことだっけ?」という問いにぶつかるようになりました。地域を豊かにすることの難しさを感じる日々です。
ーまだまだこれからというところかと思いますが、矢野口さんの今後の目標などがあればぜひ教えてください!
「地方を豊かにする」とはどういうことなのか、その解像度を高めて行きたいです。そのために今できることは、今の会社で地方で働いている方のサポートをすることだと思っています。地方にいる方々を主役に、その地域を豊かにするために、持続的な地方・地域の活性化に向けて基礎的なところからサポートしていきたいです。
また、もう一歩踏み込んで、自分が地域を豊かにするためにより力を発揮できることを見つけることが長期的な目標です。いつまでにどの分野でなどの具体的なことはまだわかりませんが、地域の課題についてより理解を深め、さらには専門性を高めていくことで、自分自身が一番その地域にインパクトをもたらすことのできる領域を見つけ出してアプローチできたらと思っています。そのためにも「地方が豊かになる」とはどういう状況なのか、そのために自分は何ができるのかを引き続き考え、答えを探していきます!
取材:あおきくみこ(Twitter/note)
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter)
デザイン:五十嵐有沙(Twitter)