周りと違う選択を積極的に取ってきた杉山愛奈が語る、「まずはその人の中の例外になれ」

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第154回は株式会社ディー・エヌ・エーで『逆転オセロニア』のコミュニティマーケティングを担当されている杉山愛奈さんです。高校では語学留学、大学時代にはRedBull学生インターン、レースクイーンの経験をした杉山さんがゲームアプリのコミュニティマネージャーを担当することになった経緯などを過去に遡ってお伺いしました。

中高一貫私立女子校・留学・レースクイーン…みなさんはこれらの単語でどんな女性を想像しましたか? 肩書きで周りから判断されることに向き合ってきたという一面も持つ杉山さんのライフストーリーをぜひお読みください!

 

ゲーム初心者がゲームアプリの担当に

ーまずは簡単に現在のお仕事について教えてください!

新卒で2018年に入社した株式会社ディー・エヌ・エーで働いています。ゲームアプリ『逆転オセロニア』のコミュニティマーケティングを担当しており、コミュニティマネージャーとして、『逆転オセロニア』を遊び続けてもらう理由を作り出しつづけることを目指し、オンライン・オフライン関わらずイベントの企画やSNSの運用などを行っています。

ーゲームアプリ担当に配属、ということは、杉山さんご自身もゲーム好きなのですか。

小学校の頃、ニンテンドーDSにハマってしまったことで成績が落ち、ゲーム禁止の環境で育ってきたため私自身はソーシャルゲームの経験は全くない状態で配属となりました。なのでゲームに特別詳しくはなかったです。

配属面談の際には、”意思決定権があり、大きなお金が動く部署”への配属希望を伝えていたところゲームアプリの担当となりました。いい人といい事業を作ることができるのであれば、配属先に大きなこだわりはなかったんです。

ーではゲームについて知ることからのスタートだったんですね。

そうです。まずは膨大な時間をかけてゲームをやってみるところからはじまりました。同時に、毎週末のようにリアルイベントを開催し、年間数百人〜数千人のオセロニアン(『逆転オセロニア』のプレイヤー)の方とお会いし、何が楽しいと感じているのか、何がつまらないと感じているかをヒアリングすることで理解を深めるようにしていました。初めの1年弱くらいはゲームに詳しくないことや苦手なことを隠さず素直にオセロニアンの方々にも伝え、たくさん相談にも乗ってもらったりゲームを教えてもらったりしていましたね。

 

人と違うことをやると、自信につながった

ー小学生の頃にゲーム禁止となったとのことでしたが、どのようなことを代わりにされていたのですか。

従姉妹がドバイに住んでいたので、夏休みはドバイに遊びにいき、現地のサマーキャンプに参加していました。日本では前に積極的に出て発言するタイプだったのですが、英語ができなかったので積極的に発言することができず初めての挫折を感じたのを覚えています。

勉強はあまり得意ではなかったのですが、母から「中学で、もし勉強以外のやりたいことが見つかった時に、そこにもちゃんと時間を使えるように」と言われ、高校受験をスキップできる中高一貫校にいくために受験勉強もしていました。

ドバイでキャンプにいったこともそうですが、この頃から他人と違うことに挑戦するのが好きで、その挑戦が自分の自信によくつながっていたなと今振り返ると思います。中学受験をする人がほとんどいない小学校に通っていたので、中学受験もまた、周りの人と違うことに挑戦できると思って取り組んでいました。

ー中学には無事、合格されたのでしょうか。

はい!無事合格し、愛知県の名古屋市内にある中高一貫女子校に通いはじめました。そして母の予想通り、勉強以外のことに時間を費やしました(笑)全然勉強しなかったので、成績は下から数えた方がはやかったですね。

ただ、学校では「勉強ができる子=すごい」と判断されていたので「何のために勉強をするのだろう?」と考えるようになりました。今では、勉強というものはいつかやってくるチャンスのために必要なものだと思うようになりましたが、当時はそれが分かりませんでした。将来のことではなく目の前のことに頑張るので精一杯だったんだなと思います。

ー高校生活はどのように過ごされたのですか。

高校でも相変わらず勉強は苦手だったのですが、そんな中、両親が留学を勧めてくれたのでシンガポールに長期休暇を活用し留学しました。本当はイギリスに留学してみたかったのですが、ちょうどロンドンオリンピックとかぶっていたため留学費用が高く断念。当時、シンガポールはまだまだ留学先としてはマイナーだったのですが、それも逆に他の人と違う挑戦ができるチャンスと思い、シンガポールに行きました。

ー留学を経験して何か変化はありましたか。

正直、短期の語学留学で得られるものは、多少の語学力の伸びくらいだろうと当初は思っていたのですが、お想像以上に刺激を受けることとなりました。シンガポールには東南アジアから覚悟や意思を持って勉強しにきている学生が多く集まっており、自分ももっと頑張らないと人生に差をつけられると危機感を感じたんです。自分にしかできないことを身に付けないと世界に取り残されると気づき、自分の強みを見つける必要性を実感しました。

 

その人にとっての例外になることを意識した大学時代

ー留学の経験はその後の進路にも影響を与えたのでしょうか。

留学の経験から海外大学への進学も検討しましたが、立命館大学の国際関係学部のグローバル・スタディーズ専攻であれば海外大学に近い経験ができるのではと思い、そこに進学を決めました。

授業が全部英語で行われるため1年目は苦労しましたが、日本人が半分弱しかいない学部で海外出身の同世代と一緒に勉強する中で、たくさんの価値観に触れることができたので選んでよかったなと思っています。

ーその他大学でチャレンジされたことなどはありましたか。

2年生になり、やっと勉強以外のことに目を向ける余裕がでてきたタイミングで何か自分の強みとなることや自分が頑張れることを見つけたいと思いました。そのタイミングでふと、高校生の時に、RedBullの学生マーケティングチームがあることを知っていたので、私自身もRedBullでインターンをしたいと思ったことを思い出しました。そして応募してみたところRedBull Japanの学生インターンチームで活動できることになりました。

また、展示会やイベントコンパニオンのお仕事もしていたのですが、当時所属していた事務所のマネージャーさんに、レースクイーンのオーディションを勧めていただいたので、挑戦してみることにしました。

ー以前からレースクイーンに興味をお持ちだったのですか。

母がエンジニアで、レースが好きだったこともあり、小さい頃からよくサーキットにレースを見に行っていました。「好きなことでお金を稼げるのか?」ということに興味があったのでモータースポーツという自分の好きなことに関われるお仕事を経験してみたいなと思っていたんです。オーディションの結果、国内メーカーのレースチームでレースクイーンやレポーター、MCとして活動させていただきました。

ーレースクイーンという新しいことに挑戦してみていかがでしたか。

レースクイーンは名前だけだと誤解を生みやすい仕事だなと思いましたね。レースクイーンというと、モデル志望の人が多いイメージが強いかと思いますが、車が好きでやっている人もたくさんいます。そのことをもっと知ってもらいたい、レースクイーンのイメージを変えたいと活動する中で強く思うようになりました。実際にレポーターやMCとしても活動させていただく機会をいただき、業界のイメージやレースクイーンのイメージを変えることを常に意識していました。

ーとはいいつつも、既存のイメージを変えるのは難しいかと思いますが…

確かに難しいですね。私は「その人の中での例外になる」ということを意識しています。まずは私のことを知ってもらい、「この子は違うんだな〜」と思ってもらうこと。私は人と違うことを好んで挑戦してきましたが、日本は異質な人やコトを排除する傾向は強いなと感じています。そういうときにも自分のことを知ってもらって相手の概念の中に例外を作ってもらうことがまずはスタートだと信じています。たくさんの人が例外を知ることによって、少しずつ既存のイメージが変わっていってほしいです。

 

これからは「個」だけではなく「チーム」の時代

ー就職活動ではやはり好きなことを仕事にするを目標にされていたのですか。

レースクイーンとして活動したことで、よりモータースポーツのことがより好きになりましたが、就職活動ではその道を選びませんでした。というのも就職活動の際に、モータースポーツに携わるのであれば、「モータースポーツをより多くの人に知ってもらう」お仕事をしたいなと考えていました。ただ、当時はまだ経験が浅く、モータースポーツをもっと有名にするだけの力が当時の私にはまだないと感じていました。そこで、違う業界で、メジャーではないものをメジャーにした経験を積んでから、モータースポーツの世界には戻ろうと決めました。

ーとなると就職活動はどのように進められたのでしょうか。

RedBullでインターンをすることになったきっかけでもあった西村さんが株式会社ディー・エヌ・エーで働くと聞き、面白い会社なのかもしれないと思い2ヶ月の長期インターンに参加しました。インターンにも関わらず、たくさんの仕事を任せてくれるだけではなく、見返りを求めないで全力でサポートしてくれる環境が株式会社ディー・エヌ・エーにはあると知ることができ、就職も決めました。

ーそして入社以来コミュニティマネージャーとして働かれているとのことですが、働く上で大事にしている考え方などがあれば教えてください。

働きはじめて感じていることの1つとしては、これからは「個」だけではなく「チーム」の力が大事な時代になりつつあるなということです。なので個人だけではなくチームとしてどう結果を出すかということを大事にしています。

ーいつかモータースポーツに戻るという大学時代の決意は今も変わらずあるのでしょうか。

コミュニティマネージャーとして働く中で、モータースポーツが好きなだけではなく、好きなものを一緒に共有する時間が好きだったんだなと気づくことができました。今の仕事でも、共通の好きなものを持った人たちが思い出や経験を得る場を提供できているのが嬉しいです。コミュニティマネージャーの仕事は人の人生を豊かにすることができる仕事だなとつくづく感じています。

今後また何か大事にしたいものが見つかった時には次のステップに進むことも考えるかもしれませんが、今はまず、目の前の『逆転オセロニア』のプレイヤーを1番に、関わる多くの人を幸せにできるように頑張りたいです。

 

取材者:西村創一朗(Twitter
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter