様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。今回のゲストは、株式会社千休の代表・そして抹茶家として活躍する「なまっちゃ」こと久保田夏美さん(以下、なまっちゃさん)です。
以前、U-29.comにコラムを寄稿してくださったなまっちゃさん。あれから2年が経ち、現在は抹茶ブランドを立ち上げたなまっちゃさんに、起業をした理由や複業についてお話を伺いました。
コーヒーや紅茶が苦手だった。そんなときに出会った「抹茶ラテ」が起業の原点
ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。
抹茶専門ブランド「千休」を販売する、株式会社千休の代表をしています。カフェのメニュー開発やプロデュースを行なったり、抹茶を広めるために「抹茶家」という肩書きでも活動しています。
また個人の発信活動でとして、TwitterやInstagramで抹茶の美味しい飲み方やお店の紹介もしています。
ーなまっちゃさんが起業するまで抹茶にハマったのはどんなきっかけでしたか。
カフェで「抹茶ラテ」を飲んだことがきっかけでした。
私は元々紅茶やコーヒーが苦手で……中学生のときに友人とカフェに行っても選択肢がなく、「飲みたいものがないなぁ」といつも思っていました。そんなときに、たまたま抹茶ラテを選んで「美味しい!」と知ったのが抹茶ラテとの出会いです。
はじめはカフェに行ったら抹茶ラテを飲む程度だったのですが、アイドルがきっかけで抹茶にドハマリしました。
当時好きだったアイドルの鈴木愛理さんが、「抹茶ーず。」という宇治の観光大使をやっていたんです。「この子が好きなら私も抹茶を好きになろう!」という単純な理由でしたが、彼女が抹茶スイーツや抹茶体験をしているのを見て、抹茶にどんどんハマっていきました。
ーアイドルの影響力ってすごいですね!
はい!今でも抹茶と同じくらいアイドルが大好きです。
それ以来、友人やアイドル仲間と一緒に、抹茶専門店やカフェを巡って抹茶ラテや抹茶スイーツを楽しんでいました。
女子大生ブロガー「なまっちゃ」誕生のきっかけ
ーその後の進路は。
明治大学の理系の学部に進学しました。プログラミングやUI、映像制作の理解を深めていくような学部でした。授業ではひたすらプログラミングをしていましたね。
本当は心理系の学部に行きたかったんです。でも私の好きな科目が理系だったので、文系である心理学への進学に迷い……。そこで心理学に近いことのできる情報工学に決めました。情報工学ではUIなど人の行動や心理も学ぶので、理系でも興味のある勉強ができると思ったんです。
父がIT系の会社をやっていることもあって、IT関連の学部に親近感があったのも理由でした。
ー大学ではどんなことをしていましたか。
大学生活の前半は飲み会やアルバイト中心の日々を過ごしていました。勉強より遊び中心の、普通の大学生でしたね。
大学3年生のときに始めたブログは、私の人生の転機でした。当時はオススメの商品や理系女子としての大学生活をについて書いていました。
また、その頃に「朝渋」という朝活コミュニティに入ったりと活動的でしたね。自分自身を見つめ直して「何か行動しよう!」という時期でもありました。
ーブログはどんなきっかけで始めたのでしょうか。
当時はアメブロ全盛期で、私も芸能人やアイドルのブログを中心に色んなブログを読んでいました。その中でブロガーの方と会う機会があり、私のやりたいことを話してみたら「ブログ、やればいいじゃん!」と背中を押してもらえたんです。
その後もその方とお付き合いがあって、SEOの知識やネタの作り方もその方から教わりました。その経験や知識が起点になって今の私につながっています。
ーブログを書き始めていかがでしたか。
ブログを書くことがすごく楽しかったです!そしてブログを始めると同時に「なまっちゃ」という人格が確立しました。本名のなつみ×まっちゃが好きなので「なまっちゃ」とライトなネーミングです。
発信の活動を通してだんだん輪が広がっていくことや、「(ブログを)読んでためになりました!」「元気づけられました!」」という声をいただけるのがすごく嬉しくて……。楽しみながらブログを続けていました。
先ほどお話した「朝渋」もブログが出会いのきっかけでした。そこから人とのつながりが増えて、運営メンバーにもなったのでコミュニティも広がっていきましたね。
ー朝渋ではどんな活動をしていましたか。
朝渋で行なっている著者イベントをリアルタイムでレポートして記事にしていました。イベントを聞きながらリアルタイムで書いて、当日中に記事をアップする「爆速イベントレポート」でしたね。
「なまっちゃの記事を見て朝渋に入ったよ!」という声もあって嬉しかったです。
「副業で好きなことを続けていきたい」”好き”と仕事を両立するハードな複業生活
ー就職と同時に本業と副業をされていたのですか。
大学生のときにライティングやデザインをアルバイトとして行なっていたので、それを継続しつつ、新卒でIT系ベンチャー企業にエンジニアとして就職しました。
新卒1年目から本業をしながら副業として執筆やデザインの仕事をする複業生活でしたね。
ー当時、本業ひとつでやっていくという選択肢はありましたか。
あまりなかったですね。本業一本ではなく複数の軸を持って働いている方が身近にいたので、私もそんなふうに働きたいと思っていました。
本業で社会人経験を積みながら、複業で好きなことを続けていきたい。そして、ゆくゆくは独立をしたいと大学時代からずっと考えていました。
ー1年目からなかなかハードな生活だと思うのですが、実際の複業生活はいかがでしたか。
朝7時の開店時間からカフェで複業をして、11時に会社に出社していました。夜の19〜20時まで本業の仕事をして、終わってからまたカフェで複業をして寝る……という生活でしたね。
仕事は楽しい反面、そんな生活は精神的に辛いときもありました。1年目の余裕がない時期にも関わらず土日も休まず常に働いていたので、徐々に体調を崩していきました。
新卒1年目で独立、そして起業という道を選択できた理由
ー以前から抹茶を仕事にしたいと思っていましたか。
実は、私が抹茶を仕事にしたのは最近なんです。
ブログを始めた当時は、「機会があれば抹茶に関われる仕事ができたら嬉しいな」くらいにしか思っていませんでした。抹茶を仕事にしよう、ましてや抹茶で起業なんてまったく思っていなかったです。
そんな私が本気で抹茶を仕事にしたいと思ったきっかけは、社会人1年目でフリーランスになったタイミングでした。
ライティングやデザインの仕事をする中で「ずっと仕事にするなら、好きなものを仕事にしたい。私の好きなもの=抹茶だ!」と考えて。それで抹茶を軸に仕事をしてみようと思ったのが始まりです。
ー実際にフリーランスとして独立したのはいつごろですか。
入社してから3ヵ月で独立しました。もともと副業のライティングが本業くらい稼げたら、副を本業にして独立しようと決めていて。
ただ、入社当初から副業が楽しくなっていたんです。フリーランスとして生きていく力も必要だとは思っていたので、副業が本業の稼ぎを超えたタイミングでフリーランスとして独立しました。
最初はフリーランスとして、企業からいただいた執筆やデザインのお仕事を地道にやっていましたね。そして起業のタイミングで、さまざまな経営者に会って経営を学びつつ、抹茶に関する事業を始める準備をしていました。
ー起業は大きな決断だと思いますが、決意を固める転機はありましたか?
大きな決断や勇気が必要なことではなく、起業は自然な流れでした。
父も祖父も経営者だったので、会社を起こすことに抵抗感はあまりなかったです。父は海外のサイト制作やインフラ整備の会社を立ち上げており、祖父はみなさんも使っているような掃除用具を最初に作った会社の社長でした。
「抹茶ブランドを立ち上げるなら、起業だ!」と抵抗なく思えたのは、家族の影響が大きいのかもしれません。
「頑張りすぎてしまう現代人にほっと一息つける時間を」千休に込めた想い
ーなまっちゃさんが創業された株式会社千休ですが、起業の1歩目はどんな活動でしたか。
千休での最初の活動は、抹茶のイベントでした。イベントでは抹茶を飲んで触れてもらい、抹茶が気軽に楽しめる場所を提供しました。イベントにはTwitterでつながったフォロワーさんや友人が来てくれましたね。
そのイベントを起点として「千休」のブランドを広めていきました。
ー千休の「心に、晴れのいっぷく」というコンセプトはどんな想いから作られたのでしょうか。
私ってすごく予定を詰め込んでしまうんです。会社員時代やフリーランス時代は予定を詰め込んで、働きすぎて体調を崩すのを繰り返していました。そんなとき、1回立ち止まって、休む時間や振り返る時間を作る必要性を感じました。
私の周りにもバリバリ働いている人が多くて……。そんな頑張る人たちに「抹茶やお茶を飲む時間を作ることで、心も体も健康にいてほしい」という想いをコンセプトに千休を作っています。
ーそんな想いをのせた「千休」の商品はどのように作っていますか。
「私が毎日飲みたいか」「心からおすすめできるか」を常に考えながら商品開発をしています。
私自身がその商品を好きじゃないと人におすすめできなくなっちゃうので。自分自身の「好き」が一番の影響力でもあるし、営業力に繋がってくると思います。
ーなまっちゃさんが会社を続ける原動力は何でしょうか。
イベントをした時に、千休を飲んで「美味しかった」と言ってもらえて。その言葉で続けていきたいと思った。また千休の商品を楽しみにしてくれる人もいるので、やらなきゃという使命感もあります。
私の夢は「日本中どこにいても美味しい抹茶を飲んだり食べたりできること」です。1人でも多くの頑張っている人に千休が届けられるよう、日々頑張っています。
ーステキなお話をありがとうございました!「千休」となまっちゃさんの今後を楽しみにしています!