外出自粛の中、お散歩に出かけることが増えている人も多いのではないでしょうか。今日はお散歩コミュニティあるっこ代表の並木有咲さんにお話を伺いました。
現在、就職活動中でもある大学生の並木さん。彼女がお散歩というスポーツにたどり着いた理由と現在運営されているお散歩イベントについてお話いただきました。また、彼女がおすすめする一人散歩の楽しみ方も伺いましたのでぜひ参考にしてみてください!
いつもと違う視点で歩くと散歩が楽しくなる
ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。
武蔵野大学4年の並木有咲です。大学では心理学を勉強しています。昨年、お散歩コミュニティあるっこを立ち上げ、代表を務めています。
ーお散歩コミュニティあるっことは、どんなコミュニティなんですか。
簡単にいってしまうと「ブラタモリ」です。街探検をしたりするなど歩くことを目的としたイベントを定期的に行っています。参加者層としては主に20代〜30代が中心です。運動をしたいけれどなかなか続かない人に、歩くというハードルの低い運動を日常的に取り入れてもらえたらと思いはじめました。
ー現在はコロナによる影響で、みんなで集まって散歩することが難しい状況ですね。
そうですね。大人数での散歩は難しい状況ですが、外出自粛の運動不足から散歩の需要は高まっていると感じています。あるっこはFacebookグループのコミュニティがメインですが、このコロナ期間はTwitterを活用してお散歩の方法などを発信しています。
ー例えばどのようなことを発信されているんですか?
近所を毎回同じルートを散歩しているだけでは飽きてしまうと思います。なので標識を散歩中に見つける・春のお花を見つけるなどのテーマ設定をした散歩を提案しています。いつもとは違うところをみながら一人散歩を楽しんでもらえたらと思います。
スポーツを通して暮らしを豊かにしたい
ーそもそも、並木さんがお散歩コミュニティを立ち上げたきっかけが気になります。小さい頃からお散歩好きだった、とかですか?
散歩が好きというよりかは小さい頃からスポーツっ子で、家にいると外で遊んできなさいと言われるような家庭に育ちました。それがきっかけでスポーツの魅力を広めたいなと思うと同時に、スポーツを通して人の暮らしを豊かにしたいなと思うようになりました。
スポーツは心理的にも身体的にポジティブな影響を与えてくれますが、スポーツに抵抗を感じる人も多くいます。そこで1番ハードルが低く誰でも取り組めるスポーツと思いついたのが散歩でした。
私自身、ランニングも好きで駅伝部に入っていますが、ランニングは服を着替えて、準備体操をして、よしやるぞ!と思ってやるものです。それに比べて散歩は気軽にはじめられます。普段運動をしていない人に運動の魅力を感じてもらうのには散歩が1番かなと。
ーなるほど。スポーツを通して人の暮らしを豊かにしたいと思ったきっかけはなんだったんですか?
大学受験まで話は遡ってしまうのですが、私の人生最初の挫折は受験に失敗したことでした。当時の私は良い大学にいくことが大事と思っており、なんとなく面白そうで行きたいと思っていた大学はあったんですが、結果は不合格。家庭の事情で浪人はできなかったので、武蔵野大学に通いはじめた当初は仮面浪人をしていました。
ー仮面浪人ですか?
はい(笑)バレないように受験に失敗した日から5月くらいまでは来年の受験に備えて赤本を解いて勉強していました。
ーですが結局受験はしなかったんですよね。
武蔵野大学のプログラムで6月頃に1ヶ月間、鳥取に行ったことがきっかけで仮面浪人は卒業しました。
鳥取での生活がきっかけで仮面浪人生活に終止符
ー鳥取ではどのようなことをされたんですか?
自分の興味はスポーツだったんですが、スポーツに関連したプログラムがなかったため次に興味のあったメディア関連のプログラムでした。地方のテレビの番組制作をするプログラムで東京の学生からみた鳥取県を紹介する番組を作りました。また、一軒家に初めましての12人との共同生活も経験しました。
ーそれは所謂テラスハウスですね(笑)そこでの生活で何か変化が?
良い大学に行くことが全てではないんだと鳥取で教えてもらいました。「俺はワカメをとるために生まれてきたんだー!」という人やこの街の魅力を観光プロデューサーとして伝えたいという熱い思いを持っている人を見て、自分が今置かれている環境で自分らしく活動することが大事だと気づいたんです。
当時は鳥取から帰ったら大学をやめてやるくらいに思っていましたが、鳥取での出会いがきっかけで、自分が今やるべきことは受験勉強じゃないなと思いました。
ーそれから東京に戻り、どのような学生生活を送られたんですか?
鳥取に行って、日本のことを私はまだまだ知らないと感じたので一人旅に出かけました。スポーツを使った町おこしなどをしている地域やスポーツが馴染んでいる町を訪れたり、Facebookで見つけた地域おこし隊の人にアポをとって会いに行ったり。
地域の方々がスポンサーとなり、地域の人たちに応援してもらって活躍するアスリートさんがいることを知り、スポーツを通して町が元気になること・スポーツが持つ力がすごいことを再認識できた旅となりました。
ースポーツが持つ力を生かして何かしたいとそこから思うようになったんですね。
一人旅を通して、私はスポーツツーリズムに興味があるかもしないと思いました。そこで昔よく遊びに行っていた江ノ島とスポーツツーリズムをかけあわせれないかと思いました。そこで企画したのが、お散歩をするイベント、エノウォークでした。
満を持してお散歩コミュニティを立ち上げ
ーそこから今のお散歩コミュニティを立ち上げられたんですか。
その時はまだまだ企画や組織運営の勉強をしたいと思い、まずは地域創造型スポーツクラブという町密着型のスポーツクラブでインターンをさせてもらうことにしました。
インターン先ではマーケティングや広報活動を中心に、運動する場をどう地域に浸透させていくかを常に考えていました。ビジネススキルが分からない状態だったので、ペルソナを考えるといったお客さんを知る大切さを知れました。それが今のコミュニティ立ち上げにも生かされています。
その後そろそろ何かアクションを起こしたいと思い出しました。それがちょうど今から1年くらい前ですが、初めはお散歩コミュニティではなくランニングステーションの散歩バージョンを作ろうと考えていました。でもその話が頓挫してしまい、場所を持つとコストがかかることから他の選択肢を考えた時にエノウォークの組織化を思いつきました。
ーそんなあるっこももうすぐ1周年ですがこれまでで印象に残っているイベントはありますか?
どのイベントも楽しかったですが、1番自分が届けたい価値観を届けられたのはアメフト協会の方とコラボしたイベントです。街を歩いた後にアメフト観戦をしに行くイベントだったのですが、散歩という身近なスポーツからアメフトという普段あまり知ることのできないスポーツにつなげられたのがうれしかったです。
参加者の方がアメフトを知らない方ばかりだったので、試合時間が長くて飽きたりしないかと心配していましたが、事前にアメフトのルール解説をしてもらったりすることができ、とても満足度の高いイベントになりました。
ー他にもコラボイベントを積極的に行われているんですか?
コミュニティカフェに協力いただき休憩スポットを作ってもらったり、街を誰かに案内してもらったりしています。お散歩しておしまいではなくて新しい人や物、事に出会うきっかけづくりを意識して企画しています。
ー楽しそうですね。コミュニティ運営に置いて意識していることはありますか?
コミュニケーションは特に大事にしています。これは中学の頃の経験から常日頃意識していることです。中学の時、所属していたテニス部の部活改革を行った経験があります。全く練習をしないテニス部から、ある程度勝てる部活にまで改革することができたのですが、その時に気づいたら周りの意見を聞くのを忘れて一人で爆走していました。これは私の中で大きな反省点でした。
それ以来、私はやると決めたら周りのことを忘れて一人で暴走してしまう傾向が強いので、常に周りの人とコミュニケーションをとって意見を聞くことは意識しています。また参加者一人一人にも声をかけたり、メッセージをこまめにしたりするようにしています。
日本の幸福度アップに貢献したい
ーコミュニティ運営に奔走する一方で、大学生活の方はいかがですか?
今まさに就活中です。2月まではビジネスコンテストに取り組んでいたので、そのまま起業するか、海外の参考事例を見るため休学も考えていました。が、留学は今の情勢的にしばらくは厳しそうなことと自分には思いはあるもののまだまだビジネスをやる力が不足していることからまずは就職をしようと決め就活しはじめました。
ーどのような企業を受けられているんですか?
積極的に子会社を立ち上げられていて新しいことを始めるのに寛大な会社を中心に就活しています。あるっこを運営する中で、私はスポーツの魅力を広めることよりも、関わっている人たちが自分らしくより幸せな暮らしを実現させたいと思うようになりました。なのでより豊かな暮らしを作るためのビジネスをしている会社で働きたいと思っています。
ー無事行きたい企業に決まると良いですね。最後に今後もしチャレンジしたいことなどがあればぜひ教えてください。
あるっこに関して言えば、今後もお散歩の魅力から暮らしに幸せを作るを形にしていけたらと思っています。就職後もあるっこの活動を続けつつ、社会にでてビジネスについて学んで行きたいです。まずは自分自身が社会の第一線で活躍できる人材になることが目標です。同時に社会にでて学んだことをあるっこの活動にも活かして行きたいと思っています。
就職先によってはこれからどうなるかまだまだ分かりませんが、今後どんな仕事に就くにしても今下がり続けている日本の幸福度をあげることに貢献していきたいです。