長期インターンを広めて、日本の就活をアップデート!荒木珠里亜が新規事業に挑戦する理由とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第242回目となる今回のゲストは、株式会社キュービック長期インターン関連の新規事業企画に携わっている荒木珠里亜さんです。

国際基督教大学在学中、キュービックにインターンとして入社し、そのまま2017年同社に新卒入社。丸4年人事に携わった後、2020年7月より新規事業企画の責任者に抜擢された荒木さん。そんな荒木さんがどんな学生生活を過ごし、キュービックと出会ったのかお伺いしました。

自分で意思決定する力を育てられた幼少期

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

現在、株式会社キュービックで長期インターンに関わる新規事業の立ち上げを行っています。

キュービックには大学3年生のときに長期インターンとして入社しました。それからご縁があり、そのまま新卒で入社したんです。

インターン時から人事を担当していて、広報や社内研修にも携わっていたのですが、今年の7月から新規事業に異動することになりました。

ー新規事業ではどんなことをされていますか?

長期インターンの人材紹介をしています。私自身の経験から、長期インターンからの入社は、会社の良い面・悪い面を知ったうえで意思決定ができるので、ミスマッチがないと思っていて。

ただ、新卒採用を行っている会社で3か月以上の長期インターンを実施しているのは、全体の0.4%しかないという調査結果が出ているんです。全国的に見るとまだまだ広まっていないんですよね。

ーなぜ、なかなか長期インターンが広まらないのでしょうか?

システムと文化の問題だと思います。例えば、大学生が週5でインターンする場合、休学するか、長期休み中にインターンするしかないですよね。

ただ、「大学生は夏休みに遊んで過ごす」とか、「3年生になれば就活が始まる」とか、そういう一般的なシステムに紐づく文化が根付いているので、長期インターンが広まりづらいのではないでしょうか。

企業側も、長期インターンをイメージできていないケースが多いと思っていて。まず、企業が長期インターンを行う目的は「現在の働き手の確保」、「新卒採用のため」、「内定者インターン」の3つが考えられます。

3つ目は内定者インターンなので割愛して、1つ目と2つ目の目的があったときに、「どちらを目的にするのか」、「その目的を達成するにはどんな長期インターンを設計すればいいのか」を、イメージできていない会社さんは多数いらっしゃると思っています。

ー長期インターンを広めるには、いくつも課題があるのですね。今日は幼い頃のお話も伺いつつ、今の荒木さんに至るまでの過程を伺えればと思います。幼い頃はどんな子どもでしたか?

ひたすらおしゃべりで目立ちたがり屋でした。一人っ子だったので、マンションの隣の部屋、またその隣の部屋の子たちとよく遊んでました。

よく遊ぶ子たちの中で一番年上だったので、年下の子たちをまとめるリーダー的立ち位置でしたね。

ー小さい頃からみんなを取りまとめていたんですね。

親の教育方針のおかげだと思います。一人っ子は、箱入り娘のように大事に育てられる場合と、1人なので大人と同じように育てられる場合の2パターンあると思っていて。私は後者の育てられ方でした。

小学生のときにもらったお小遣いを何に使うかは自分で決めていましたし、中学生の頃、携帯代は自分で払っていました。お年玉も親が管理するのではなく、自分で好きに使う。貯めるも使うも自分次第でしたね。

幼いころから自分で意思決定できるよう教育されてきたので、考える力は養われたと思います。

ー教育熱心なご両親ですね。

何か教えてもらうというよりは、自分で考えさせる方針でした。

例えば「家事のお手伝いをしたら100円もらえる」とかよく聞くじゃないですか。そういうのは一切なく、「労働はそんな簡単なものじゃないし、1人暮らしをすれば当たり前のことだ」と教えられてきました。「働かざるもの食うべからず」ともよく言われてましたね。笑

吹奏楽部で100人以上をまとめるリーダーに

ー中学校はどちらに行かれたのですか?

東京都がリーダーシップ育成のために新しく作った、東京都立桜修館中等教育学校に入学しました。私が入学したときは、開校してまだ2期目でした。

ーその学校に入学した経緯を教えてください。

母親が「こういう学校あるから見てみれば」と言ってくれたのがきっかけです。先進的なことにチャレンジしていく校風に惹かれて、受験することにしました。

テスト内容がすごく変わっていて。文章を読んで考察したり、パズルみたいな問題があったり。私が受けたテストでは、デジタル時計とアナログ時計の写真があって、「これを見てあなたが考えたことを書きましょう」という作文がありました。

ー独創的なテストですね。入学後、面白い授業はありましたか?

「国語で論理を学ぶ」「数学で論理を学ぶ」という授業がありました。「国語で論理を学ぶ」の授業では、自分の文章を相手に伝えるためにはどう表現すべきかを学びました。生徒同士で文章を見せ合って、「こういう心情が表れていて良かった」など、フィードバックし合ってましたね。

「数学で論理を学ぶ」の授業では、どうすれば方程式を使わないで問題を解けるかなどを考えました。また自作で和算の問題を作って解き合うということもしました。

あとは「コミュニケーション&プレゼンテーション」という授業もあって。自己紹介やプレゼンテーションを通して、話す練習をしていました。型にはまらない授業ばかりでしたね。

ー部活もされていましたか?

小学生の頃からアルトサックスをやっていたので、吹奏楽部に入りました。他の新しいものにチャレンジすることも考えたのですが、何をやるかより誰とやるかを重視していたこともあり、小学校からの友達に誘われて入部を決めたんです。

入部後は学年のリーダーになり、そのまま部長になりました。立ち上げ期だったので最初は30人ほどの組織でしたが、卒部する頃には100人を越える組織になりました。

ー部長を務めた経験は、どんな思い出として残っていますか?

とにかく楽しかったです。吹奏楽部では夏のコンクールと定期演奏会があって。コンクールでは賞を取ることを目指して、定期演奏会では自分たちが演奏したいものを作ることを目指していました。

「やるからには金賞を取りたい」という達成欲と、「自分たちが考えた演奏で最高のものを作りたい」という最上志向のどちらも満たせるのが、私にとっては最高の環境でした。

あとは、大人数をどうまとめるか考える工程が楽しかったですね。副部長と一緒に、毎日ルーズリーフに今日やりたいことを書いて、「じゃあここはこういう風にしていこう」とアドバイスし合っていました。ルーズリーフが文字でびっしりになるくらい、話し合いを重ねていましたね。

ーその頃の経験は、今につながっていますか?

少人数からどんどん大きくなっていくとか、初めて出たコンクールからステップアップしていく経験から、今のベンチャーマインドが培われたと思っています。

1人よりチームの方が楽しいという感覚や、みんなで1つの目標に向かって頑張っていくことが面白いという感覚も、その時の経験で身につきました。

挫折をバネに、自分を見つめ直した大学受験

ー大学はどちらに行かれましたか?

国際基督教大学(以下ICU)へ行きました。大学受験時はICUに入ることしか考えていなくて、センター試験や滑り止めも一切受けませんでした。

ーICUを選んだ理由を教えてください。

高校生の頃、自分は何がしたいのか常に考えていたんですけど、色々と考えた結果「何をしたいかは、今すぐには決められない」という結論にたどり着いてしまって。そうなると、高校時代に大学の学部や学科を決めることはできないな、と思いました。

大学生活は、自分の興味関心を知る期間にしたかったので、広く深い教養を身につけるために、リベラルアーツを学べるところを探しました。アメリカの大学も考えましたが、お金の問題やリスクを考慮して、ICUの方が適正だと考えたんです。

ー受験勉強は大変でしたか?

それが、絶対にAO入試で受かると思っていたので、受験勉強は一切せず、AOの準備だけ続けていました。すると10月中旬の受験発表で落ちていて……。人生初の挫折経験でした。

その瞬間、ショックよりも先に「私は本当にICUに入りたかったのかな?」という思いが湧きあがり、1か月ほどかけてICUに入りたい理由を再度考えました。

ICUは、第二次世界大戦後に、平和の確立のために作られたという背景があって。私も人と人との対立をなくし、相互理解を深めていく方法を学びたいと思っていて、ICUの理念と私の興味が合致したので「やっぱりICUしかない」と思いました。

そこから1か月間猛勉強して、結果受かったからいいものの、超リスキーですよね。

ー初めての挫折から学んだことはありますか?

大学受験はだいぶリスクのある選択ではありましたが、無数にある選択肢の中から自分で意思決定した、初めての経験でもありました。自分の決断を自分で正しくしていく感覚は、ここで身についたと思います。

部活にバイトにTEDに、経験の先に見えてきた軸

ーICUでの生活はいかがでしたか?

ビッグバンドジャズの部活でサックスをやったり、バスケのサークルで友達と遊んだり、バーテンダーのバイトをしたりと、THE大学生というような生活を送っていました。

大学2年では、友達と「ICU生はうちに篭りがち。もっと学外との接点を生み出すために、TEDをICUでやろう!」という話をして、TEDxICUというイベントを企画しました。TEDからライセンスを取ったり、スピーカーや観客を集めたり、舞台のセットを企画したり、タイムスケジュールを組んだり……。1年ほどかけて準備をして、無事開催できたときには大きな達成感がありました。

1~2年でいろんな経験をして、3年からは「就職する前に社会で働くということを知りたい」と思い、インターンを探し始めて。そこで長期インターンと出会いました。

ーやりたいことが次々と出てくる荒木さん。やることとやらないことをどのように判断していたのか教えてください。

自分に合うこと、合わないことがわからなかったので、とにかく興味のあるものはやってみようと思い、いろんなことに手を出していました。実際に経験することで、向き不向きは段々わかってきましたね。

振り返ってみると、誰とやるかを重視したときはパフォーマンスを発揮できたと気づいて。どんな仲間と、どんなものに向かってやるのかが重要と考えて、やることを判断していました。

「何の制約もなかったとして、何を一番大切にしたいか」で決めたファーストキャリア

ー長期インターン先はどのように決めましたか?

大学3年のときに、Wantedlyで長期インターンをいくつか見つけて。その中で、「私が買いすぎたチロルチョコを一緒に食べてくれる人Wanted」というタイトルの募集を見つけました。

こんな面白い募集を出しても許される会社だから、絶対面白いだろうと思ったんです。何をやるかはあまりよくわかっていなかったのですが、そこにいる人や文化に魅力を感じて応募しました。

一度話を聞きに行ってからとんとん拍子で話が進み、気づいたら働くことになっていて。その会社が、今働いているキュービックです!

―キュービックでインターンを始めたとき、やりたいことは明確にありましたか?

ありませんでした。

このままだとなんとなく知っている会社や、何かかっこいいと思っている会社に行ってしまうな、と思って。会社で働くとはどういうことかきちんと知るために、インターンを始めました。

ー就活はしていましたか?

就活らしい就活はあまりしていなくて。リクルートスーツは1回も着てないですし、エントリーシートも一度も書いてないんです。

1つだけやっていたことは、「START BAR」でのバイトです。そこは経営者や人事の方と学生がフラットに話せるバーで。バイト中にいろんな会社の方と出会い、話していく中で、自分の価値観や大事にしていることが少しずつ見えてきました。

また、自分の知見だけでは、自分に合う会社は絶対に見つけられないと思っていたので、バーのオーナーで元某メガベンチャー人事の方に「私のことをよくご存じだと思うので、私に合いそうな会社紹介してください!」と言って、おすすめの会社をいくつか紹介してもらってました。

ー様々な会社と出会う中で、最終的になぜキュービックへ新卒として入社したのでしょうか?

キュービックでインターンをしていた大学4年の頃、リクルートキャリアから転職してきた方が人事部を立ち上げることになって。私がいたチームがそのタイミングでなくなることになっていたので、「新しく立ち上げる人事部に異動したいです」と手を挙げ、人事として働くことになりました。

キュービックで働きつつ、新卒で入る会社を探していたある日、上司からご飯に誘われたんです。そこでその上司の方から「選んだことを後悔させないし、絶対一流のビジネスパーソンにしてみせるから一緒に働こう」と、プロポーズのようなオファーをいただきました。

自分のことを自分以上に信じて、期待してくれる人がいることに感動し、「この期待に応えたい」と心から思ったので入社を決めました。

ープロポーズのような言葉をいただいたとき、入社を即決しましたか?

実は、会社探しをしているときに、「この会社に入りたい!」という会社に出会っていて。他の会社の選考をすべて辞退して、その会社だけを受けるくらい本気だったので、かなり悩んで……。

そんなときその会社の方が、「何の制約もなかったとして、自分が一番何を大事にしたいか、考えておいで」と言ってくださったんです。

そこで改めて考えたとき私は「自分が自分らしく在れること」を何より大事にしていることに気づきました。自分も自分らしく、そして共に働く誰もが自分らしく輝ける組織を作れる人になりたい。そして、個としての影響力を高めることで、それを世の中に広めていける人になりたい。それが一番実現できる環境はキュービックだと思ったのが、最後の決め手でした。

当たり前を覆し、未来のための採用を

ーキュービックへ新卒として入社した後、人事から新規事業への異動に踏み切ったきっかけを教えてください。

社会人として3年間人事をやり切って、今の自分にできることに限界を感じたのがきっかけでした。人事として生きていくためにも、もっと視座をあげる必要があると強く感じました。

日頃から「事業をやりたい!」とは言っていたのですが、自分が抜けると迷惑がかかるのでそんな簡単には異動できないだろうな、とどこかで思っていて。そんなとき、社長と上司が「新規事業に異動だから」と背中を押してくださいました。

もし人事と新規事業の両方やっていたら、新規事業はなかなか成果が出なくて自己効力感も得られない一方で、人事はそれなりに経験があって結果が出るので、そっちに逃げちゃってたと思うんです。

そこをあえて、人事を辞めて新規事業に異動という形にしてくださったことには、とても感謝しています。

ー新規事業で働いている現在の採用基準は、人事で働いていたときの採用基準と異なりますか?

採用人事を始めたばかりの頃は、みんなが欲しい人を採用していました。「こういうチームで、こういう人が欲しいです!」と言われたら、「そういう人探します!」というように、御用聞きになっていたんです。

でもそれじゃだめだな、と思って。自分たちが事業やチームのことを深く理解したうえで、今このチームにどんなピースが必要か、そのピースを入れたら成長するかを考えて、未来のために採用しなければいけないと強く思いました

新規事業に移って改めて思うのは、事業を行っている人が、採用のことを1番深く考えるべきだということです。私はTwitterで「こういう子が欲しい」と発信し、DMが来た子と直接やり取りをしてチームメンバーを採用しました。

必要な人材は、事業に関わる人が1番深くわかっているはずですよね。なのでそれをしっかり言語化して人事に伝え、一緒に探していく必要があると思うんです。逆に人事は、「自分たちは今の事業のことを完璧にはわかっていない」というスタンスに立ち、事業成長のパートナーとして採用に関わるべきだと。新規事業に移った今だからこそ、それこそが本来あるべき採用の姿だと思います。

ー採用の当たり前を崩していく姿勢、素敵ですね。荒木さんは今までいろんな挑戦をしてきていますが、後悔したことはないですか?

私の中で、選んだ答えに正解はないと思っていて。何がどうつながって、今の自分があるのかわからないですよね。事象は絶対に変わらないので、それをどう解釈するかによって人生は決まっていくと思っています。

どんな決断にも間違いはないですし、間違っていたと気づいたことさえ学びになっているはずです。経験はすべて学びになり、人生につながってくると思えば、もう少し気楽に挑戦できますよね。

ー最後に、荒木さんの今後のビジョンを教えてください。

ありのままの自分でいるということは、これからもずっと大切にしていきたいです。こうありたいという姿はありますが、将来絶対にこれがやりたいとかはなくって。今から将来を鮮明に描いたとしても、時代も世の中も、やりたいことも変わっていくことはわかっているので、大事にしたい軸だけを決めて、あとは柔軟に動いていきたいですね。

近い将来でいうと、今やっている長期インターンを広める事業に注力したいです。手段は今後色々と増やしていく予定なのですが、まずは長期インターンの紹介を行う「ドットインターン」というサービスを先日リリースしました。長期インターンを採用する企業人事の視点と学生の視点と、両方を経験している私だからこそ提供できる価値を、このサービスを通じて届けていけたらと思っています。長期インターンを探している学生さんは是非こちらのリンクよりご登録ください!(急に宣伝すみません。笑)

私は長期インターンを広めることで、今の日本の就活をアップデートしたいと強く思っていて。日本以外ではかなり一般的になっている、長期インターンを経由しての新卒入社という選択肢を広めることが、ミスマッチのないキャリア選択の一助になると考えています。

広めるためにはたくさん乗り越えないといけない壁があるのですが、一つひとつ乗り越え、実現していきます!

ー荒木さんのお話を聞くと、今悩んでいる方たちも一歩踏み出しやすくなりそうですね!これからの荒木さんのご活躍、楽しみにしています。本日はありがとうございました。

取材者:あおきくみこ(note/Twitter
執筆者:もりはる(Twitter
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter